雪合戦
俺ら震電が逮捕されかけてから数ヶ月が経って季節は冬になった。
あたりには積雪1メートルほどの雪が降りつもった。
そんな中、俺らは今王城近くの屋外訓練場にいる。
なんでそんなところにいるかの経緯を説明しよう。
先週、俺ら震電とロースターは普通に寮で会話していた。
そこで俺と莞爾が雪合戦の話をすると、アレスが面白そうだからやってみたいといった。
なので俺らは外に出て雪合戦をしてみた。
これが思ったよりおもしろかったのか、ロースターが次は王城でやりましょうと言った。
そして準備を進めて一週間。
今に至るというわけだ。
雪合戦のルールは簡単。
2チームによるチーム戦で、雪玉が当たったらフィールドから退場。
どちらかが全滅したら負けだ。
フィールドにはいくつかの壁があり、その壁を壊すことは禁止。
あと、魔術を使ってもいいが、それが当たったところで退場にはならない。
また、魔術で壁を作ったり雪玉を溶かしたりするのは禁止。
一応治癒ドームはあるものの武器の使用は禁止で剣や杖は持ち込んではいけない。
そんな感じだ。
チーム分けは俺、トレディア、ロースター、セバスさんのチームと、アレス、莞爾、王国騎士団長のアンテークさん、宮廷魔術師魔術部門長のラニーミードさんだ。
ラニーミードさんとはあんまり親しいわけじゃないが、よく莞爾が魔術の研究なんかでお世話になっている。
ちなみに結構可愛い顔をしている。
俺らは互いに位置に着いた。
この訓練場は大人数での訓練を想定しているためめちゃくちゃ広い。
多分東京ドームなんかよりも広い。
試合開始の合図がなる。
今回も一応作戦はある。
もちろん策士ロースターが考えた作戦だ。
そんなことを考えていると正面からアレスとアンテークさんが突っ込んできた。
俺らは急いで雪玉を投げる。
が、2人は手に持っていた鉄の棒で全ての雪玉を撃ち落とした。
おそらくその手に持っているものは莞爾が物質精製魔術で作ったものだろう。
それありなのかよ。
俺らのチームはそれをみて、急いで石の棒を作った。
そしてそのままアレスはトレディアと、アンテークさんはセバスさんと白兵戦になった。
とりあえず俺とロースターは敵の側面に回り込むことにした。
俺とロースターはフィールドギリギリのところを極力音を立てずに近づく。
が、少しするとバレたのか雪玉が飛んできた。
「バレてますよ2人とも」
少し遠くらから莞爾の声が聞こえた。
やはりバレて新しい。
たぶんだが、探査魔術だろう。
俺らは次の作戦にうつる。
まず、雪を掘る。
地面が見えるまで掘る。
ここの雪は結構深い。
多分1メートルくらいある。
掘り終わったら屈みながら火魔術で雪を溶かしながら進む。
そうすることによって敵の雪玉が当たらなくなる。
「炎床」
そう思ったが、莞爾は辺り一面の雪溶かしてしまった。
雪玉を溶かすのはルール違反だが、雪だけならルール違反じゃないのか。
しまった。
ルールに追加するべきだった。
「ロースター陛下には悪いですがここでさよならしてもらいますね」
ラニーミードさんはそういって俺らの真上に魔法陣を展開する。
『時短詠唱』
「超局所的重力操作」
次の瞬間、俺らの体が宙に浮いた。
これは確か一級重力魔術だ。
普通この魔術は使うまでに時間がかかる。
ただこの人のスキルは『時短詠唱』
これがあれば一瞬で魔術を発動させることができる。
厄介この上ないな。
すると、ロースターが何かを投げるモーションをした。 ただ何かを投げたようには見えなかった。
「重力操作」
次にロースターは辺りの重力を操作した。
あたりの重力が少し重くなる。
そしてしばらくして、いきなりラニーミードさんに雪玉が当たった。
何が起きたのだろうか。
俺らは地面に落とされる。
「なぁロースター、何をしたんだ?」
俺はロースターに質問してみる。
「雪玉をラニーミードさんに投げたんです。その時、スキルで雪玉を見えなくしたんです」
ロースターのスキル、そういえば知らないな。
雪玉を透明にするスキルなのか?
