勧誘
今日も今日とて学生生活だ。そんな俺たちは今食堂に向かっている。待ちに待った昼食だ!最近は友達もできた。そう、こないだ模擬戦で戦ったドニエルだ。
「そういや、君ってスキルは覚醒してるのかい?」
「いや、まだだな。そういや、どうやってスキルって覚醒させるんだ?」
「そのスキルに関わることをすると覚醒するんだよ。例えば剣に関係するスキルなら、剣に触れたら覚醒するし、魔術に関係するものなら杖を触ったり魔術を使ったりしたら覚醒するんだ。なんでも覚醒した瞬間にそのスキルの知識も自然に授かるらしいよ。」
「なるほどねぇ」
俺のスキルはなんなのだろうか、俺は剣にも魔術にも触れたことがあるが覚醒した感じはない。となれば一体なんなのだろうか....
「豊さん!」
そこにはロースターと後ろに若い男がいた。おそらくは友達に扮した護衛だろう。遊びに来てたのか。あいつは暇なのだろうか。
「こちらの方は?」
「ああ、こいつはドニエルだ」
「お初にお目にかかります。マスタグ侯爵家の長男のマスタグ・ドニエル様ですよね?」
「やめてくれ、ここではただの学生のドニエルだ」
こいつ、話し方から優雅だとは思ったが貴族のボンボンだったのか....ちなみにロースターは今変装をしてただの平民『ロール』になっている。完全にお忍びでここに来ている。
「申し遅れました。私はロールと申します。そして隣が友達のスピットです」
「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
ラムスとかいうやつのせいで貴族にいいイメージはなかったがドニエルを見てると悪い奴ばかりじゃないのかもしれないと思えてくる。
「なぁ、ロースタ....あ、いや、ロール何か用でもあったか?」
「そうでした、せっかくですし一緒にご飯食べませんか?」
「よっ、色男」
ドニエルがからかってくる。次の模擬戦では思いっきり頭を叩いてやろう。
「トレディア達も食堂にいるし、みんなで食べるか」
「いいですね」
少し残念そうにしてるような気もするが気のせいだろう。 そんな会話をしていると後ろから声が聞こえてきた。
「こんにちわ」
誰かと思ってみたらまさかのデーテン王国の王女リオットだった。
「これはこれはリオット殿下、どうなされました?」
流石はドニエル慣れている。
「いえ、どうということはないのですが、そちらの方は豊さんでしょうか?」
おお、まさかの俺に目的があったらしい。と言ってもおそらくろくでもないのでお断りするが
「それで、どうされたんです?」
「ええ、卒業したら、ぜひうちの騎士団に入団しませんか?」
「ダメです」
即答したのはロースターだった。
「なぜあなたが....あ...なるほど。でしたらあなたも一緒にどうですか?」
「いえ、そそそういうわけではなくて」
どこかいやらしい笑みを浮かべるリオット殿下と焦るロースター....どういうことなのだろうか。
「すみませんが私は冒険者をやりたいので...」
「そういうことです」
ロースターが自慢げに答える。わけがわからない....
「そうですか....アレスさんも無理ですかね?」
「彼女は一番無理だと思いますね」
「そうですか....お邪魔してすみませんでした」
そういうと彼女は満足げなような不満げなような顔をして帰っていった。
「まったく、なんだったんですかね」
ロースターはご立腹だ。まぁ、この国で生まれた優秀な人材を取られているのだからわからなくはない。
さぁ、とりあえず食堂に向かうとしよう。




