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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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英雄

 俺らは寮に戻った。

 扉を開けると、そこにはロースターと王虎(キングティーガー)の人たちがいた。


「おかえりなさい!豊さん!」


 ロースターは笑顔で出迎えてくれる。


 ってそうじゃない。

 なんでいるんだ?


「なんでここにいるんだ?しかも王虎の人たちと一緒に」

「だめですか?」


 いやまぁ、ダメってわけじゃないけどさぁ。


「私が本気になれば、皆さんより早く寮に戻れます」


 と、ロースターは誇らしげに言った。

 てか、なんで、王虎の人たちまでいるのだろうか。

 

「そういや、王虎さん達はなんでここに?」

「お前らがどんな生活を送ってるか気になったからな。まさかライナット王国の新国王と仲良くしてるとは思わなかったけどな」


「豊さんは私の婚約者です!」


 と、ロースターが言った瞬間、王虎の人たちの空気が凍りついた。

 そしてそのまましばらく沈黙していた。


「お前、それマジ?」


 と、ヤルタさんは聞いてきた。


「マジです」


 おれは平然と返した。


「さすがだねー。私達が見込んだだけはあるねー」


 と、アテマさんが言った。


「人生、何があるかわからないからな」


 と、ミリアさんも言った。


 俺らはそれから王都事変での出来事や武技大会での出来方を話した。

 ヤルタさん達もこっちに来るまでの経緯を話してくれた。

 なんでも、俺らが武技大会で優勝したその年、つまり2年前にはこっちに来るはずだったんだが、敵対組織『(パンター)』の構成員と色々やりあっていたらしく、その組織を殲滅していて遅くなったらしい。

 2年も遅れるって一体....


 それと、ヤルタさん達はしばらくここにいるそうだ。

 と言うのも、ヤルタさん達はここにいる『魔王』とやらと話がしたいらしい。


 ちなみに魔王とは、本来部族単位でしか纏まらなかったほぼ全ての種類の魔族を従えて国を作った人のことだ。

 3000年ほど続いたらしいが魔王は恋に落ち、国のナンバー2と言われた魔術師と結婚。

 その後は隠居生活をしているそう。

 神話の時代の話なのでもういない人なのかと思っていたが、どうやら今でも普通に生きているらしい。

 しかもこの王都にいるとのこと。

 名前は『ラプト』と言うらしい。


「てかお前ら、学校行かなくていいのか?」


 ヤルタさんが急にそんなことを言ってきた。

 そうか、今日は普通に学校があるのか。

 ただまぁ、正直疲れてるし休んでもいい気がする....


「いや、今日は休もうかなと....」


「不登校はよくないな。お前らをそんなふうに育てたつもりはないぞ」


 と、普通に叱られてしまった。


 俺はその後もグダグダ対抗してみたが「いってこい」と、一蹴されてしまった。


「さぁ!みなさん!行きますよ!馬車の用意ができましたし!」


 馬車の用意、となると、学校までは馬車で行けるのだろうか。

 なら、いつもの歩きよりもいくらか楽だな。


 俺らは外に出た。

 そこには1000人を超える兵士達がいた。

 各々が馬に乗り、鎧を纏っている。

 

 いや、ロースターさん。

 流石にここまでの護衛はいらないですよ。

 いや、でもロースターがそれを理解してないとも思えない。

 何か訳があるのだろうか。

 

「なぁ、この人達はなんなんだ?」

「凱旋するとなると、このくらいの人は必要でしょう?」

「凱旋?」

「ええ、王都襲撃から守ってくれたのですから、凱旋しないとです」


 俺は一瞬脳がフリーズした。

 凱旋って、あの凱旋だよな。


「いいわね!行きましょ!」


 アレスはする気満々だ。

 そのまま真っ先馬車に乗り込んだ。

 それにつられて俺らも乗り込んだ。


 馬車が動き出す。

 馬車の周りを囲むように馬に乗った兵士が並走している。

 ここで戦車とか出したら面白いかな....


 そんなことを思っていると、いつもの商店街に入った。

 その道の左右には老若男女、たくさんの人がいて、みんながこっちをみて手を振っている。

 なんか照れるな。

 俺らも笑顔で手を振りかえす。


 俺はふと思ったことがある。

 昨日の夜の出来事なのに、なぜみんな知ってるんだろうか。

 この世界には新聞なんてないし、テレビもない。

 俺らが戦ったってことは広まるのに時間がかかるはずだ。

 

「なんで俺らのこと、みんな知ってるんだ?」


 俺はロースターに質問する。


「昨日と今日で皆さんの功績を騎士団を使って広めたからです!あと、拡声魔術も使いました」


 確かにこの世界ならではの広め方だな。

 でも、戦闘が終わったのは深夜だ。夜遅くにそんなこと伝えられて、迷惑じゃないだろうか。

 

「昨日王都が安全になったと民衆に伝えた時、一緒に伝えたんです」


 そうか、避難してる人たちに安全になったと伝えなければならなかったのか。

 なら、拡声魔術を使われても迷惑じゃないのかな。


 そんなことを思っていると、学校に着いた。

 俺らは馬車から降りて正門を抜ける。

 ちなみになぜかロースターも隣にいた。


 今は授業中だ。

 外に人はいない。


 俺らは静かに校舎に向かう。


「英雄、『震電』御一行である!」


 隣にいた騎士がそう叫ぶ。

 すると、校舎の窓から生徒たちが顔を出してこっちに手を振ってきた。


 なんとも気恥ずかしい。

 俺らはとりあえず手を振り返した。


 そのまま校舎に入ると、たくさんの人が駆け寄ってきた。

 どうやら授業は中断したらしい。

 知らない人もたくさんいるなか、みんな口々にいろんなことを言ってきた。


「王都を守ってくれてありがとう」

「さすがは4帝」


 とか、そんな感じだ。


「流石です。皆さん。我が校としても非常に誇らしいです」


 そう話しかけたきたのは初老の小太りの人。

 そう、この学校の校長だ。


 あんまり話したことはないが、まぁ、優しそうな人だ。

 噂によると昔はすごい冒険者だったらしい。


「まさか君達がこんな英雄になるなんてね」


 そう話しかけてきたのはドニエルだった。


「どうだい?我が家の護衛になる気はないかい?そうだね。月給金貨3枚でどうだい?」


 金貨3枚。

 それは前にゴブリン退治のクエストで得た金額だ。

 ゴブリンを何百体も倒しての額だ。

 前世の価値にして約30万円。


「遠慮させてもらうよ」


 俺は遠慮しといた。

 今はまだ、進路を決めるには早い。


「ま、そうだよね。君たちは誰かに縛られるようなことは嫌いだもんね」


 と、言って笑った。

 どうやらだめ元だったらしい。

 なんだ、断るってわかってたのか。


「昨日の労いをこめて今度一緒に飲もうよ。いい店を知ってるんだ」

「いいな、ぜひ行こう」


 と、飲みに誘われたのでのることにした。

 ちなみに俺もドニエルも成人している。

 ドニエルは確か、19だったかな。

 この世界では15歳に成人でその時に酒もタバコも解禁される。


 この後はアレスやトレディアが決闘を挑まれ、その全てを返り討ちにしてその日が終わった。

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