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<16万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十三章:オリハルコン
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冒険者+5:おっさんとオリハルコン(6)

 やれやれだったな。

 キングがあれ以上、暴れなくて本当に良かったよ。


 『永遠の黄金船(エルドラド)』の連中も今回は懲りた筈だ。


 彼等ではオリハルコンの採取も、キングへの対応も出来ない。

 

 とりあえず私の仕事もこれで終わりそうだ。


 キングが最後にくれたオリハルコンを袋に収納すると、私とエミックは洞窟の出口へと歩いていく。


「ふぅ……全く、五大ギルドが絡むと絶対に面倒が起こる。これじゃ、おっさんの神経が死んでしまうよ」


 ただでさえダンジョンは神経を削るのに、実際に問題を起こされたら堪ったものじゃないよ。


 きっと帰っても色々と言ってきそうだが、オリハルコンは私が持っている。

 

 ならばそれを材料に、彼女達の口を閉じさせるしかない。


「……とりあえず帰るか、エミック。ちょっと気疲れしたよ」


『~~♪』


 私の言葉にエミックは楽しそうにしている。

 全く、お前の性格が羨ましいよ。


「さて、まずは馬車の所まで戻るか――」


 そこまで言って、私は洞窟の入口から出た。

――時だった。


「遅かったな」


「――えっ?」


 私は目の前の光景を見て、一瞬理解できなかった。

 

 何故ならば、目の前には二mを超えている男が立っていたから。

 

 そして何より、その周辺ではバサカ達の遺体が倒れていたからだ。


「……何故、殺した?」


 気づいたら男に向かって名乗る前に、私はそんな事を聞いていた。

 

 それだけ混乱していたんだろう。

 あまりに予想外の光景のせいで。


「コイツ等が武器を持って向かって来たからだ。武器は脅す為でも、ましてや飾る為でもない。――敵を殺す為の物だ。ならば答えは一つだ」


 そう言って男は、その巨体の身の丈以上の槍を取り出した。


 槍からは乾いてない血が付着しているが、男には一切の返り血がない。


――強者だ。間違いなく……だが何故、これ程の男がここに?


「目的はオリハルコンかい?」


「違う。――貴様だ。ダンジョンマスター・ルイス・ムーリミット。貴様と死合う為に俺はここに来た」


 成程、つまり分からない。

 私は彼を知らない。一体、どこで繋がりを作ったんだか。


「君は一体……?」


「名乗ろう――俺はバスク・ウォーライ!」


 男はそう名乗った瞬間、男は槍を振るった。

――瞬間、槍の先にあった大岩がプリンの様に斬れた。


「なっ!」


 なんて斬れ味。そして槍の扱いも超越している。

 あんなのガントレット以外で受ければ、あっという間に四肢が無くなるぞ!


 私が思わず血の気が引いていると、男はそんな私の目を見ていた。

 そして――


()()()()一人だ」


 そんな事を言った。


「っ! エミック! 離れていろ!!」


 それを聞いた瞬間、私はすぐにオリハルコンの入った袋を捨てた。

 そして両腕のガントレットからブレードを展開。


 エミックもすぐに私から離れると、私はすぐに力量の瞳を開眼させた。


 バスク・ウォーライ:レベル84


 レベル80越えか!

 だが84でも一切油断はできない!


 エミックよりもレベルは低い。

 だがそれだけ判断しては死ぬ。


 彼はレベル以上に力と技――つまり『武』が高い! 


「ほう……それが金色の瞳か。赤髪と金色の瞳、間違いなく貴様がダンジョンマスターだな」


「私を狙う……ノアの指示だな」


「違う。俺の意思だ。数々の猛者である始高天の者達を退け、数々のダンジョンの魔物と戦ってきた貴様だ。――血が滾る!」


 バスクはそう言って両手で槍を持った。

 そして放たれる殺気。逃げる事は――死だ。


「……相手するしかないか」


 私は諦めて、身構えた。

 そして同時にスキルを発動させる。


――第一スキル『+Level5』発動!


 私は魔力を解放した。

 溢れ出る魔力。当然だ、今の私はレベル89だ。


 伝説の英雄達の領域――レベル90一歩手前だ。

 しかし、それでもバスクはただ笑みを浮かべていた。


「ほう……レベルを変動させるタイプか。さっきまでと格段に強さが変わったな。ならば、俺も相応の力で対応せねばな!――行くぞ! 魔槍・『大乱世』!」


「うおっ!?」


 バスクからとんでもない量の魔力が!

 レベルは関係ないぞ。まさかあの槍か、彼のスキルか!


「魔剣……いや魔槍か!」


「その通り、俺の槍――魔槍・大乱世。敵を屠れば屠る程、俺に力を与える! そして我が第一スキル『一騎の極み』! このスキルは一騎討ちの時のみに俺に力を与える!!」


「なんて奴だ……!」


 恐ろしい。力は既にレベル以上の力を持っている。

 なのにレベルは変動していない。


 きっと力だけが上がっているんだ。

 たった5レベル差、油断すればすぐにやられる!


「魔剣・グラビウス! ニブルヘイム!」


 私も両腕のブレードをそれぞれ魔剣へと変えた。

 全力だ。今やれる全力で相手をするんだ。


「ほう! 魔剣の類を複数も……! 流石だ……さぁ! ここまで整ったのだ! さぁ死合おうか!!」


「――来い!!」


 魔力の嵐が吹き荒れる中、バスクが槍ごと迫ってくる。

 それを私は両腕を交差して構え、真っ正面から受けた。

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