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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
43/64

ゴブリンクエスト 前編

 今日からこの学校初のビッグイベントが始まった。

 そのイベントは個々が自分のやりたいことをやりたいようにやる。

 教師とて例外ではないイベント。


 夏休みだ。


 この学校には夏休みや冬休みというものがなかった。

 なので評議委員会の方で作ったのだ。


 この案が通るか心配だったが、意外にも校長はあっさり許してくれた。


「夏休みが始まったけどなにをするの?」


 アレスは目を輝かせながら質問する。

 俺は一つやらなきゃいけないことを思い出した。


「みんなでやらなきゃいけないことがある」

「なによ?」

「お金を稼がなければならない」


 そうだ、お金がないのだ。


「でも、学費はロースターが払ってくれているし、4級試験の謝礼金や王都事変、武技大会なんかで結構お金はもらってるわよね?」


「ああ、確かにかなりの額をもらってる」

「じゃあなんで足りなくなるのよ」

「全部家の修理費に持ってかれた」


 全員ポカンとしている。

 忘れてるかもしれないが、というか忘れてるだろうが、4級試験を受験する前、ロースターが一度拐われたことがあった。

 その時トレディアがロースターを救出したのだが、その時に『飛翔斬』を放ったせいで家が真っ二つになった。

 怪我人こそ出なかったが、普通に弁償しなければならなかった。

 一応、今までもらったお金で家の方の弁償は済んである。

 が、3年間の生活費の方までのお釣りはなかった。

 故に今、このパーティは金がない。


 少しするとみんながハッとした。

 どうやら思い出したようだ。


「そういえばトレディアあんた、そんなことしてたわね」

「あはは、そんなことしたっけなぁ」


 最終手段はロースターに土下座だがそれはしたくない。

 やっぱ人としてね。


「てことで金がほとんどありません」

「じゃあクエストを受けにいきましょ!」


 まぁ、1番冒険者っぽい無難なアイディアだな。


 他にも、バイトをするとかもあるが、今からだと働ける期間はそう長くない。


 となればすぐにでもできるクエストの方がいいか。


「よし、じゃあギルドに行くか」


 俺らはギルドに向かうことにした。

 久しぶりだな。

 最後に行ったのは武技大会の前にした特訓の時以来だ。


「なんだか久しぶりね!」

「たしかにそうだね。僕も最近はあんまり行けてないな」


 冒険者ギルドに着くと、いつものように掲示板にはたくさんの依頼があった。


 モンスター討伐依頼がほとんどだが、商人の護衛、家や店の手伝い、無くしたもを探す依頼なんかもあった。


 何かいいのはないかと物色していると、いい感じの依頼を見つけた。


 内容は〈森の中にいるゴブリンを退治すること。退治した数に応じて報酬を出す〉とのことだ。


 早速この依頼を受けることにした。


「ゴブリンの依頼ですね。了解です。ご武運を祈ります」


 早速依頼をしに森に、といきたいところだが、そうは行かない。

 準備が必要だ。


 俺らはまず防具屋に行った。

 

 必要な武器は揃っているが、防具がない。

 俺はとりあえず盾を買った。

 ゴブリンとの戦いで気をつけなければならないのは多対一による集団リンチだ。

 逆に言えばここの戦闘力はそう高くない。


 次に、アレスはスクロールを2つ買った。

 アレスは魔法を使えないわけじゃないが、得意ではないので戦闘中は使わない。

 ただ、ゴブリンが固まって襲ってきたら魔法の方が圧倒的に効率的なので、すぐに魔法を発動できるスクロールを買ったのだ。

 ちなみに発動する魔法は「雷電」と「水竜」

 名前の通り雷の魔法と水の魔法だ。


 あとは、ポーションを買った。

 それぞれ、治癒ポーションが1つ。

 さらに、俺とトレディアとアレスは身体能力向上のポーションを一つずつ。

 莞爾は魔力のポーションを一つだ。


 莞爾の魔力切れはみたことないが、この世界にも魔力切れはある。

 魔力が切れたからと言って死ぬことはないが、魔力がなくなれば一定数回復するまで気を失う。

 

 とりあえず一通りは揃った。

 ちなみにこれでほんとに明日の朝ごはんを食べる分のお金もなくなった。


 後には引けないと覚悟を決めつつ、俺らは森に向かう。


 今までの決闘や模擬戦なんかとは違う、ほんとの命の取り合いだ。

 

「トレディア!どっちが多く狩れるか勝負しましょう!」

「いいね、やろうか」


 おい、まてまて、一緒に行動するんだよ。

 何一人で行動しようとしてるんだ。


「一緒に行動しなきゃ危険だろ」

「大丈夫よ!ゴブリンくらい」


 典型的なフラグだな。

 やめてくれ、そういうことを言ったパーティは大体全滅するんだ。


「森は危険だからな、パーティで行動するぞ」


 アレスは不満そうな顔をしながらも渋々承諾してくれた。

 

 王都の街をただしばらくすると森が見えてきた。

 最近はずっと王都にいたせいで忘れていたが、この世界のほとんどは森草原だ。


 俺らは森の中に入った。

 久々の木の匂いがする。


 あとは、ほんの少し、獣臭い。

 何かがいるな。


「1キロ先にモンスターがいますね」


 莞爾が探査魔術で捉えたらしい。

 俺らは剣を抜き、モンスターの方へ近づく。

 

 そして、モンスターとの距離が300メートルくらいになった時、俺は『バレットM82』を召喚した。


 莞爾に周りを分厚い水の壁で覆ってもらった。

 これで銃声がしても大丈夫だろう。


 俺はゆっくり照準を絞っていき、敵を捉える。


 サイクロプスだ。

 ゴブリンじゃないのか。

 こいつは依頼じゃないので金はもらえない。


 俺は照準を合わせ、やつを撃ち抜いた。

 さすがは対物ライフル、1発で敵を倒せた。


「次は私がやるわ!」


 アレスは張り切っていた。

 確かに、さっきのあの倒し方じゃアレスは暇だったよな。


 ただ、1番安全ではあるんだがな....


 俺らはさらに森の奥へと足を進めた。


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