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<16万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十三章:オリハルコン
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冒険者+5:おっさん帰還を果たす

 あれから二日は経った筈だ。

 

 順調ならば王都に辿り着く筈だが、私はこの二日間、馬車での記憶が殆どない。


 それだけダメージが大きかったんだな。

 時折、エミックが食事を持って来てくれた事は覚えている。


「――匠……! 師匠!!」


「センセイ! 無事か!?」


 何だろう。何やら声が聞こえるぞ。

 クロノとミアの声の様な気がする。


「おい! 慎重に運べよ!」


「早く医者も連れて来い!!」


 それに何だろう。随分と騒がしいな。

 揺れている気もするし、周囲は騒がしい。


「……なんだ……一体、なにが……?」


「師匠!!」


「センセイ!!」


「ルイス殿!?」


 私は目を開けると、そこには心配した顔のクロノとミア――そしてエリアもいた。

 

 他にも二人のギルドメンバーや騎士達もいる。

 私は一体、何があったか分からなかった。


「クロノ……状況を教えてくれ。私は馬車にいた筈じゃ……」


「馬車から運んだんです。ここは師匠の拠点ですよ。――エミックが慌てた様子で私の下に来て、すぐに皆で駆けつけたんです」


「そしたらボロボロのセンセイがいるし、驚いたぜ。センセイがオリハルコン採取に向かったのは聞いていたけどよ」


「ルイス殿、一体何があったんです?」


「それは……最初は『永遠の黄金船(エルドラド)』の者達が来たんだ」


 心配した様に覗き込んでくるエリアの言葉に、私は思い出せる限り話した。


 オリハルコンは手に入ったこと。

 しかし『永遠の黄金船』の者達から襲撃され、彼等がキングを怒らせたこと。


 そして最後に始高天のバスクによって彼等は殺害され、私も相打ちになったこと。

 

 私は思い出せる限りの事を話した。

 するとクロノ達の表情が怒りや驚きの色に染まっていた。


「始高天!? それに『永遠の黄金船』め……堂々と規定違反を犯すとは!」


「んの野郎ども……! おいクロノ! 報復してやろうぜ!! 先に破ったのは向こうだ!」


「ルイス殿、本当によくご無事で……!」


 クロノは驚きながらも怒り、ミアは怒り一色で叫んでいた。

 そしてエリアは潤んだ瞳で私の手を握ってくれる。


――あぁ、すっごく柔らかくて冷たくて気持ちいいなぁ。


 エリアの手の感触に癒されている私だったが、ミアの言葉にクロノは首を振っているのが見えた。


「いや……駄目だ。――師匠、実は昨日……『永遠の黄金船』から依頼のキャンセルが私を経由し、師匠宛に来たんです」


「なんだって……?」


 クロノの言葉を聞いて、私は驚きはしたが同時に納得した。

 

 向こうからすればリスクを負い過ぎたんだ。

 しかもバサカ達、主要メンバーも戻ってこない。


 下手な損害が多すぎたんだ。

 そして私達からの追求を逃れる為には、関係を絶つしかない。


 仮にも五大ギルドの一角に喧嘩を売った前科のある私だ。

 

 向こう的にはギルド員の暴走で終わらせる気なのだろう。


 私がそこまで察して頷くの見せると、クロノも頷いた。


「最初はオリハルコンを断る理由が分からなかったのですが、師匠の話を聞いて納得しました。恐らく向こうは、ギルド員の暴走で終わらせようとしているんでしょう」


「んだと! ふざけんな! 始高天はともかく! センセイが『永遠の黄金船』の連中に襲撃されたのは確かだろう!――こうなったら他の弟子にも声を掛けて報復してやる!」


 おっと、それは面倒になりそうだ。

 私は今にも出て行きそうなミアを呼び止めた。


「いや、良いんだミア。どうせ証拠は曖昧なものしかない……それに今回は向こうの方が被害が大きい。オリハルコンも渡さなくて良いみたいだしな。寧ろ得したよ」


「センセイ……センセイがそれで良いなら良いけどよ。けど、なんかモヤモヤするぜ……」


 そう言ってミアは納得してなさそうに顔を下げた。

 

 気持ちは分かるさ。だが今回はこれで良い。


「私以外にも手を出されたら私も黙ってなかったさ。でも私一人なら、五大ギルドを刺激する必要はない」


「それに今回の事は自然と広がっていく筈だ。そうなれば他の冒険者からも信用を失い、ダメージが大きいのは結局『永遠の黄金船』だ」


「……チッ。そうだな……センセイ達がそこまで言うなら我慢するよ」


「では残ったオリハルコンはどうするのですか、ルイス殿?」


 エリアの言葉を聞き、私は彼女達の視線を追った。

 すると、そこにはオリハルコンの山の上で陣取るエミックがいた。


 やれやれ、今回は本当に助けられたな。

 オリハルコンの番までしてくれたし、餌を奮発してやらねば。


「私自身はオリハルコンを必要としていない。周りで安くで良いから買ってくれ」


「えぇ!? 良いのですか! オリハルコンですよ?!」


 私の言葉にエリアが驚いた声を出し、目を丸くしている。


 そりゃそうだ。仮にもオリハルコン――伝説の鉱物だ。

 それを叩き売りの様にすれば驚くのも無理はない。


 周りからも驚きの声をあげているし。


「マジかよ……! 本当に良いのか!?」


「凄い……! 本当にオリハルコンなの!?」


「オレも欲しい!」


「待て! 騎士団だって欲しいんだ! 少しは譲れ!?」


「こら落ち着け! 全く……!」


 騒ぎ始めるギルド員や騎士達をクロノ達が止めようとするが、騒ぎが収まりそうにない。


「アハハ……! 後は頼むよクロノ、皆。少し休む……」


「本当だぜ。センセイは最近、頑張り過ぎだ。少しは休めって」


「医者の話では最低でも2週間は安静との事ですよ? ベヒー達の面倒は私達も見ますから、まずは休んでください」


 ミアやエリアに釘を刺されてしまったし、今回は本当に休もう。

 

 けど休み過ぎると身体が付いてこないけど、今回は療養だ。

 諦めて休もう。


 『永遠の黄金船』も何か企みはするだろうが、直接会いに来る事はないだろう。


 依頼金に関しても特に言われてないし、本当に得したと思おう。


 こうして私は久し振りに、長期の休みを取ることにするのだった。

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