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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
生徒会革命
31/64

王城見学ツアー

 武技大会から七ヶ月が経った。そろそろ進級の時期になってきた。速いものだ。


 ちなみにあの後だが、生徒会長と副会長は騎士団に連行された後今は牢屋だそうだ。3大公爵家の息子が牢屋行き....それは国内を大きく揺るがした。


 今は生徒会の書記二人が生徒会長と副会長の代わりをしているらしい。大変そうだった。


 あとは、震電の名がかなり知れ渡った。生徒会長を倒した校内一の冒険者、や三大公爵家の息子を牢屋に入れたやばいやつの2つが主だ。


 まぁ、後悔はしていない。


 


 今日は、遊びに行く用事がある。聞いて驚け、場所は王都のど真ん中に位置する、この都市最大の建物、「王城」だ。


 と言うのも、ロースターに遊びにきてね、と言われたのでせっかくだしサプライズで遊びに行くことにしたのだ。


 俺らはちゃんとした服を着て王城に向かった。普段はこんな動きにくい格好はしないのだが、ロースターが呼んだ人達が汚い格好をしていると言われてイメージが下がってしまうのはよろしく無いからな。


 手土産でも買って行こうかと言う話になったので行く途中市場によった。いつもの買い出しもここでしている。


 欲しい食べ物は大体売っている。まぁ、米はないんだがな....


「何がいいかな」

「やっぱり食べ物がいいわよ」

「僕はアクセサリーをお勧めするよ」

「私は実用的なものがいいかと」


 と、みんな意見が食い違っていたのでとりあえず各々準備することにした。


 俺は何がいいかよくわからなかったので、とりあえずヘアアクセサリーにした。見た目は桜のようなヘアアクセサリーだ。


 他の3人も買い終わったらしいので俺らは王城に向かった。


 王城に近くなるにつれてどんどん建物が大きくなってくる。貴族の屋敷だ。ここら辺はまだ下級貴族だが、それにしてもでかい。まぁ、見栄を張ってるってのもあるのだろうが.....


 さらに進むとさっきとは比べ物にならないほど大きな家が立ち並んでいる。上級貴族の家だ。大きいのは家だけじゃない。庭も桁違いだ。


「いいなぁ、こう言う家に住みたいなぁ」

「貴族にでもなりたいのかい?」

「そうだな、それもいいかもしれないな。どうやったらなれるんだ?」

「そんなの、武勲をあげればいいのよ!」

「となると俺は厳しいなぁ.....」


 俺の戦闘能力はあまり高くない、精々3級冒険者程度だ。おそらくこのパーティの中で1番下だろう。勝手な予想だが、一位トレディア、二位アレス、三位莞爾と言ったところだ。


 しばらく歩くと、この国で1番大きい建物が見えてきた。王城だ。この建物に入るのは2度だ。ただ1回目は隠し通路から入ったので、正門から入るのは初めてだ。


 俺らは目の前にいる衛兵の一人に紙を見せる。それはロースター直筆の王城への入城許可証だった。何回でも使える、いわば特別なもの。年間パスならぬ生涯パスだ。


「少々お待ちください」


 衛兵はそう言うとどこかへ行ってしまった。暇だったので俺らは他の衛兵に声をかける。


「すみません。最近ロースターはどうですか?」


 するとそこにいた衛兵は少し驚いた後に

「すみませんが、私ごときではロースター陛下と話す機会はございませんので....」

「そうですか、ありがとうございます」

「それと、貴殿たちがどのような方なのかは存じ上げないのですが、陛下を呼び捨てにするのはあまりよろしくないかと....」


 そうか、うん。まぁ、そうか。この人の仕事にはロースターを舐められないようにするって言うのもあるのか。俺らの関係は一般には公開されてないし、とりあえずロースター殿下とか、ロースター陛下とかって呼ぶようにしよう。


 しばらく待っていると、正装の男が一人こちらにやってきた。


「ロースター陛下より事情は聞き及んでおります。私陛下の執事をしております、セバスチャンと申します」


 なるほど執事のセバスチャンか。前世で異世界物を読んでる時によく思ったのだが、なぜ執事はみんなセバスチャンやセバスというのだろうか。


 謎である。


 俺らはその人に案内され、執務室に通された。そこにいたのは机に座って書き物をするロースターだった。


「よくいらしてくれました。いま、仕事を終わらせますのでちょっと待っててください」


 何気にロースターが仕事をしているところは初めて見る。というか、普段のロースターは家に遊びにきて、学校に遊びにくるというイメージしかなかったからか、こうして仕事してるのを見るのは新鮮だ。


