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<16万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十五章:対決! 永遠の黄金船(エルドラド)
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冒険者+5:おっさんVS永遠の黄金船(1)

 命からがらフォレストレオから逃げおおせた私達は数日後、無事に王都へと帰還を果たしていた。


 眠たい身体に鞭を打ち、可能な限り最速で辿り着いた筈だ。


 ミアの話ではチユさんを王都に呼んでいるらしく、今は彼女のギルドで『エリク草』を待っているとのこと。


 けれどチユさんがいるなら話は早い。


 世界でも五本指の薬師らしいチユさんがいれば、薬はあっという間に完成する筈だ。


 チユさんがいれば後は任せられるだろう。

――というより、私がいても邪魔になるだけだ。


 ミアも気を利かせてくれたようで、一直線に馬車で私を拠点まで送って行ってくれた。


「じゃあセンセイ、今回は助かったぜ。後はオレがチユばあちゃんとやっとくから、まずは休んでくれよ」


「すまないな。本当なら最後まで付き合いたかったが、今回は流石に疲れたよ」


 フォレストレオは強敵だった。


 最後の一線を越えない様にしながらの死闘に、野宿であんまり疲れが取れなかったからな。


 私は日が暮れる中、欠伸をしながらミアへそう言うと、彼女も頷いて馬車を走らせた。


「んじゃ! この礼は後日な!!」


「ゆっくりで良いぞ~!」


 筋が通っているミアが依頼料を忘れるはずもないし、不安はない。


 私は手を振り終えてミアを見送って拠点の前に来ると、ベヒーが駆け寄って来てくれた。


『グオォォォ~ン!』


「やぁベヒー……また留守番で済まなかったな。――ほら、お土産のフォレストボアの肉だ。ゆっくりお食べ」


『グオォォォン!』


 可愛いものだ。

 ベヒーは嬉しそうに尻尾を振りながら、エミックが出した肉にかぶり付いた。


 見た感じ毛並みも良いし、クロノ達はしっかりと面倒を見てくれた様だ。


 私は内心で感謝をしながら拠点内に入ると、とりあえず装備を外した。


 そして、一通り持ち物を片し、そのままベッドへと倒れた。


「あぁ~疲れたぁ……! もう眠いぃ」


 クロノ達はベッドも洗濯してくれていた様だ。


 お日様の匂いとフカフカ具合が凄い。


 一気に眠気が着てしまい、私は風呂に入るのも忘れて今日はそのまま眠ってしまうのだった。


♦♦♦♦


 そして翌朝、私が起きたのは朝――寄りの昼であった。


 餌寄越せと、エミックからのダイナミックダイブと、ベヒーの悲しそうな声を目覚ましに私は起きた。


「ごめんごめん、すぐに準備するから……!」


 可哀想なことをしてしまったなと、私は急いでエミックとベヒーの準備をした。


 二匹が、がっつく様に餌を食べているのを見て、私は不意に日を眺めた。


「もうすぐお昼か……シャワーを浴びて、少し買い物もしないとな」


 多少の汚れや汗を流さねば、恥ずかしくて外を歩けない。

 

 ただでさえ加齢臭してないか気になり始めているし、清潔にはしないとな。


 弟子やエリア達に臭いと言われたらショックで、すぐに引退だな。


 そんな冗談を思いながら私はシャワーを浴び終えると、着替えて外に買い出しに向かうのだった。



♦♦♦♦


 外に出た私が向かったのは、王都で良く利用しているお店だ。


 王都の広場にあるその店は、食材や道具、ちょっとした武器・防具も売っているお気に入りの店だ。


 そこの店主とも仲良くしているし、安心できる場所だ。


「……ん?」


 だが店に入ろうとしたが、不意に私は動きを止めた。

 

 何だろう。視線を感じるな。

 敵意? 興味? 分からないが、出店の方からか?


 私は視線を感じた方を見てみると、そこには予想通り出店の商人達がいた。


 彼等は私のことをジッと見ており、やがて私が見ていることに気付くと一斉に顔を逸らした。


「何なんだ?」


 何か服に変なものでも付いているのかな?

 それとも寝ぐせ? いやどっちにしろ、そんな感じじゃないな。


 興味深そうに、けれど腫れ物でも見る様な変な感じだ。


「……まぁ良いか」


 少なくとも商人と問題を起こしたこともなければ、彼等とも初対面だ。


 心当たりがないことを、ずっと気にしていても仕方ない。


 私はそう思いながら店の扉を開け、店内へと入って行く。


「いらっしゃ――ルイスさん!?」


「ん?――やぁ店主、また来たよ。今日は食材も欲しいんだ」


 何やら振り返った店主の顔がおかしいな。


 驚いた様子だし、一体何があるんだ?

 とりあえず、買い物してから聞いてみよう。


「まずはリンゴとワイン、それから――」


「すまない……ルイスさん。あんたには売れねぇんだ」


「――えっ? 私、何かしたかい?」


 待って待ってくれ。

 出禁にされるようなことしてないんだけど、一体どういうことだ?


 私は何が理由か聞いてみるが、店主は申し訳なさそうに、もじもじしているだけだった。

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