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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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震電逮捕 後編

「その者たちを解放しなさい!」


 ロースターの声が響く。

 王族専用の馬車と、騎士団長が率いる騎士団を従えらその姿はまさしく国王陛下ロースターだった。


 こうなってはもう偽物扱いはされないだろう。


「しかし、ロースター陛下、彼らは貴族殺しの疑いが....」

「それは誤解です。私があとで説明します。今はその者たちを解放しなさい」


 騎士団員達は困惑している。

 こっちに騎士団副長、あっちには陛下と騎士団長がいる。

 どちらもこの国の要職の人たちだ。


「早くそのものたちを解放するんだ!」


 騎士団長が怒気を纏ったような声で騎士団に訴える。

 その声は聞いただけでびびってしまいそうだった。

 

 慌てて騎士団員は俺らから手を離す。


「ドレッドノート騎士団副長、あなたに用があります。ご同行願えますか?」


 ロースターのその声は優しいようにも恐ろしいようにも聞こえた。

 

 その後、ドレッドノートは馬車に乗り込み、周りにいた騎士団員もロースター率いる騎士団員に一人一人拘束された。


「みなさんもこちらにお乗りください」


 ロースターはそういって自分の乗っていた馬車に案内した。

 その案内に従って俺らは馬車に乗った。

 

「みなさん、大丈夫でしたか?」

「ああ、ギリギリで助かったよ。ありがとう」


 馬車が動き出す。

 向かう先は王城だろうか。

 

 ロースターがしゅんとした表情をしながらこっちを向く。


「みなさん。本当にすみませんでした」


 ロースターの口から出てきたのは謝罪の言葉だった。

 そうか、あれでもドレッドノートはロースターの部下になるのか。

 まぁ、俺は全然気にしてないんだがな。

 今回はロースターも被害者だし。


「気にしてないから大丈夫だよ。今回はロースターも被害者だしな」

「そうよ。全部あいつが悪いのよ。ロースターが気にする必要はないわ!」


 アレスもそういった。

 莞爾もトレディアもうんと頷いた。


「ありがとうございます。みなさん。ドレッドノート騎士団副長とブラックウィドウ元公爵はこちらで処罰しておきます」


 そういうと馬車が止まった。

 窓から外を見てみるといつもの見慣れた寮だった。

 どうやらロースターは寮まで送ってくれたらしい。


「今日は疲れたでしょうし、ゆっくりしてくださいね」


 そういうと、俺らを降ろしてくれた。

 俺らを降ろした後、馬車は王城に向けて動き出した。


 なんというか、とんでもない一日だったが無事終わった。

 ロースターがいなければ今頃は牢屋の中だったろう。

 感謝してもしきれないな。


 俺らは玄関を開けて、寮の中に入った。

 





―――


 




 私の名前はマズル・ロースター。 

 ライナット王国国王です。


 今から少し前、ドレッドノート騎士団副長を捕まえました。

 今は牢屋にいるそうです。

 私はそこへ向かいます。

 

 勿論、抵抗されては危険なので四肢は鎖で拘束させてもらってます。

 彼は私に牙を剥き、さらには大切な人まだ奪おうとした。

 彼が震電の皆さんにかけた罪は『貴族殺し』。

 数ある罪の中でも極刑を免れない重い罪。

 そんな濡れ衣を着せようとしたんです。

 許せるわけがありません。


 牢屋につきました。

 私は重い扉を開けて中に入ります。


 そこにはボロボロになっている彼がいました。

 なんででしょうかね。

 まるで拷問されたようにボロボロですね。

 

