表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/152

冒険者+5:おっさんとエリク草(7)

『ガオォォォォォォン!!!』


 間違いなく力が一段階上がった。

 遠吠えにも先程よりも覇気があるな。


「ミア……気を付けろよ」


「おう……センセイもな。――第二スキル! 獣戦闘(ビーストアーマー)


 ミアは頷くと、第二スキルを使い、獣を模った魔力を肉体に纏う。

 

 私もブレードを変えるか。

 魔剣・ニブルヘイム。そして魔剣・グラビウスだ。


 特にグラビウスの刃には炎と纏わせた。

 やはり特攻は炎だ。あとはそれで、どこまで追いつめられるか。


 短期決戦が理想だが、再生能力がある以上、長期戦も覚悟か。


「ミア……飛び出すと同時に左右から仕掛けるぞ」


「あぁ、さっきと同じだな。任せろ、センセイ」


 『獣戦闘』を身に纏ったミアの雰囲気。

 それは獣のそれと同じだった。


 鋭い眼光でフォレストレオを睨み、まるで縄張り争いの獣のようだ。


 だがこうなったミアは頼りになる。

 

 前に五大ギルドで戦闘した時に第四スキルも習得したし、近接戦闘ではクロノを超え、弟子一番だろう。


『ガオォォォォォォン!!!』


 そして私達は身構えたと同時だった。


 フォレストレオは、両足を地面へと叩きつけた。


 すると地面から、鋭利な木の根が私達目掛けて飛び出してくる。

 

 あれは木の魔法の類だ。ならばこっちも仕掛けるぞ。


「行くぞミア!!」


「おう!!」


 私とミアは、一気に左右へと跳んで木の根を回避。

 そのまま駆け出し、フォレストレオへ向かって行く。


『ッ! ガオォォォォォォン!!』


「こっちに来るか……!」


 フォレストレオめ。先程の僅かな戦闘で、私とミア――どっちが危険か判断した様だ。


 そして標的は私だ。

 確かにレベルは90を超えている。


 それに奴め、さりげなくエミックにも意識を向けているな。

  

 私への攻撃時、明らかに範囲がミアよりも広い。

 そして腰にいるエミックも僅かに反応しているから、間違いないだろう。


「勘の鋭い奴め……!」 

 

 私は全速力で走り、呼吸が乱れるよりも前に仕掛けようと試みる。


 けれど、それよりも先にフォレストレオから大きな魔力を感じとる。


『ガオォォォォォォン!』


「突風!? 風魔法か……!」


 こいつめ、私を近付けさせないつもりか。


 フォレストレオが口を開けると、奴の肉体から突然の突風が吹き荒れた。


 それは私を襲い、思わずその場で踏ん張る為、足を止めてしまった。


 だが、それでやられっぱなしじゃないぞ。


「魔剣・悪食!!」


 私はブレードを変えた。

 現れたのは牙のある魔鎌――悪食だ。


 魔力を喰らう悪食ならば、この風も――


「喰え!!」


 私が叫びながら翳すと、悪食は口を開く様に牙が動いた。


 そして一気に風を吸い込むと、突風はやがて消えて行った。


「良し! 返すぞ、魔力! 炎魔の怒り、紅の黄昏、紅蓮の罰は虚空を貫く――断罪炎・獄炎槍!!」


 私は手をかざし、呪文を唱えた。

 すると強烈な炎が渦巻き、やがて巨大な槍となって私の腕へ収まる。


 レベル80以上じゃないと使えない、この呪文――


「うけとれぇぇぇぇ!!!」


『ッ!』


 私が炎槍を投擲すると、フォレストレオの様子も変わった。

 

 流石に危険を感じたのだろう。表情や様子が変わった。


 今にも回避しようとしているが、忘れてないかフォレストレオ。

 私は一人じゃないぞ。


「おう、植物猫野郎……! いつまでシカトしてんだ?」


『ッ!!』


 フォレストレオが気付いた時には、ミアが奴の顔の真下にいた。


 その拳に全力の魔力を込めた状態で。


「こっちも喰らっとけ!!――獣王拳・幻爪魔葬!!」


 ミアが回避しようとしたフォレストレオの顔面を、顎からぶん殴った。


 あのミアが溜め込んだ全力の一撃だ。いくらお前でもただで済まないぞ!


 強烈な一撃は、魔力で作られた巨大な爪が拳となり、フォレストレオの身体が浮いた。


 そこへ私の炎槍が迫り、そのままフォレストレオの胴体を貫いた。


『ガオォォォォォォン!!!?』


 瞬間、フォレストレオの胴体から左前脚が燃え上がり、奴は大きな断末魔をあげた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