「みなさん!今です!第二作戦開始です!」
ロースターが叫ぶ。
作戦は第二フェーズに入った。
俺は兵士を出せるだけ出す。
最近出せる数もかなりふえてきて、数にして1000人程度を出せるようになった。
一方のトレディアも2000体のアンデットを召喚した。
そう、第二作戦とは、数による雪玉飽和攻撃だ。
俺らは一斉に攻勢に出る。
計3000体から投擲される雪玉はアレスでは対処できなかった。
アレスは雪玉を喰らって失格になった。
「物質精製魔術 雪玉」
莞爾がそう言った次の瞬間、上からとてつもない量の雪玉が降ってきた。
俺らはそれを石で作った棒で撃ち落とすも、召喚した兵士やアンデットはなすすべなくくらってしまった。
一瞬にして3000体が退場となった。
魔術ずるくない?
すると、後ろからセバスさんがやってきた。
「こちらでの戦闘は終わりました。アンテーク殿は撃破しましたが、トレディア殿は脱落してしまいました」
トレディアがやられたのか。
だが、こっちは俺とロースターとセバスさんの3人に対してあっちは莞爾ひとり。
勝ったな。
次にセバスさんが莞爾に突っ込む。
そのまま石の棒で攻撃を開始する。
俺とロースターは横から雪玉を投げる。
横からチクチク攻撃されるのはかなりうざいはずだ。
徐々に莞爾が押され始まる。
余裕がなくなり俺らの雪玉を躱すのもギリギリだ。
不利を悟った莞爾は賭けに出る。
「物質精製魔術 雪玉 エクスプロージョン」
次の瞬間、莞爾の周りに雪玉が大量に生成され、その全てが爆散した。
一瞬だった。
反応できなかった俺らは大量の雪玉をもろにくらった。
近距離にいたセバスさんもくらった。
俺らのチームは全滅した。
莞爾が口を開く。
「間に合いませんでしたか」
どういうことだ?俺らは思いっきりくらったぞ?
「透明な雪玉に当たりました。ロースターさんのですか?」
「はい。何かしてきそうだったので秘密兵器を使いました」
つまり、莞爾が雪玉を爆散させた時、ロースターもスキルを使って透明な雪玉を投げたらしい。
それが双方に当たって引き分け、ということだ。
試合が終わったのを見て、アレス達がこっちに来る。
そして開口一番
「もう一回やりましょう!」
と言った。
ただアレス、一つ言わせてくれ。
これはもう雪合戦じゃない。
「莞爾、雪合戦ってこんなんだっけ?」
「いえ、絶対に違いますね」
次はとりあえず俺らは、ルールを改正してまともな雪合戦をやった。
途中塹壕戦になったり、鉄砲玉が出てきたりもしたがめちゃくちゃ楽しかった。
後は、かまくらや雪像を作ったりもした。
この世界にはかまくらはなかったらしいので、作った時、ロースターは興奮していた。
雪像は『偉大なる国王陛下』のタイトルの元、ロースターの雪像を作ったり、雪像でないが、めちゃくちゃでかい雪の城なんかも魔術で作ったりした。
魔術って便利。
そのあとは飯だ。
冬といったらということで、俺と莞爾が作り方を教えて、鍋を作ってもらった。
といっても、この世界には醤油とか味噌はないので、野菜や肉やその骨なんかを煮て塩で味付けしたコンソメ風のものだ。
そこに野菜や肉を入れる。
前世の鍋とは少し違うが、これはこれで美味しい。
正直、あんまりパンには合わなかったけど.....
こうして俺らは雪を満喫した。
前世だとこんなに雪で遊ばなかったのでなかなか楽しかった。
俺らはその日、王城の中で寝たが、ベットの質がいいのもあって泥のように眠った。
諸事情でタイトルを元に戻してみました。