「ロースター陛下!あれは誤解なのです!私はブラックウィドウに騙されたのです!」


 彼は必死に弁明しますが、聞く気はありません。

 どうせ、ろくなものではありませんから。


 私は沈黙を貫きますが、それでも彼は話し始めます。

 涙を流しながら、顔がぐちゃぐちゃになってもまだ話し続けます。

 少しかわいそうですね。

 彼の訴えに答えてあげるのも国王の仕事。


 私は無言で剣を抜きます。


「ロースター陛下その剣は私の鎖を斬るためですよね?」


 彼は不安そうな顔をしながらこちらをみます。

 やっと黙ったようです。


 私はそのまま頭から彼を真っ二つにします。

 斬る直前、断末魔のような、恨みのような声が聞こえましたが、気のせいでしょう。


「これが貴方の訴えに対する私の答えです」


 私はその場を後にします。

 次に向かわなければならないのはブラックウィドウ元公爵の元です。


 私はその足で城下町の裏路地に行きました。

 護衛は近くで待機させてあります。


 少し歩いて人気のつかないところに行くと、そこには一人の男がいました。

 その男は小太りで怒りと不安を混ぜたような顔をしています。

 その男とは、ブラックウィドウ元公爵です。 

 私は予め、彼をここに呼んでいました。

 勿論、護衛をつけずにひとりで来るよう条件をつけました。


「ロースター陛下。どうされました?」


 その男の声は震えていました。

 体はでかいのに小動物のような声で問いかけてきます。

 問いかけには私も答えなければいけません。

 私は無言で彼に歩み寄ります。

 そしてそのまま私は彼の肩に触ります。


「拘束」


 彼は動けなくなりました。

 拘束魔術です。

 拘束魔術はその名の通り触れたものを動けなくする効果があります。


「ロースター陛下、何をされるのですか」


 彼の顔には不安と恐怖が見えます。

 私は剣を抜き、ひと思いに腹を横に切ります。

 彼は断末魔をあげましたが、私は構わず今度は縦に斬ります。

 彼は涙を流しながら醜い声で叫びます。


「お前ら、早く来い!」

 

 すると後ろから2人の護衛らしき人が出てきました。


「早くあいつを殺せ!」


 彼がそういった途端、その2人の護衛は私めがけて肉薄してきました。

 私は迎撃の態勢をとります。

 そして剣に限界まで魔力を込めて飛翔斬を放ちます。


『光学迷彩』


 私はスキルを使います。

 このスキルは対象の物を透明にする力があります。

 今は飛翔斬の斬撃を透明化しました。

 その見えない斬撃は護衛達に防御をさせることなく当たりました。

 護衛達は何が起こったかもわからずに斬撃をくらって死にました。

 

 これには、ブラックウィドウ元公爵もびっくりしたようで冷や汗をかきながら恐れるようにしてこちらを見つめます。


「ロースター陛下、今までのことは大変申し訳ありませんでした。どうか改心いたしますので命だけは」


 彼は醜く命乞いをしました。

 うるさかったのでとりあえず口は接着魔術でとめておきます。

 彼はそれでも声をあげているようなので次は喉を突き刺します。

 

 しまった。

 私としたことがやりすぎてしまいましたね。

 私は急いで治癒魔術を彼に掛けます。

 彼の傷は癒え、元通りになりました。


 私はまた彼の腹を、今度は薄く削ります。

 そしてその断面に水魔術で水を垂らすと、彼は悶絶しはじめます。


 そんな感じのことを朝まで続けました。

 彼は震電のみなさんを無実の罪で殺そうとした親玉なのですからこのくらいは当然です。

 

 日が登り始めた頃、彼はもう声も出しませんでした。

 生きているはずなんですけどね。


 私は彼を真っ二つに彼を斬りました。


 これで今回の事件は解決です。

 せっかくですし、このまま豊さんのところに行くとしましょう。

 豊さんのところに行けばこの疲れも一瞬で取れますから。






―――






 夜が明けた。

 疲れていたのか、ぐっすり眠れた。

 朝一番、俺は下に降りていつも通り朝食の準備をする。


 玄関から声がした。

 ロースタの声だ。


 俺は玄関を開けロースターを迎え入れる。

 彼女は俺をみるや否やいきなり抱きついてきた。

 

「豊さん、昨日はあの後ちゃんと眠れましたか?」

「ああ、ぐっすり眠れたよ」


 そういうと、彼女は安心したような顔をしてえへへと笑った。

 可愛い。


「今回の事件に関してはこっちで対処するので安心してくださいね」

「わかった。ただ、俺らにできることがあったらなんでも言ってくれ」


 さすがはロースター国王陛下。頼りになる。

 

 その後、俺らは2人でご飯を作って、他3人を起こしてご飯を食べた。


 こんな日常がいつまでも続くといいな、なんて思いながら、俺はスープを啜った。

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