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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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2人の浴槽

 盗賊が現れてから結構な時間が経ち、日が暮れてきた。

 

 馬車が止まり、窓が開く。

 そこにいたのは多分連絡係であろう兵士だ。


「陛下、今日はここで野営とします」

「わかりました」

「お食事まで少女お待ちください」


 どうやら今日はここで夜を越すらしい。


「今日はここに泊まるの?」


 とアレスが聞くと、


「はい。食事まで少々お待ちください。」


 と、ロースターが返した。


「じゃあ食材とってくるわね!行くわよ!莞爾!」


 そう言ってアレスは勢いよく扉を開けて、森の中に消えていった。


「一応食皆さんの食料は用意してるんですが....」


 ロースターは困っていた。


「まぁ、しばらくしたら戻ってくるだろうし、気にしなくても大丈夫だと思うよ」


 トレディアは冷静だった。


 今日のご飯はなんなのだろうか。

 当然国王に出す料理だから豪華なのだろうが....


「この世界には鉄道とかないの?」


 トレディアがいきなり質問した。

「多分ないだろ、見たことないし」

「なんですかそれは?」

「ええと、電気で動く馬が必要ない馬車みたいなものだよ」

「電気ってなんですか?」

「電気じゃなくて蒸気のまちがいだよ、そうでしょ?豊」


 あー、そうか、この世界には電気はないのか。

 あと、トレディアの時代は電車じゃなくて蒸気機関車か。


 とりあえず、トレディアに未来の蒸気機関車である電車を説明しよう。


「トレディアがいた時代の80年後くらいには蒸気機関車はなくなって、電気で動く列車が主流になるんだ」


 トレディアは心底驚いているようだったが納得してくれた。


 次にロースターに電車について説明しないとな。


「電車っていうのは馬の必要ない馬車みたいなものだよ。この馬車の10倍の速度は出るんじゃないかな」


「異世界にはそんなすごいものもあるんですね」


 ロースターはなるほどと言った感じだった。


「じゃあ馬車での移動はしなかったんですか?」

「ああ、電車以外にも、車っていう乗り物もあったり、あとは空を飛ぶ飛行機なんていうものあったよ」


 伝わるかな....


「空を飛ぶ....浮遊魔術ですか?」

「いや、それよりもっと速くて、しかももっと高く飛べるんだ」

「異世界はすごいですね.....」


 多分あんまり伝わってないだろうがまぁ、伝わったところで作れるわけじゃないからいいか。

 いや、蒸気機関車程度なら作れるかもしれないな。

 あとで莞爾に試してもらおう。


 そんな感じで雑談していると、数回のノック音がした後にと窓が開いた。


「陛下、お食事の準備が整いました」

「わかりました。ですが、お客様のうちのお二人が帰ってきてませんので....」

「あの人達は気にしなくて結構ですよ、陛下」


 トレディアがロースターの言葉を遮ってそう返した。


「わかりました。では頂きましょうか」


 ロースターがそういうとドアが開き召使みたいな人たちが並ぶ。


「案内いたします」


 そしてそのまま、近くにあったテントに案内された。

 そこはテントにしてはかなりの大きさで天井も高い。

 テーブルは大きく、椅子も高そうだ。


 そして何より美味しそうな匂いがする。

 見た感じ王城の時の料理となんら遜色ない。


「凄いな。てっきり野外での食事だからもっと質素なものかと思ったよ」


 すると、シェフのような人が出てきた。


「陛下に出すものですから場所がどこであれ最高なものでなければならない。というのが我々のモットーです」

 

 それに続いて料理の説明をし始めた。

 言ってることの8割は理解できなかったが、全部美味しいということだけははっきり理解できた。


「それじゃあ頂きましょうか」


 俺らは早速料理をは食べ始めた。


 美味しい。

 王城の時となんら遜色のない味だ。

 さすがは王家御用達のシェフ、場所がどこであれ料理の品が落ちないとは。


 そうやって舌鼓を打っていると、アレスと莞爾が帰ってきた。


 手にはおそらく狩ってきたであろうフェンリルが3体いた。


「どうするの?それ?」


 俺はアレスに聞いてみる。


「もちろん食べるわ!」


 そういうと、目の前でフェンリルを捌きはじめた。

 

 そういや、このフェンリルには傷がない。

 アレスは剣士だから倒す時に刀傷がつくはずだが、それがどうも見当たらない。

 急所を性格に突いたのだろうか。


「なぁ、どうやって倒したんだ?刀傷が見当たらないんだが....」

「斬ったら鮮度が落ちやすくなる上に解体しずらいでしょ。だから殴ったわ!」


 え?

 殴ってフェンリル倒したの?

 短時間に三体も?


