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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
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ランチ

 今日は休日。

 俺らは寮にいた。

 俺とアレスは筋トレ、トレディアは親のところへ、莞爾は魔術研究をしていた。


 いよいよ明日は生徒会役員選挙だ。

 今から緊張する。

 絶対に失敗できない。


「どうしたの、豊。なんか震えてるわよ」

「ソソソ、ソンナコトナイヨー」

「話し方がおかしいわよ」

「ゼンゼンイツモドウリダヨー」


 自分でもわかる。

 やばいと。

 てか、アレスさんは大丈夫なんすか?


「アレスハキンチョウシナイノ?」

「私はそんなに。だって緊張してもしょうがないもの」


 なるほど、アレスらしい素晴らしい考えだ。


「すみませーん」


 玄関の方から声がした。

 その声は聞き馴染みのある声だった。


「いらっしゃい」

「こんにちは。豊さん」


 ロールに変装したロースターだ。

 後ろには護衛のスピットもいる。

 


 今日はどうしたんだろうか。

 生徒会役員選挙に向けての作戦でも話に来たのか?

 いや、それはリオット王女が主導でやってるはず....


「急にどうしたんだ?」

「遊びに来ました」


 なるほど、どうやら深い意味はなかったらしい。


「あら、ロースターじゃない。いらっしゃい」

「こんにちは、アレスさん」

「こんにちは。せっかくだから豊連れてどっかに行ってきてよ」

「どうしたんです?」

「豊、緊張して会話できてないから、紛らわせてほしいのよ」


 アレスはニヤニヤ笑顔でこっちをみている。

 ロースターはニヤニヤしながら


「もう、しょうがないですね」


 と嬉々としてニコッと笑いながら言った。

 

 発言と顔があってないぞ、ロースター。



 ということで、連れ出されてしまった。


「あとはよろしくお願いします」


 スピットがそういうと、この場を去ろうとした。

 まてまて、いくら変装してるからと言っても国王の護衛役なんて俺にはできないぞ。


「あの....護衛は....?」

「貴殿は強いとお聞きします。武技大会でも優勝されたとか」

「いやまぁ、あれはたまたまで....」

「ご謙遜なさらなくても。貴殿でしたら問題はないでしょう」


 俺はそんなに強いわけではない。

 あの3人がイカれてるのだ。


「いや、本当に私はそんな強くないですから」

「2人きりは嫌なんですか?」


 ロースターがしゅんとした上目遣いでこちらをみてくる。

 

 その顔は反則だろ。


「わかりました。命に変えてもお守りします」

「私、自分の身くらい自分で守れます!」


 ということで、2人で行くことにした。


「どこにいきたい?」

「甘いものが食べたいです!」

 

 ということで、最初に行ったのはスイーツ専門店。

 多分この世界には別な呼び方があるのだろうがよくわからないのでとりあえずこの名前で呼ぶことにした。


 メニューを見ると、よくわからない食べ物がいっぱ載ってあった。

 

