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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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震電逮捕 中編

 路地裏に着地した後、俺らは治癒魔術で回復した。

 前世だと何針も縫わなきゃいけない傷も一瞬で治ってしまった。

 そして俺はロースターに質問する。


「なぁ、なんで俺らは言われもない罪を着せられてるんだ?」


 今回のことでおかしいのは言われもない罪を着せられてること、そして何より騎士団の上司であるはずのロースターをも殺そうとしていることだ。


「おそらく、ドレッドノート副団長はブラックウィドウ元公爵家と仲が良かったからだと思います」


 その後の話はこうだ。

 まず、ブラックウィドウ元公爵とドレッドノート副団長の仲はいいらしい。

 表立っても友好的であったし裏金なんかもあったそう。

 

 そんな中、俺らがブラックウィドウ家を貴族から降ろした。

 それによってドレッドノート家は今までの裏金をもらえなくなった。

 

 金をもらえなくなったドレッドノート家と貴族階級を奪われたブラックウィドウ家。

 お互いの敵が一致したので今回のこんな事件になったらしい。

 

 その際、ロースターが変装してるのをいいことに震電の協力者として、ロースターも逮捕しようとしたのではないか、というのがロースターの見解だ。


 ただ、俺は一つ気になったことがある。


「なぁ、わざわざ濡れ衣を着せなくても、俺らにはブラックウィドウ家に侵入したっていう犯罪履歴があるんだから、それを使えばよかったんじゃないか?」


 俺らは一応犯罪者だ。

 しかも当事者は生きている。

 となればその事件で逮捕するのが得策ではないのだろうか。


 ただ、ロースターから返ってきた返答は意外なものだった。


「その事件は完全にもみ消しましたから」

 

 権力者怖ええええ。

 すごい平然というじゃん。

 

 ロースターを怒らせたら多分社会的に抹消されるんだろうな....


 怒らせないようにしよう。


「とりあえず、みなさん変装するために服屋にいきましょうか」


 俺らは指名手配犯。

 となればまだそんなに俺らの噂が広まってないうちに行動するのがベストだろう。

 俺らは急いで裏路地を出て服屋に向かった。


「服を買ったら私はお城に戻ります。そこでみなさんの事を騎士団長に話します」


 なるほど、王城に戻ればロースターを名乗る不審者じゃなくてロースターになれるのか。


 とりあえず俺らは服屋に入った。

 店主がいらっしゃいと元気に声をかけてくる。

 よかった、ここはまだマークされていないらしい。


 とりあえず俺らは急いで服を買う。

 冒険者の服だと気づかれてしまいそうなので、普通の人が着るような普段着を6着購入した。

 これならここの住民と同化できるだろう。


 俺らは急いでそれに着替えて、武器を服の中に隠す。

 やっぱ冒険者以外が武器を持っているのは不自然だからな。

 ただ、莞爾の杖は自分の背丈ほどの大きさがあり隠せそうになかったので、とりあえず布を巻いてアレスが持った。

 これなら多少だが誤魔化しがきく。

 

 そして俺らはこの後の作戦を立てる。

 と言ってもほぼロースターの案だが。

 時間がないので即座に作戦をまとめる。

 

 この後の作戦はこうだ。

 まず、ロースターは城に戻る。

 そこで色々対処して、俺らの指名手配と解いてくれるらしい。

 そして俺らはその間頑張って逃げ切る。

 ただ、どこにいてもいずれは見つかるので俺らは王城内に匿ってもらうことにした。

 正面から門をくぐって入るのは無理なので王都事変の時に使った隠し通路で王城に入る。

 以上が俺らの作戦だ。


 俺らはとりあえず王城を目指す。

 ロースターの護衛のためだ。

 なるべく急いで、でも走らないで、だ。

 

 全身から汗のような冷や汗のようなものを感じる。

 生まれて一度も国家権力から逃げるなんて経験はなかったので、この緊張感はなんとも嫌なものだ。


 前世の指名手配犯ってすごいな。


 そうやって歩いていると、前から鎧を着た人が2人現れた。

 間違いない、さっき戦ったあの騎士団員だ。


 俺らは極力目を合わせず、雑談をしながらやりすごそうとする。


 すると、騎士団員の一人がこちらをみる。

 そしてもう一人に話しかける。


 そして少し話したのち、通り過ぎていった。


 よかった。

 本当に心臓が飛び出るかと思った。


 俺らはさっきよりも少し急いで王城へ向かう。

 ここはもうマークされている。

 急いだほうがいい。


 そのあとは特に騎士団員と会うこともなく王城に着いた。


「少しここで待っていてください」

 

