模擬戦
今までは座学だったが、今日から模擬戦が始まる。
ということで俺たちは闘技場に向かった。
「自由に好きな人と組んでください」
そう言われたので俺は近くの好青年にこえをかける
「一緒にやりませんか?」
「いいですよ。よろしくお願いします。あ、忘れてた。僕はドニエルって言うんだ」
「俺は豊だ」
こうして対戦相手が決まった。
周りを見るとアレスはデーテン王国第二王女リオットと組んでいた。
この学校は冒険者学校という名前だが、実際は武道に関する人、すなわち騎士団や剣術家といった人たちも入学する。
ただ普通、騎士団家系の貴族を除き、あまり高貴な身分の人は入学しない。
ただ、今年はデーテン王国が強さに長けた人を勧誘するという目的のもと第二王女であるリオット王女を入学させた。
デーテン王国は3代列強国のうちの1つ。
そんな国の第二王女であるリオットに近づきたい世界各国の貴族が今年はこの学校に入学。
そのため今年は異様に貴族たちが多い。
そんな中、アレスはその目当てとも言えるリオット王女と組んだのだ....
ちなみに例年成績優秀者はライナット王国騎士団から推薦がくるが、その前にリオット王女が勧誘してデーテン王国に連れ込もうとするためロースターは怒っていた。
そんなロースターは暇さえあれば変装して学校に来ている。
今日も隣で模擬戦をしている。
え...ロースターって戦えるの?
「じゃあ、僕から行くよ」
「ブースト」
そういうと彼は槍を持ってこちらに突っ込んできた。
「ブースト」
俺も急いでブーストをかける。
そしてそのまま白兵戦になだれ込んだ。
といっても相手は槍、こっちはナイフ、こっちはリーチが短い分、分が悪い。
ということで、俺は守りに徹する。
相手をよく見てクセを見つけ隙をつく。
俺は視力や動体視力が上がるペンダントをロースターからもらっている分先手を取るよりこの戦い方の方がいい。
それに、この世界にナイフは無い。戦闘用の短剣より更に短いため初見じゃ戦い方は見抜かれない。
そんなナイフ最大のメリットはリーチが短い分取り回しが良く、素早い攻撃ができる。
そこを活かすためにはまずは守りに徹して相手の隙を見つける必要がある。
「守ってるだけじゃ勝てないよ」
「あいにくリーチのが短いのでね」
こうして見てみると、相手の癖がわかってきた。
下半身に対する攻撃が疎かであり槍を右側に持ってる分左の方が攻撃回数が少ない。
となれば次右上に来た時左下を狙うのがベストだろう。
そうしていま、ドニエルは右上を突いてきた。
「強風」
俺は風魔術で無理やり横に移動し、ドニエルの突きを躱わす。
「強風」
そしてもう一度風魔術で今度は無理やり前に出る。
ドニエルの槍は伸び切っていた。
俺のナイフを逸らす手段はなかった。
俺はドニエルの腹近くにナイフを向け、模擬戦は終了した。
周りを見ると、アレスもトレディアも莞爾も勝っていた。
なぜ遠距離型の莞爾が勝っているかは謎だがみんな勝っていたのは同じパーティメンバーとして嬉しい。
ちなみにロースターも勝っていた。
後から聞いた話だが彼女は剣術と魔術、どちらも幼少期から習って新しい。
こうして初めての模擬戦は幕を下ろした。




