再開
ぎりぎり体は動く。
俺らは赤竜に体を向け、再度攻撃の構えを取る。
赤竜はこっちを睨むと咆哮をあげた。
そしてなんと、そのままこっちに急降下してきたのだ。
俺らは急いで迎撃の体勢をとる。
俺は剣を召喚し正面に構えた。
が、相手は巨大な上に力も強く、何より速度があった。
俺はあっさりと吹き飛ばされてしまった。
その距離は1キロを超えたのではないだろうか。
アレスもトレディアも同じくして別々の方向に飛ばされた。
俺らは受け身をとって致命傷を回避する。
地面に倒れ込んだが頭は守った。
ただ、そこで悠々と待ってくれる相手ではなかった。
奴はすぐに追い打ちをかけてきた。
俺の上に乗ったのだ。
その巨体は俺の上に乗るだけでも凶器と化している。
身体中に魔力を込めて耐久力をあげたが、それでも長くは持ちそうにない。
俺は必死に抵抗するも、それは巨体をどかすには至らない。
アレスとトレディアは急いで赤竜に向かって走り、剣を振るうも、やはりその鱗を貫くことはない。
やばい。
意識が遠のいてきた。
血液が回ってないのだろうか。
だんだんと抵抗する力も弱くなってきた。
「2人共離れてください!」
そう叫んだのは莞爾だった。
アレスとレディアは急いでその場を離れる。
「物質精製魔術 応用 兵器精製 超電磁砲改」
次の瞬間、音速を超えた劣化ウラン弾が、あのとてつもなく硬い鱗を破り、心臓部を貫いた。
そう、あの鱗を貫いたのだ。
赤竜は咆哮をあげ、その場に倒れた。
俺はその巨体から抜け出し、3人と合流した。
正直言って体はボロボロだ。
今はギリギリで立っている状態といっても過言ではない。
「やったわね!」
「危なかったよ」
「貫いてよかったです」
なんて、口々にいいながら、全員が安堵の表情を浮かべていた。
それがいけなかった。
隣で倒れていた竜は最後の力を振り絞り、俺らに向かって羽を振り回してきた。
不意打ちとも言えるその一撃を莞爾はすんでのところで土の壁で防ごうとする。
が、その壁を壊して俺らを襲ってきた。
剣を構えるも意味はなく、そのまままた飛ばされてしまった。
俺らは蓄積したダメージ故か、受け身も取れずに地面にうつ伏せになった。
ただ、俺らとて冒険者。
なんとか気合いで立ち上がり、赤竜を向く。
が、そこには生き絶えた赤竜がいただけだった。
おそらくさっきのが最後の力を振り絞った攻撃だったのだろう。
勝ったのだ。
俺らは竜に勝ったのだ。
俺の胸に達成感が込み上げてくる。
気づけば他のモンスターもいない。
俺の兵士とトレディアのアンデットと莞爾のゴーレムが殲滅した。
その数は半数以下にまで減ってしまったが、明日にはまた呼び出せるようになる。
俺らは今回の攻防戦にも勝ったのだ。
圧倒的不利からの勝利。
嬉しくないわけがない。
こうして俺らが感無量に浸っていると、森の奥から声がした。
唸り声に近い声だった。
そしてその正体は一瞬にしてわかった。
その正体は空からやってきた。
そう。
赤竜だ。
しかも今度は4体もいる。
正直に言おう。
絶望だ。
勝てるわけがない。
一体でもあそこまで苦戦したのだ。
4体も一気に来て勝てるわけがない。
と、言っても俺らには意地がある。
俺らは剣を構え、奴らに向かう。
ただその足はフラフラで、剣をふれるかも怪しい。
そして、一体の赤竜はそんな俺らのことなんかつゆ知らず俺らに向かって急降下してきた。
俺らは気合いで、それを受け止めようとする。
「お前らぁぁぁぁぁぁ大丈夫かぁぁぁぁぁぁ!」
そう叫びながら誰かが一瞬にして俺らの目の前に現れた。
次の瞬間、目の前の赤竜は真っ二つになった。
焦った他の赤竜達は一斉に炎を吐いてきた。
「極冷陣地創造」
ただ、一瞬にして氷の壁生成され俺らを守ってくれた。
次に後ろから誰かが飛んできた。
その人は赤竜に飛びかかり、なんと殴ったのだ。
赤竜は地面に落ちた。
その人は流れるように落ちた赤竜をタコ殴りにした。
さらに後ろから人が来た。
その人は剣に魔力を込めて、「飛翔斬」を放った。
その一撃で赤龍は真っ二つだ。
「みんなー!でかいのやるから離れてー!」
後ろからそう聞こえたと同時、
「超空の天撃」
空から雷が落ちた。
その威力は絶大で赤竜は動きを止め、そのまま落ちた。
「とどめ行くよーさがってー」
そういうと、さっきまで近くにいた剣士たちは一瞬にして距離を置いた。
「渺渺光連撃」
次の瞬間、俺らの後ろから無数の光が赤竜に向かった。
その光の一つ一つが赤竜に当たった途端爆発する。
赤竜は無す術なく死んだ。
「お前ら大丈夫だったか?」
1番最初にかけつけた剣士が近寄ってくる。
俺らはその顔を見て驚いた。
それは久々に見る顔、「ルコンド・ヤルタ」さんだった。
他を見ると、フォード・アテマさんやヤツダム・ミリアさん、ワイオミングさんと言った『王虎』のメンバーだった。
「お前ら、だいぶ強よくなったな」
ヤルタさんは軽口を叩いているが、俺はそれよりも気になることがあった。
なんで彼らがここにいるのだろうか。
たまたまなのだろうか。
「なんでここにいるんですか?」
俺は質問してみる。
「ああ、お前らの学校で武技大会があっただろ?あれで優勝者は俺らとの決闘権があっただろ。それで来たんだよ。まぁ、思ったより遅くなったがな」
そうか、そういえばそんなのもあったな。
というか、それはもう2年前の話だ。
一体何があったら2年も遅れるのだろうか。
「いやー、みんな無事でよかったよー」
そう言ったのはアテマさんだった。
「話は聞いたよー。とりあえずモンスターも殲滅した事だし、勝鬨をあげようよー」
気づけばモンスターはもういなくなっていた。
俺らは勝ったのか。
初めは数を減らすのが目的だったのに、気づけば殲滅していた。
俺は思わず泣いてしまった。
なんと言うか、感動からだろうか。
そしてそのまま叫んだ。
勝鬨をあげた。
俺の召喚した兵士たちもそれに続いて叫んだ。
トレディアのアンデット達も骨を鳴らした。
莞爾が召喚したゴーレムも咆哮をあげた。
騎士団達はポカンとしていたが、しばらくしたのちつられたように叫んだ。
俺らの完全勝利だ。