「なぁ、ロースターのおすすめはなんだ?」

「おすすめはこのダリオルです。この国伝統のお菓子です」

「じゃあそれにするか」

「じゃあ私もそれにします。あ、あとアイスクリームも」


 よく食べるな。

 というかアイスクリームがあるのか。

 前世だと明治時代に日本に来たやつだ。

 その時の名前はアイスクリンだったかな。


 氷魔術が使えるこの世界では冷凍のものも製造、販売できるのだろうな。

 異世界ならではだ。


 俺らは早速注文した。


「ダリオルと2つとアイスクリームをお願いします」


 この世界に来てからは甘いものはあんまり食べないので楽しみだ。


「甘いもの久しぶりだな」

「そうなんですか?」

「ああ、この世界だと甘味は貴重だからな」

「この世界?」

「ああ、前世なら好きな時に好きなだけ食えたからな」


 懐かしい。

 ジュース、ケーキ、チョコにクッキー。

 ああいうものはどこでも手に入ったな。


「前世の世界はすごいですね」

「ああ、毎日が生きるか死ぬかじゃなかったし、娯楽に溢れてた」

「ゆたかだったんですね」


 そうだな。

 前世は日本に生まれた。

 国ガチャはSSRを引いたと言える。

 社会保障は充実してたし、医療も充実してた。

 発言は自由だったし、娯楽も沢山あった。

 いいところだったな。


 俺が思い出に浸っていると、頼んだものが来た。

 小さいパイみたいなものがダリオルというものらしい。 アイスはまんまアイスだった。


「じゃあ食うか」


 俺はダリオルを口に入れる。

 味はカスタードのような味だった。

 前世でもコンビニで売ってそう。


「一口食べますか?」


 ロースターがアイスを頬張りながこっちを見る。


「ああ、じゃあせっかくだからもら貰おうかな」


 そう言うとロースターはアイスを一口分スプーンにのせ俺に向けた。


 いやさ、意識してるとかじゃないんですよ。

 たださ、それ間接....


「いらないんですか?」

「え、ああ、いりますいります」


 相手は15歳だぞ。

 

 俺は腹を括って(?)アイスを食べた。

 味はフツーのアイスだった。

 ただ、この世界だと冷たいものはなかなか食べられないので、ものすごく懐かしい気がした。


「どうです?」

「美味しいよ。前世のものそっくりだ」

「前世にもアイスクリームがあったんですか?」

「ああ。まんまその味のものがあった」


 ロースターはへぇという顔でこちらを見た後、手に持っているスプーンを見つめニヤニヤしながらボソッと何かを喋る。


「えへへ、豊かさんと間接....」


 おい、こいつ今言ったよな。

 王城での風呂の件といい、完全に言ったよな。


 ま、まぁ、うん。

 その、ね。

 いいじゃないか。


 俺はダリオルを平らげた。

 ロースターもアイスを食べ終わり、ダリオルも平らげていた。


 ちなみに結構いいお値段だった。

 甘味が貴重だからしょうがないのだが....


「後は何がしたい?」

「せっかくなんで市場が見たいです」


 ということで、市場に行くことにした。

 いつもの見慣れた場所だが、ロースターと行くとどこか新鮮である。


「あれ食べましょ!豊さん!」


 そう言ってロースターが指刺したのは小さい白い樽のような、多分食べ物であろうものを売ってる店だった。


「あれはなんなんだ?」

「あれはオヴォス・モーレスっていうお菓子が売ってある屋台です。甘くて美味しいんです!」


 俺らはそれを買った。

 手のひらサイズの白い樽みたいな見た目をしたお菓子は意外と美味しかった。

 中にはクリームが入っていて、とても甘かった。


「美味しいな、これ」

「豊さんもこのおいしさに気づきましたか」


 ロースターはにこやかにこちらを見ていた。

 その顔はまさに同胞を見つけて喜んでいる顔だ。


 その後も市場で色々なものを見た。

 アクセサリーが売っている店や、剣や杖を売っている屋台。

 色々なものが店の中ではなく屋台として売られているのは王都の特徴だろう。

 人が隠れない分活気があるように見える。


「少し、人混みから外れませんか?」

「いいけど、どうしたんだ?」

「少し人に酔ってしまって」


 ロースターは少し元気がなかった。

 人混みに酔ったのか。


 俺らは裏路地に入った。

 正直、裏路地に入るか迷ったが、市場はかなり大きく、奥まで進んだため戻る何も時間がかかる。

 それに王都の治安は割といい。


「大丈夫か?」

 俺は土魔術で粗末なコップを作った後、水魔術で水をコップに入れてロースターに飲ませた。

「ありがとうございます。楽になりました」


 俺は人に酔ったことがないからわからないが、船酔いみたいなものなのだろうか。


 しばらく休憩したら、ロースターはもとに戻った。

「じゃあ、続きといきますか!」

「もう大丈夫なのか?」

「ええ、問題ないです!」


 そう言って戻ろうとした時、声が聞こえた。


「やめてください!」


 どこかで聞いたかのある少女の声だった。

 声は大きかったが、威勢があるわけではなく、覇気は感じられない声だ。


「向かいましょう」


 俺らは急いで声の方向に向かった。

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