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<16万PV達成>おっさん冒険者+レベル5  作者: 四季山 紅葉
第十三章:オリハルコン
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冒険者+5:おっさんとオリハルコン(3)

 目の前で不思議な質感で動くスライム達。

 彼等が今回の目的だ。


 だからといって倒す訳じゃない。

 寧ろそんな事をすれば、目的のオリハルコンは手に入らなくなる。


『プルルルルン……!』


『カチカチプルルルルン!』


 相変わらず変な鳴き声だな。

 だが彼等は貴重な魔物達だ。下手な扱いをしてはいけない。


『~~♪』


『~~♪』


 何やらエミックともコミュニケーションを取っているし、どうやら機嫌は悪くなさそうだ。


 さてさて、それじゃ早速仕事をするか。


「……それにしても小さいのしかいないか。本当は()()()がいてくれると助かったんだが。まぁ仕方ない」


 私はその場でしゃがんだ。

 そして目の前で遊んでいるスライム達に、慎重に手を伸ばす。


 すると、スライム達は私の匂いを嗅ぐようにすり寄ってくる。

 

『……カチプルルルルン!!』


 スライム達は一瞬、大きく震えた。

 だが落ち着いた様に静かになると、今度ははしゃぐ様に飛び跳ねた。


 そして、最後には口から小さな石ころを吐き出してくれた。

 彼等の身体と同じぐらいの石だ。


 次々と吐き出してくれる石。

 それは神聖的で、幻想的な輝きを放つ石だ。


 そして、これこそが私の求めていた物。

――『オリハルコン』だ。


「良い質のオリハルコンだ。流石は長年生きてる<オリハルコンスライム>だな」


――オリハルコンスライム。


 それこそが目の前にいる彼等の名前だ。

 分かるだけでも数百年は生きていて、身体がオリハルコンで出来ている魔物だ。


 けれど性格は基本的には温厚。

 そして一番は、ある条件を満たしている者に、こうやってオリハルコンをくれる事だろう。


「人によっては伝説級の入手難易度になるオリハルコン。しかし、私の様に条件を満たせば、こうも簡単に手に入る」


 私はそんな事を呟きながら、袋に彼等がくれたオリハルコンを入れていく。


 物は小さいが、これでも十分すぎる代物だ。

 私はそうやってスライム達からオリハルコンを貰い続け、大きめの袋が一杯になってきた。


――そんな時だった。


『!』


 オリハルコンスライム達が、一斉に動きを変えた。

 怯える様な、怖がる様な、そんな感じで震えて私の影に隠れ始めた。


 そして同時に、背後から聞こえてくる大勢の足音。

 

――数は15人か。


 驚いたな。どうやって入って来たんだか。


「全く、どうやって入って来たか知らないが、随分と行儀の悪い事をするね。依頼をしながらも、本当の目的はオリハルコンの入手場所か」


 私は呆れた様に言いながら腰を上げ、振り返った。

 そこには想像通りの者達がいた。


「……どうなんだい? 『永遠の黄金船(エルドラド)』」


「正解だ。ダンジョンマスター」


 彼は確か、黒の園でエミックにぶっ飛ばされたバサカと呼ばれた男だな。

 周りにいる連中も『黄金船』の刺青があるな。


 間違いなく『永遠の黄金船』のギルドメンバーだ。

 武器、つるはしを持っている以上、目的は容易に分かる。


 私は静かに両腕のガントレットからブレードを出し、ゆっくりと身構えた。

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