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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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ゴブリンクエスト 後編

 莞爾が複数の敵を捉えた。

 数にして十匹そこら。

 

 全員臨戦体勢になる。

 数が多ければさっきの遠距離狙撃は通じない。

 

 俺らはゆっくりと近づく。

 なるべく音を立てないように。


 そして敵との距離が100メートルくらいになった時、敵が見えた。

 ゴブリンだった。

 奴らは集団で、特に何かをしてるわけでもなく、ただそこにいるだけだった。


「豊、行くわよ」


 アレスはやる気満々だ。

 

「僕も行こうかな」


 トレディアもだった。

 

 俺らは陣形を整える。

 アレス、トレディアが前衛、俺が中衛、莞爾が後衛だ。


「私一人で大丈夫ですよ」


 そういうと、莞爾は杖を奴らに向け、魔力を込め始める。


「流雷龍」

 

 莞爾が放った雷をまとった水の魔術はゴブリンめがけて飛んでいき、そのままゴブリン3匹に直撃。

 ゴブリンが悲鳴を上げる。

 さらに、軌道を変え、7つに枝分かれして、それぞれのゴブリンに直撃した。


「あれ何?」


 俺は質問する。


「水魔術である水竜と、雷魔術である雷電を一緒に使ったんです」


 なるほど、だから雷が曲がるのか。

 普通、雷魔術は直線的な攻撃しかできない上に連鎖的な攻撃はできない。

 ただ莞爾が持ってるスキル『多重詠唱』を使えばそれが可能なのだろうな。


「私の分も残しておいてよ」

「すみませんでした」


 アレスは少し怒りながら莞爾にそう言った。


 確かに、アレスもトレディアも暇か。


「わかりました。次はお二人に譲ります」

「約束よ!」


 どうやら次に戦うのはトレディアとアレスらしい。


「敵、右から来ます」


 莞爾が探査魔術出て気をとらえた。

 さっきのゴブリンの悲鳴で敵がやってきたのだろうか。


 俺らは陣形を立て直し、敵がいる方に構える。


 茂みから音がする。

 それも複数の音だ。

 敵は間違いなく複数いる。


 茂みから勢いよく飛び出してきた。

 緑色の皮膚に短い背丈、さらには少し長い耳。

 ゴブリンだ。

 数にして6匹以上はいるだろうか。


「ブースト」


 莞爾が全員にブースト魔法をかける。


 次の瞬間、アレスとトレディアが的に突っ込む。

 そしてそのまま一振りで近くにあった木ごと、ゴブリンを一刀両断した。


「なんか、思ってたより全然手応えないわね」

「そうだね、複数でかかってきても、これじゃあね」

「前に倒した、3つ首のついた犬の方が強かったわ」


 3つ首のついた犬.....

 ケルベロス....?

 あれ、一級の魔物なんだが....

 流石に勘違いだろ。

 きっと。


 そんな感じで、とりあえず全員ゴブリンには慣れた。

 となれば後はいかに多く狩れるかだ。

 このクエストは倒せば倒すほどお金をもらえるのでできるだけ多く倒したい。


「なんか、効率悪くない?」


 トレディアがゴブリンの死体から鼻を切りながらそう言う。

 ゴブリンクエストは持ち帰った鼻の数が倒した証明となる。


「なんかさ、罠を仕掛けようよ」


 罠か。

 だが、俺らはそこら辺は全く準備していなかった。

 故に罠に使えそうなものなど一つもない。


「なら、罠ではありませんが誘き出す方法ならあります」


 莞爾がゴブリンの鼻を切りながらそう言う。


「どんな方法なんだい?」

「適当なゴブリンを一匹捕まえて悲鳴を出させます。その悲鳴を拡声魔術で森中に広めればやってくるかと」


 ゴブリンは仲間意識が強いモンスターだ。

 さっきゴブリンを倒した後さらに追加でゴブリンが来たのも悲鳴が聞こえたからだと思われる。

 

 なのでその作戦は理にかなっているだろう。

 ただなんというか、慈悲のかけらもねえ。

 

「じゃあ早速やってみましょう!」


 この3人は乗り気なようだ。


 とりあえず俺らはゴブリンを探した。

 すると草木の陰に運良く三匹のゴブリンがいた。


 莞爾は石魔術でそいつらを固定。

 そしてゴブリンの目の前で拡声魔術を使う。


 アレスはゴブリンの腹を切り裂いた。

 ゴブリンは悲鳴のような鳴き声のような声を上げる。

 そしてその声は森を包んだ。


 これを後2回。

 

 なんというか、どっちが悪かわからなくなってきた。

 

