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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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後始末

 戦闘が終わった。

 安堵からか俺らはその場に倒れ込んだ。


「大丈夫ですか!」


 そう言いながら近づいてきたのはロースターだった。


「今治癒魔術をかけますからね」


 そう言って俺たちに治癒魔術をかけてくれた。

 また体に痛みはない。

 が、治癒魔術を使っても体力は回復しない。

 俺らは馬車に案内されたので、ふらふらになりながら乗り込んだ。

 ロースターも同じ馬車に乗った。


「すごかったですね!まさか豊さんが竜まで召喚できるようになっていたとは!」


 竜?

 ああ、航空機のことか。


「いや、あれは、乗り物だ。馬車の進化系みたいなかんじだな」


 なんて拙い説明をしてみたが、ロースターはよく分かってなかった。

 

「夜も遅い、と言うか朝になってしまいましたので今日は、お城でおやすみください。みなさんの寮より近いと思いますので」


 普段なら悪いから寮に帰るよ、なんて言うが、今日はそんな気力もない。

 あと、ふかふかのベットで寝たい。

 ので、今日ばかりはお邪魔することにした。


 俺はそんな話をした後、疲れていたせいか、馬車の中で眠ってしまった。








 目が覚めた。

 天井がある。

 俺はベットの上にいた。

 隣には金髪の美少女、ロースターがすやすやと眠っていた。


 俺は昨日の事を思い出す。

 モンスターの軍勢と対峙して勝った。

 赤竜を一体は倒した。

 そのあとは王虎にお世話になったが....


「おはようございます」


 俺が昨日のことを思い出していると、眠そうな目をこすりながらロースターがそう言ってきた。

 どうやら起こしてしまったらしい。


「悪い。起こしたか?」

「いえ、そんなことないですよ」


 そういうと、ロースターは俺の腕にギュッと抱きついてきた。

 いつものことだが、今日は少し反撃してみよう。

 俺は少し狼狽えながら、ロースターを抱きしめた。

 いっつも俺はされるがままだったのでロースターは少し焦っていた。

 顔が赤いですよ、ロースターさん。


「豊ー!起きろー!」


 いきなりバタンと扉が開いた。

 入ってきたのはトレディアだった。

 そしてすぐに目が合った。


「あ...」

「あ...」


 少しの沈黙の後、


「楽しんでね!」


 そういうと、またバタンと勢いよく扉を閉めて去っていった。


「違う違う違う違う」


 俺は急いで部屋を出てトレディアを追いかけた。


「邪魔して悪かったよ。僕のことは気にしないで」


 ニヤニヤしながらトレディアはそう答えた。


「いや、ほんとに違うから。ただ抱きしめただけだから」


 すると、後ろからロースターがやってきた。


「ほら!ロースター、弁明してくれ!」


 するとロースターは平然とした顔つきで話す。


「豊さん。今日は珍しく積極的でしたね」


 違うだろ!

 そうじゃないだろ!

 いやまぁ、確かにそうだけども。

 

 トレディアはさっきよりもニヤニヤしながらこっちをみている。

 ロースターもニヤニヤしている。

 ちくしょう。


 ちなみにその後、朝食を取るまでずっと弁明していたがトレディアは何も理解してくれなかった。


 俺らは朝食を食べるために食堂に行った。

 道中、アレスと莞爾と合流する。

 おはようなんて挨拶を交わしながら、俺らは席についた。


 そこには朝食とは思えないほどに豪華な食事が並んでいた。

「昨日も晩御飯を食べていませんでしたよね?なのでたくさん用意しました」


 と、ロースターから説明があった。

 俺らは早速食べはじめた。


 久々の豪華な食事。

 うまい!

 普段は買えない香辛料や貴重な食材を惜しみなく使った食事。

 最高だね。


「それと、昨日のことなのですが....」


 なんだろう。

 実はあの後またモンスターが来て、とかだろうか。


「原因がわかったので、一応伝えておこうと思いまして」


 確かにあれは不自然だった。

 普段一緒に行動しない、違う種類のモンスターがたくさん居たし、そもそも赤竜はこんなところには来ないはずだ。

 歴史を見ても一度もない。


「どうやら、人為的なもののようでして」


 俺らはその言葉を聞いた瞬間少しピリついた空気になった。

 人為的に王都を破壊しようとしたものがいる。

 王都事変の残党だろうか。

 事実、俺らはその残党である、生徒会長スカイホークと対峙したことがある。


「そしてそれを起こした人物と言うのがオルデンブルク帝国のものの可能性が高いのです」


 オルデンブルク帝国。

 現在、ライナット王国と国境紛争をしている国だ。

 その規模はどんどんと大きくなり、もはや戦争は時間の問題とも言われている。


 そしてもし、今回のがオルデンブルク帝国の使者が行ったものだとしたら、敵首都攻撃と捉えられてもおかしくはない。

 詰まるところ、全面戦争へ発展すると言うことだ。

 

