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<16万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十三章:オリハルコン
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冒険者+5:おっさんとオリハルコン(7)

「うおぉぉぉぉぉ!!!」


「うぅっ!!?」


 バサカからの一撃を両腕のガントレットブレードで受けた。

 

 だが、それは凄まじい重さのある一撃だ。

 もしガントレットで受けなければ、そのまま貫通していただろ。


 それか顔面が吹っ飛んだ。それぐらいの重さだ。


「アッハッハッハ!! 俺の一撃を受け止めるか!」


「それだけでこっちは――限界手前だ!」


 嬉しそうに笑うバスク。

 彼の言葉に返答しながら、私は槍を弾いた。


 そして一気に内側に入って回し蹴りを腹部へ放った。


「魔連脚・樹縛!」 


「ぬぅっ! これはドーワの魔剣――!」


 強烈な蹴りだ。バスクは後方に足を付けたまま吹っ飛んだ。

 

 そして直後、蹴った個所から木々が伸びてバスクを縛り上げた。


「だがぬるい!!」

 

 バスクが叫んだ瞬間、一気に彼を縛る木々が吹き飛んだ。


 おいおい、仮にも魔剣の力だぞ。

 なのに気合だけで木々の呪縛をぶっ飛ばしたのか。


「なんて奴だ……!」


 こいつ、間違いなく『武』という点ではノアよりも上じゃないのか?

 

 明らかにノアには無かった重さが槍にある。

 

 クソッ! 楽な依頼ではないとは思っていたが、始高天の相手をすることになるなんて。


「アッハッハッハ! 俺に一撃を入れ、更には縛るとはな! だがぬるいぞ!」


「――!?」


 こいつ、一気に間合いを縮めて――


「大乱世!!――斬首!!」


「うおぉっ!!?」


 バスクが槍を首目掛けて横薙ぎにすると同時に、私も身体を逸らした。


 お陰で首は繋がっているが、風圧だけで服が切れている。

 

 なんて奴だ。槍を振るった後の風が、まるでかまいたちじゃないか。


 長期戦は危険だ。集中力が続いている間が好機だ。

 

「このっ!」


「むっ!」


 身体を戻した私はすぐに槍を踏んだ。

 そして出来た隙を突いて、ブレードを顔面目掛けて放った。


「フンッ!」


 だがバスクは首だけで逸らして攻撃を躱した。

 そして一気に槍を上げ、私も思わず足をどかしてしまう。


 それだけの馬鹿力だ。

 私は呼吸するのも忘れて対峙した。


「ハッ!!」


 バスクが突きを放った。

 それを身体を逸らして避ける。

 

 そしてニブルヘイムの魔力で槍を右腕ごと凍らせた。


「アッハッハッハ! 魔剣を使いこなしているな! だが!――ハァッ!!」


 バスクは凍り付いた腕と槍で、再び横薙ぎをしてきた。

 

 その瞬間に氷は砕け、私は左腕だけでそれを受けた。


「ぐぅっ!!」 


 なんて衝撃だ! 受け止めただけで骨が悲鳴をあげたぞ!


 だが動きを止めるな! 反撃するんだ!


「グラビウス!」


 重力の纏ったブレードをバスクの首へ振るう。


「なんの!!」


 それをバスクは槍を持ち直して、それで受けた。

 同時に彼を襲うのは重力の魔法だ。


 身体が重くなる筈だ。重圧で身体が悲鳴をあげる筈だ。


 けれどバスクは額に血管が浮き出る程、力を込めていた。


「ぬるいと言った!!」


 そう叫んで、無理矢理に重力魔法を逃れたバスク。

 おいおい、どんな肉体をしているんだ!?


 私のブレードは槍で弾かれると、彼は槍で連続の突きを放ってきた。

 

 私もブレードで弾き、隙あれば内側に潜り込んで蹴りを入れたり、ブレードを振るう。


 だがバスクもその度に後ろに跳び、槍を振り回してブレードを弾いてくる。


 そして再び槍を放ってくるのを、ブレードで弾く。

 これを高速で、短時間の内で、私とバスクも行った。


 身体は悲鳴をあげている。

 36歳にはキツイ動きだ。彼の攻撃受けるだけで古傷にも響く。


 それでも止められない。

 止まったら死ぬからだ。


 互いの顔や腕に僅かな傷が付く。

 衣服も千切れていく。


「小細工させてもらうぞ!」


「アッハッハッハ! 好きにしろ!!」


 余裕なのか、それともハイになっているだけか。

 どちらにしろバスクは笑っている。


 そんな彼へ、私は『道具合成』のスキルで作った爆発するナイフを3本投げた。


「ぬっ!!」


 だがバスクはそれだけ何かを嗅ぎつけたのだろう。

 僅かに体を退き、ナイフを一気に大乱世で薙ぎ払った。


――瞬間、ナイフが一気に爆発する。


 爆発、爆煙がバスクを包んだ。

 だがそれは、本当に僅かな時間だけだった。


「うおぉぉぉぉぉ!!!」


 咆哮と共に槍で爆煙を振り払うバスク。

 だが攻撃した瞬間、その隙は逃さない!


「視えた――魔氷連脚・氷晶撃!!」


 回転からの連撃。しかも氷の魔力付きだ!

 その連撃が確実にバスクの腹部へ入った。


「ガハッ!!」


――入った!


 今までと違う感触。そしてバスクの声。

 蹴りで吹っ飛んだバスクの腹部から、氷が一気に彼を侵食する。


「まだだぁぁぁぁ!!!」


 だがまだ終わらない様だ。

 彼は咆哮の様に叫ぶと、氷を砕いて侵食を止めた。


 だが完全にじゃない。腹部は氷で未だに覆われている。

 でもそれでも、バスクにはまだ余力がある様に見えるぞ。 


「ハァ……ハァ……! 勘弁してほしいな」


「アッハッハッハ……アッハッハッハ!! 楽しいな! 楽しいぞルイス!! これこそが戦いよ! 生きている証よ!!」


 あぁ駄目だ。完全にハイになってるな。

 この手の相手は面倒でしかない。


 けど身体はデカくて丈夫。そして力も強いと来たもんだ。

 

 私もだ。もっと一気に力を込めろ。

 一撃必殺。それぐらいの覚悟で叩きこむしかない!


 しかし何てタフなんだ。レベルは私が上だ。

 けれど力は、彼の方がまだ上だぞ絶対。


「さぁ続けよう!! ルイス! ダンジョンマスターよ!!――殺し合いだぁ!!」


「こんなおっさんに殺し合いを望むのは、君ぐらいだよ……!」


 逃げられない。ならば全力で足掻いてやる。

 それが冒険者だからだ!


 私とバスクは再び構え、対峙した。

 きっと次で決まる筈だ。

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