 ロースターとスピットさんは元々の服に着替えて門をくぐろうとする。

 ただその時、一人の衛兵が声をかける。


「現在、ロースター陛下を名乗るものが王都にいるという情報があります。何か身分を証明できるものはありますか?」


 しまった。

 すでにここもマークされていたか。

 よくよく考えればこの門を守っているのは騎士団だ。


 当然、というか、1番手を回しやすい。


 ただ、ロースターは動じることなく王家の紋様が描かれた印籠のようなものを見せた。


「失礼しました陛下、そしてスピット殿。どうぞお入りください」


 なぜかはわからないが、ロースターは城の中に入ることができた。


 そして言われた通りしばらく待っていると門からスピットさんが出てきた。


 その格好は陛下を護衛する時用の正装だった。

 

「ロースター陛下からです」


 そう言ってスピットさんは俺に一振の剣をくれた。


 とりあえず武器は手に入れたので俺はアレスに借りていた剣を返す。


 俺らはそのまま倉庫街へ向かった。


 心なしかさっきより騎士団員の数が多くなっている気がする。

 来る時は1人しかすれ違わなかったのに今は少し歩いただけで10人以上とすれ違った。

 スピットさんは正装なのでかなり目立っていたが、俺らより少し前を歩いてもらってるのでいい感じで注意を逸らせている。

 そのためか、話しかけられることはなかった。

 

 そんな中、俺はふと疑問が浮かんだ。


「スピットさん、ついてきてよかったんですか?」


「はい。ロースター陛下からのご命令ですので」


 スピットさんはロースターの護衛だ。

 俺らのためを思っての護衛ならありがたいが、正装で動いてると目立ってしまう。


「ロースター陛下より震電の護衛を任されております。もし騎士団に疑われてもこの学校なら地位的に見逃してもらえるでしょう」


 なるほど、あえてちゃんとした格好をすることで本人だと証明するのか。


 となれば正装な理由も納得だ。


 そんな感じで感心していると、前の人から声をかけられた。


「スピット、後ろの人たちとの関係は?」


 ドレッドノート騎士団副長だ。


「ええ、私の知り合いです」


「その人たちに用事がありますのでどいてもらえますか?」


「すみませんが、陛下の命令でそれはできないのです」


「その陛下は本物ですか?」


 そういうと奴はニヤッと笑った。

 嫌な感じだ。


「勿論本物です」


「では、陛下には申し訳ありませんが実力行使といきましょう」


 そういうとドレッドノート騎士団副長は自分にブーストを掛け、スピットさんに突っ込んだ。


 スピットさんも自分にブーストを掛ける。


 そこから始まるのは白兵戦。

 どちらも王国屈指の猛者なため、その剣撃は並の冒険者なら対応もできずに死ぬだろう。


 俺らも加勢しようと武器を抜く。

 ただ、周りにいる騎士団員がそれを許してくれなかった。


「ブースト」


 莞爾が全員にブーストをかけたのを合図に、俺らはそのまま騎士団員と戦闘になる。

 

 アレスとトレディアと俺が前衛、莞爾が後衛だ。


 スピットさんはドレッドノートと一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

 このまま行けばおそらく数の差で負けてしまう。

 そう思った莞爾は何か大きい魔術の詠唱に移る。

 あたりには魔法陣が展開され、莞爾の周りに魔力が集まっているのがわかる。


 それをみた騎士団員の攻撃が激しくなるが、俺らはそれをなんとか抑え込む。


 あと少し耐あれば勝機が見える。

 そんな時だった。

 

 敵の援軍が来たのだ。

 しかもその援軍は魔術師だった。


 俺らはその援軍が放った魔術の飽和攻撃に敵わなかった。


 もろに魔術を喰らってしまった。

 俺らは動けなかった。

 そのまま身柄を拘束される。


 その後はスピットさんも多勢に無勢と言った感じで拘束されてしまった。


「それでは、一度本部に戻って尋問といきますか」


 そういうやつは嬉々とした表情を浮かべていた。

 絶対にやばい。

 間違いなく拷問される。


 何か策はないか。

 スキルは使えない。

 身柄は拘束されている。

 攻撃を喰らったせいで力も入らない。


 だめだ、何も思いつかない。

 俺は絶望した。

 あとはもう、城にいる、ロースターに頼るしかない。

 情けないな、なんか。


 そんな感じで絶望していると、後ろから声がした。


「そこまでです!ドレッドノート騎士団副長!」


 そこに現れたのは豪華な馬車。

 そこから一人の少女が降りてきた。

 ロースターだ。

  

 隣にはアンテーク騎士団長もいる。


 俺らはギリギリで助かった。

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