 ゴブリンというモンスターは害悪だ。

 人里に出れば人を襲う。

 そして嬲り殺すようなモンスター。


 人が生きるためには狩らなければならない。


 ただなんというか、今回はゴブリンに同情してしまう。


 そしてしばらくすると、とてつもない足音がした。


「数多数。100以上はいます」


 どうやら作戦は大成功したらしい。

 こうなればもう可哀想だとかは言ってられなくなる。


 俺は『AK-47』を召喚する。


 数秒後、ゴブリンたちがやってきた。

 みたこともない数だった。


「超身体能力向上」


 莞爾のそれが合図だった。


 アレスとトレディアがゴブリンの群れに突っ込む。


 トレディアは「飛翔斬」を横に放ち、ゴブリンたちを圧倒する。

 アレスも二刀流の強みを活かし、手数の多さと、素早さでゴブリンの群れを一掃する。


 俺は前衛の後ろからAK-47を単発撃ちしていた。


 莞爾は何やら魔法陣を出していた。

 久々に見るが、魔法陣が出る魔術というのは普通の魔術より規模が桁違いだ。

 そのため発動まで時間がかかるが。


「豊さん!後ろからきます!」


 莞爾の探査魔術が後ろのゴブリンを捉える。

 俺はすぐさま反対を向き、『MG42』を召喚、さらに兵士を100人召喚する。

 

 最近、鍛錬の成果あってか、兵士を呼び出せる数が格段に増えた。


 兵士に持たせたのは『M2ブローニング』と『M26手榴弾』だ。

 全員が戦闘体制にはいる。


 だんだんと足音が大きくなってくる。

 そして、茂みからかなりの量のゴブリンが出てきた。


 ゆうに100を超えるゴブリンの群れだ。


「撃て!」


 俺がそう命令すると、各員が一斉に発射した。

 ゴブリン達はなんの抵抗もできずに死んでゆく。


 当然だ。

 ゴブリンは銃の距離からの攻撃手段を持っていない。

 ゴブリンは近寄らなければいけない。


 そしてあたりが屍の山になった時、今までとは違う、かなり重い足音が聞こえた。


 だんだんと近づいてくる。

 だんだんと見えてくるその影は3メートルを超す大男のような見た目だ。


 そこに現れたのはゴブリンロードだった。


 ゴブリンロードとはゴブリンの長的存在で、ある意味ゴブリンの突然変異に近い。


「撃て!」


 12.7ミリの弾丸はゴブリンロードに直撃した。


 が、その全てを奴は弾き返した。


 嘘だろ?12.7ミリだぞ?

 前世では戦車をも撃破した銃だぞ?(チハがやられた)


「撤退!」


 俺は兵士を後ろに下げ、日本刀を召喚し構える。


 日本刀の扱いはあんまり得意じゃないが、いつものナイフだとこの巨体を斬れる気がしない。


 俺はありったけの魔力を日本刀にこめてやつに突撃した。


 奴は俺に殴りかかろうとする。

 俺はそれを回避して、剣を横に構える。


 そのまま、拳を振り終わり隙だらけの奴の懐に入って、

横腹を切り裂いた。


 やつが悶絶する。

 今がチャンスだ。


 俺は『RPG-7』を召喚し、全力で横に飛ぶ。

 そして、さっきの傷口にロケット弾を打ち込んだ。


 ゴブリンロードは何も言わずに死んだ。

 いや、言えずに、の方が正しいか。


 アレスとトレディアの方も片付いたらしい。


 俺で終わりだ。



 そう思っていると、俺らの目の前にものすごい速さで何かが現れた。


 体長3メートルくらいの緑色で、筋骨隆々なモンスター。

 ゴブリンロードだ。


 俺らは急いで剣を構える。

 そして斬りかかろうとした時だった。


渺渺光連撃(メテオストライク)


 次の瞬間、無数の光がゴブリンロードを襲った。

 一秒間に何回も襲ってくるその光はゴブリンロードを溶かし、10秒後には死体すら残っていなかった。


「莞爾、あれ何?」

「私が最近習得した一級光撃魔術です」


 そういえば、莞爾はずっと魔法陣を展開させていたな。

 すっかり忘れていた。


 まぁ、なにはともあれ無事ゴブリンを大量に倒すことができた。


 俺らは早速ギルドに持っていった。


 ギルドで数えたが、その数は300を超えていた。

 

 すげえな。


 かなりの額が入ったので、これで当面はお金で困ることはないだろう。


 始まったばかりの夏休み。

 やることはやったし遊び尽くすぞ!

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