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<16万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十三章:オリハルコン
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冒険者+5:おっさんとオリハルコン(8)

 次のやり合いで決まる。

 恐らく、短期決戦だ。


 互いの力が強い分、ダメージも大きい。

 きっと決まる。だから全力でやるんだ。


「グラビウス・マーズ、ジュピター」


「大乱世――修羅ノ刻」


 私は両腕のガントレットブレード。

 それぞれに重力魔法と火魔法を、そしてガイアの刀身に重力魔法を纏わせる。


 だがバスクも魔槍・大乱世へ魔力を送っている。

 先程より禍々しく、そして荒々しい魔力刃が生成されていた。


「俺をここまで本気にさせたのはノア以来よ!」


「だろうね……!」


 彼を本気にさせる相手がポンポンいると面倒になりそうだ。

 

 だが大丈夫だ。彼にも隙はある。

 ノアの時とは違う。第四スキルは必要ない。


――さぁ、行くぞ!


「グラビウス・マーズ――マールス!!」


 私はマーズをバスク目掛け、目の前に振り下ろした。

 直後、マーズのブレードから炎と重力魔法の合わさった斬撃が放たれる。


「むっ!――大乱世! 一騎先駆け!!」


 なっ! 突きの型で斬撃を飛ばすのか!?

 驚いたことにバスクは私の攻撃に対し、突きを放ってきた。


 すると槍から斬撃が同じ様に飛び出し、互いの中間で斬撃がぶつかり合った。


 斬撃を飛ばす。同じことをしてくるなんて。

 いや当然だ。これぐらいは出来るだろう。


 ならやる事は一つ。止まるな!


「グラビウス・ジュピター――ユーピテル!!」


 私はもう片方のブレード――ガイアを掲げる。

 すると、その剣先から茨の様に木々が四方八方へ伸びた。


 重力魔法を纏った魔の木々だ。

 当たればズタズタでは済まないよ。


 四方八方へ伸びたそれだが、狙いは一つバスクだ。

 すぐに彼目掛けて一斉に伸びていく。


「ハッハッ! 面白い技だな!――だが! 大乱世――大戦極陣!」


 バスクは槍を両手で持つで、高速で回転させるように振り回していた。


 全く、面白い技はこっちの台詞だよ。

 放たれた木々は重力魔法を何とも思わず、槍の前に粉々された。


 だが、そんな大振りの技を待っていたんだ!

 確かに見えるぞ。彼の隙が!


 私は一気に距離を詰めた。

 これを逃せば、きっと彼は隙を見せなくなる。


 警戒が最高潮に達していない今、今が好機なんだ。


 私は全力で走った。そして一気に間合いへと入っ――


「それを待っていたぞ! ダンジョンマスター!!!」

 

 それは突然の事だった。

 バスクは槍を一瞬で止めると、そのまま横薙ぎ放ったんだ。


 そしてそれは、間合いに入った私の右脇腹へ直撃した。


「ガハッ!!」


 呼吸が止まった。内臓を痛めたのか、吐血までしている。


――だけど()()()()()


「むっ! この手応え……! それに貴様、何故斬れぬ! 何を()()()()()()()!?」


「ゴホッ!――ハ、ハハ……切り札はこういう時に……こそ……役に立つ……!」


「なにっ!? それは……!!」

 

 バスクは驚いた様に槍が直撃した私の右脇腹を見ている。


 そこの個所は衝撃で服が破けて見えている筈だ。

 

――()()()()()()()の鎖帷子が。


「鎖帷子だと!? それにこの感触! まさかオリハルコン!?」


「軽くて……丈夫で……重宝しているよ……衝撃は防げないけどね――さぁ次はこっちの番だ!」


 私は逃がさない様に、全力で槍を握った。

 絶対に逃がさないと、そして今のレベルで出来る最大の力で。


「なっ! 大乱世が動か――」


「グラビウス・マーズ――」


 私は左腕の手のひらに、魔力を込めた。

 火・重力・そしてガイアの力を込めた魔力玉だ。


 その濃度の高さで分かる筈だ。

 どれだけのものか。


 だからバスクも、それを見て驚愕の表情をしていた。


「ダンジョンマスター! これが! ノアが敗れた男の――」


「――エウレカ」


 そう呟くと同時に私はバスクの腹部へ、その魔力玉をぶつけた。

――瞬間、爆発なのか、爆風なのか分からないがバスクが吹っ飛んだ。


「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

  

 そして咆哮と共に最後は背後にあった岩にぶつかった。

 けれど、彼はそこから少し歩いていた。


――まだ余力があるのか……!


 私はそう思い、覚悟を決めた。

 だがその時だった。


「アッハッハッハ……! 楽しめたぞ……ルイス・ムーリミット……!」


 バスクはそう言うと、最後はそのまま大の字で倒れた。


「や……った……!」


 駄目だ。私も限界の様だ。

 さっきの一撃で内臓とかを痛めた様だ。


 もう意識が――


 それが私の限界だった。

 私もバスクと同じく倒れ、意識が薄れていく。


『――!!』


 そして最後に見たのは、慌てた様子で近付いて来るエミックの姿だった。

 そこで私の意識は途切れた。

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