「すみません、少し重くなってしまいましたね。明るい話をしましょう!」


 と、ロースターは無理やり場を明るくしようとした。 

 俺は一つだけ言いたいことを言う。


「なぁ、ロースター。もし、戦争に発展したら、俺を呼んでくれ。大した活躍はできないかもしれないけど、力になるよ」


 すると、他3人も

「私も協力するわ!」

「僕も協力するよ」

「私も微力ながら」


 と、言った。


 すると、ロースターはニコッと笑って


「ありがとうございます」


 と、返答した。


「それで、今回のお礼をしたいのですが、何か欲しいものはありますか?遠慮はいりません!」


 お礼か。

 とりわけ欲しいものもないんだよな。

 お金も必要分はあるし。

 俺は武器とかも欲しいわけじゃないし。

 他3人もそんな感じだ。


「皆さんはこの国を二度も救ってくれた英雄ですから、ほんとになんでもいいですよ」


 と、念押しされた。

 うーん。

 なら、爵位とかもらおうか。

 貴族って少し憧れるし。

 なんて思っていると、トレディアがロースターに耳打ちをし始めた。

 

 トレディアはその後莞爾とアレスにも話し始めた。


「少し計画を練らせてください!」


 珍しくロースターが興奮しながらそう言った。


「トレディアさん、アレスさん、莞爾さん少しいいですか?」


 そういうとロースターは3人を連れてどこかに行ってしまった。

 え、俺は?

 仲間外れ?


 俺はとりあえず近くにいたセバスさんに目を向ける。

 が、セバスさんも『わからない』と言う視線を送るだけだった。


 俺とセバスさんがきょとんとしていると、誰かが入ってきた。


「わたくし、軍事顧問を勤めております、ヨークと申します」


 軍事顧問。

 とんでもないお偉いさんだ。

 確か、騎士団長直属の上司だったはず....


「豊様、大変な失礼を承知で質問してもよろしいでしょうか?」


 すると、ヨークさんは渋い顔をしながらこっちを見つめた。


「ええ、構いませんよ」


 俺はなるべくにこやかにそう答えた。


「貴殿の力は絶大です。昨日の戦いの戦果を聞き感服いたしました。それでどうか、その力をこの国に向けて使わないで欲しいのです」


 と、腰を低くしながらそう言った。


「勿論ただでとは言いません。富でも名声でも女でもなんでもご用意致します」


 何を言っているのだろうか、この人は。

 俺がライナット王国に楯突くわけがないじゃないか。

 そもそも盾ついたところで勝てる勝算なんてない。


「あの、私はそんなことはしませんよ。それにこの国とやり合って勝てるわけないですし」


 と言うと、ヨークさんは安堵の表情を浮かべた。


「そうですか!ありがとうございます!それで、そのお礼はいかほどに....?」


「いや、別にお礼とかはいらないので....」


 と、言ったところでセバスさんが俺らの間に割って入ってきた。


「豊様はお疲れです。これ以上はまた後日にしましょう」


 と、セバスさんが言うと、ヨークさんは「失礼しました」と、少し焦りながらこの部屋を去った。


「なんだったんですかね」


「おそらく、豊さまの力を危険視したのでしょう。それで、対峙するのではなく懐柔する道を選んだのかと」


「いや、俺はそんなに強くないですし....」


「豊様の強みはスキルによって生み出されれその兵士の数と質にあります。王国としても、騎士団が出払っている今、豊様を敵に回したくはないと考えたのでしょう」


 まぁ、確かに近代兵器は強いからな。

 おそらくこの世界でも対策は取れるだろうが、一回みただけじゃ対策不可能だしな。


 まぁ、そもそもロースターが大切にするこの国を攻めるなんてことは断じてないけどな。


 そんなことを思いつつ、おれは食事を再開した。



 しばらくして、3人が帰ってきた。

 トレディアとロースターが超ご機嫌だった。


 ロースターがこっちに近寄ってきた。


「豊さん。楽しみにしててくださいね!」


 そういうと、満面の笑みを浮かべて席に座った。


 そんな感じで俺らは朝食をとり終わり、とりあえず寮に帰ることにした。

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