「豊さん。そんなに見てどうしたんですか?」

「あ、いや、ちゃんと仕事してるんだなーって」

「当たり前です。」


 そう言ってロースターはカリカリと紙に何かを書いていた。ただその表情は険しく、悩んでいるようだった。


「どうした?表情が険しいぞ?」

「隣の国の『オルデンブルク帝国』と、少し揉め事が起きまして、その対応をしなくてはならないのです」


 『オルデンブルク帝国』とは、『ライナット王国』『デーテン王国』と同じ大国であり、この3つを3代列強国なんで呼んだりする。


「その問題ってのはなんなんだ?」

「国境紛争です」


 割とマジなやつだった。


「元々国境が曖昧だったのですが、今回そのせいで近くに駐屯していた騎士団が攻撃を受けたんです」


 まぁ、相手は自分の領土だと思っているからな、そこに他国の軍が駐屯していたら攻撃するだろう。最もどちらが正しいのかはわからないが.....


「ライナット王国もオルデンブルク帝国も大国だろ?2つが戦争したらやばいんじゃないか?」

「そうです。だからこそ、そうならないようにしなきゃいけないんです」


 なんか、ロースターは思ったより大変そうだった。


「ロースター陛下、そろそろ会議の時間です」

「わかりました。あ、そうだ、せっかくですし、豊さんたちも会議を見てみますか?」


 とんでもない誘いが来た。この国の会議は当然一般公開されていない。そんな貴重な物を見れるのか。


「じゃあ、ぜひ見させてもらうよ」

「私はいいわそれより騎士団長に会いたいわ!」

「私も魔術師長のところに挨拶しに行きたいですね」


 アレスと莞爾がそう言うと、トレディアはニヤニヤしながら


「じゃあ僕も少しこの城を探索してもいいかな」

「わかりました。セバス、みんなを案内してあげて」

「承知しました」


 そう言うとみんなはいってしまった。にしてもロースターが人を従えてるのはなんか新鮮だ。


 俺らは会議室に向かう。俺はロースターの護衛という立ち位置だ。


 会議室に着いた。そこには円形のテーブルが並んでおり、一際目立つ華やかな椅子があった。


 ロースターは堂々とその椅子に座ると話し始めた。


「では、会議を始めましょうか。みなさんご存知の通り、オルデンブルク帝国との国境紛争がありました。そこでみなさんの意見を聞きたいのです」


 ロースターは堂々としていた。そこにはまさに王と言ったオーラがあった。


「私としましては、やはり一度、双方の歴史を振り返り、互いの歴史観のズレをなくすべきかと」


 そう言っているのは確か、大司教だ。


「私としましても、そのまま戦争にするというのは経済的に厳しいため、それがよろしいかと」


 そういうのはこの国の宰相だ。


 そんな感じで、和平への流れで話が進む中、異議を唱えるものがいた。


「そんなことをしていては、偉大なるライナット王国が奴らの下に見られてしまう!それなら、多少経済的な被害が大きくても戦争をして奴らに一泡吹かせるべきだ!」


 そういうのはこの国の軍事部門参謀だ。


 さっきから思うが、豪華なメンツすぎる。他にも3大公爵家が揃っていたり、有力な侯爵家もいたり、場違い感が半端ない。まぁ、社会科見学だと思えば....ね....



 そこからも話し合いが続き、紆余曲折があったが、とりあえずは和平の道を模索するということになった。


 なんか、とんでもないことを聞いた気分だ。というか実際聞いたのだが....


 ロースターはそのまま1番に会議室を出て行った。


「疲れましたね」

「そうだな、なんかすごいこと聞いたし」

「そうですね。豊さんはどう思いますか?」


 と、振られてしまった。この国のそんな大事なことをただの平民に聞いてもいいのだろうか。


「そうだな、やっぱ和平が1番だろうな。ただ、やっぱそういうのは解決しにくいからな、最悪は領土を半分にするとかかな」

「やっぱ難しいですよね。ただ戦争は避けたいです。」

「そうだな」


 難しい問題だ。前世でも国境紛争というのはなかなか解決しない問題だった。ただそれで罪のない市民が動員されるのは嫌なものだ。


「暗くなってしまいましたね。せっかくですしここを見て回りますか?」

「ああ、そうしようかな」

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