「なぁ、ロースター、それって人間のできることなの?」

「一応できますが、剣士でやってる人はみたことないですね....多分格闘家にジョブチェンジできますよ....」


 そんなことを言ってるうちにアレスは解体を終えたらしい。

 

「莞爾、焼いてちょうだい」

「テーブルの上にはもっと美味しそうな料理がいっぱいありますよ.....」

「折角狩ってきたのに勿体無いでしょ?」


 そういうと、莞爾は微妙な顔をしながら肉を焼き始めた。


 その間も俺らはテーブルの上の料理を食べていた。


 しばらくして肉が焼けると、アレスは近くにいたコックに声をかける。


「塩はあるかしら?」

「え...あ、はい。ただいま持ってまいります」


 もう訳がわからない。

 テーブルの上に料理があるのにそれを食べずに肉を焼いて塩を要求するアレス。

 それを横目に他4人はテーブルの上の料理を食べる。


 ナニコレ


「お持ちいたしました、お塩です。それと、もしよろしければこちら胡椒です」

「ありがとう」


 そう言ってアレスは肉に塩と胡椒をかけると、そのままかぶりついた。


「おいしいわよこれ!みんなも食べる?」


 とりあえずみんな遠慮しておいた。

 アレスが色々してる間に結構食べたのでみんなお腹いっぱいだ。


 俺らが食べ終わってもアレスはフェンリルの肉を食べていた。


 フェンリルは狼のような魔物で体長は2から3メートル。

 結構な大きさだ。

 それを三匹となると人間の食べれる量ではない。


「少し多いわね」


 流石のアレスも限界が来たようだった。

 一匹半は平らげていたが....


「少し余ったから騎士団の人に分けてくるわ」


 そういうと、残りの肉をもって外に出て行った。


「我々も寝る準備をしましょうか」

「ロースター陛下、お風呂に入りますか?」

「ええ、ただそのものたちを先に入れてあげてください」


 凄いな、風呂まであるのか。

 野営時は水浴びが基本だから風呂に入れるならありがたい。


「こちらはこちらでお風呂を作りますのでどうかお二人でごゆっくり」


 そういうと莞爾とトレディアが外に出た。

 おい、まてどこに行く。


 入れ替わるように従者が出てきてテーブルと椅子を外に出し、大きな浴槽を持ってきた。

 

 そしてそこに温められたお湯を入れる。


「ここば防音にしてありますので、ごゆっくりどうぞ」


 そういうと、さっきまで周りにいた従者やコックが外に出て行った。

 完全に二人きりだ。


「さぁ、豊さん!入りましょうか」

「いや、流石に風呂は.....」

「いいじゃないですか、どうせこれからは一緒にはいるんですし遅いか速いかの違いですよ」

 

「前にも言ったが前世では....」

「ここにはここの観念があるんです。気にしなら負けです!」


 そういうとロースターは俺の服脱がし始めた。


「わかったわかった一緒に入るよ」


 俺は少し強引にロースターを引き剥がし、自分で脱ぎ始めた。


 下部にタオルを巻き、俺は風呂に浸かる。


 ああ、癒される。

 今日は盗賊と戦ったから尚更だ。


 少しすると、ロースターが入ってきた。

 この浴槽は持ち運び式ということもあり、前世の浴槽と同じくらいの大きさだ。


 俺の身長は183㎝なので、ロースターも入るとかなり狭い。


「えへへ、裸の豊さんだぁ」


 そう言ってロースターはおれの目の前で体をおろした。


 状況的には、俺が浴槽の壁にもたれかかって、同じ体制で俺の胸にロースターがもたれかかっている。


 すると、ロースターは俺の腕をどっちも持ち上げて自分の目の前においた。


「抱きしめてください」


 ためらった。

 ためらうだろ、そりゃ。

 前世でそういうことはなかったんだから。


「最近、会いに来てくれなかったじゃないですか。その罰です」


 俺は戸惑いながらも、というかめちゃくちゃとまどいながらロースターを抱きしめた。


「えへへ、豊さんの腕だぁ」


 この、えへへと笑う時の彼女はとても可愛い。

 俺はこの顔が1番好きだ。


「大好きですよ、豊さん」


 そういう彼女はてとても落ち着いていて、でもどこか幼い。

 素直に可愛いと思った。


「だんまりですか?」


 ロースターはほっぺたをぷくっと膨らませながらこっちをみた。

 体勢上横顔しか見えないが、とても可愛らしい。


「ああ、いや、とっても可愛いと思ってな」

「えへへ、豊さんのお嫁さんだから当然です!」


 そういう彼女の顔は真っ赤だった。

 のぼせたのか、それとも....

 答えは神のみぞ知るだな。


「そろそろ上がるか」


 結構長く使ってしまった。

 俺は浴槽を出て着替えを手に取る。


「豊さんって意外と筋肉ありますね」

「そりゃ、アレスの筋トレに付き合わされてるからな」

「大変そうですね....」

「そりゃもう....」


 俺らは着替えて、外に出た。


「明日には着くのか?」

「はい。明日は楽しみましょう!」

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