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冒険者+5:死の山の王

 俺とエミックは魔物を倒しながら、山を登り続けた。

 道中で出てくるレベル70超えの魔物達の相手をしながらだ。


 本当に身体への負担が凄いな。

 このダンジョンが久し振りなのも勿論だが、やはり難易度が違う。


 毒系や山の高さ故の酸素の薄さを防ぐ為、酸素を出す草<酸素草>を入れたマスクはしているが、やはり体力的にもしんどい。


 全く、スキル『+Level5』が無ければ何度死んでいただろうか?

 いや、考えるのは止そう。ストレスで精神が削れてしまう。


「とりあえず……もう少しだ!」


『~♪』


 俺の言葉に腰に収まっているエミックが嬉しそうに口を開閉している。


 全く、少しはこっちの負担も考えて欲しいものだよ。

 

 私はエミックに少しは運んでくれよと、そう願ったが、それを察したのかコイツは黙り込んでしまった。


「全く……お前が羨ましい時があるよ」


『~~♪』


 俺がそう言うと、エミックは再び口を開閉して笑っていた。

 もう良いや。どうせそろそろ頂上だ。


「……頂上か」


 それはゴールであると同時に、ある意味の《《開始》》の合図でもある。

 だから私は、雲すら見下ろせる山の頂上――その一歩前で立ち止まる。


「……最後に奴と戦ったのはいつだったか。もう覚えてもいないな」


 死の山アルコル――そしてアルコルのみに存在する宝石<死兆石>

 これがあるのがアルコルの頂上――まさに目の前だ。


 大量の魔物の骨が散らばっている、まさにこの場所。


 周囲は広く、大量の岩石も散らばっているこの場所こそなのだが、私は中々足を踏み入れる事が出来ないでいた。


「ハァ……そろそろ覚悟を決めるか」


 いつまでもここで棒立ちしている訳にはいかない。

 本音を言えば行きたくないなぁ。けど仕方ない。


「行くか!」


 私は一歩。たった一歩踏み入れた。

――その瞬間だった。


『ギャオォォォォォォン!!!!』


――やっぱり来たか!


 轟音と共に空からやってくる巨大な影。

 

 その正体は巨大な――飛竜だ。

 そいつは私の目の前に降りると、私を見て途方もない咆哮をあげた。


『ギャオォォォォォォン!!』


「見逃してはくれなかった……アルコルの王・破壊飛竜<デストロイア>」


 私は本音を言えば会いたくなかった相手を見て、すぐに『力量の瞳』を開眼させた。


 金色の瞳で睨みつける相手――デストロイアは縄張り意識の強い最強の飛竜だ。

 しかもそれだけじゃない。


 破壊飛竜・デストロイア

 レベル:88

 

 そう、コイツのレベルは脅威の88だ。

 普通に戦えば国が滅びるとまで言われている伝説の飛竜。


「会うことなかれ、怒りを買うことなかれ……それを侵せば破壊の災いが下るであろう」


 死の山アルコルにある言葉だ。

 そんな言葉が残る程、デストロイアは伝説の魔物だ。


 だが<死兆石>を採取するには、このデストロイアを何とかせねば。

 

 だからこそ、私は両腕のガントレットブレードを展開した。

 それと同時に<+Level5>を発動した瞬間、私は強大な力が沸いてくるの感じ取る。


「レベルが90を超えた……《《到達者》》になったか」


 選ばれた領域――レベル90

 この領域に入った者は<到達者>と言われ、長い歴史の中で英雄と呼ばれた者達がこれだったと言われている。


 私の師匠もそうだ。

 私の様なスキルに頼らず、自身の力でレベル90に至った本者達。


 私の場合は偽りだ。<+Level5>があるから到達者になれるに過ぎない。


 だがそれでも、今を生き残る為にこの力を使うだけだ。


「今の私は、お前のレベル88から+5――レベル93だ。悪いが加減は無しだ。そうじゃなきゃ私が死ぬからな……!」


『ギャオォォォォォォン!!!』


 私から凄まじい魔力が溢れるのを見ても尚、デストロイアは臆さなかった。


 顔中にある牙、翼中にある爪を向け、私へと咆哮をあげた。

 そして同時に飛び掛かって来るのを見て、私もブレードを向け、目の前へと飛び出した。


「お前は倒し! 貰うぞ<死兆石>!!」


 こうして死の山の王との戦い。その幕が上がった。

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