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軍事愛好家の転生記  作者: エアアンテーク
国家反逆罪
13/64

ロースターの正体

ライナット王国首都


「ホロコーストの準備は?」

「はい、現在魔族どもを特別区に移しましたので後1ヶ月ほどで開始できるかと思われます」

「よろしい。引き続きたのむよ」

 そう話すのは後ろにハーケンクロイツを掲げたちょび髭の男だった。














 村を出てから一週間がたった。そろそろライナット王国首都に着くだろう。馬車があるとはいえ、車で移動していた現代人にとって馬車での一週間の移動は辛い。


「ねぇ、ロースターちゃん」

「はい、なんですか?」

「王都に行くにあたって何か伝えたいこととかある?」

 急にトレディアが話し始める。その顔は何かを悟ってるいるような顔だった。

「気づいているんですか?」

「んー、まだ確証はないけど、大体」


 トレディアは何に気付いたのか....。莞爾とアレスはポカンとしている。俺らを抜きに話をしないで欲しいものだ。


「急にどうしたんだ?」

 とりあえず俺は聞いてみる。

「ロースターちゃんが話したいことがあるらしいよ」


 ロースターはそんなことを言ったのだろうか....言ってないように見えたが...


「みなさんに....その....伝えなきゃいけないことがあります....」


 そういうと、彼女は自分がつけていたネックレスを外した。するとどうだろうか、そこには7歳の子供は消え、15歳以上はあるかと言う女の子がいた。


 「私は...その...ライナット王国第一王女のロースター・マズルと申します。」


 あー、なるほど彼女は今行くとこの王女様だったのか。

 え、

「えぇぇぇぇ」

 俺と莞爾とアレスは声を揃えて叫んだ。

 いやいやいや、嘘だろ?だって彼女は馬車に乗り間違えたドジな子供だろ?


「もしかして全く気づいてなかったの?」

「全く気づかなかった」

「まぁ、この世界に来て1年じゃ無理もないか」

 だが、よくよく考えてみれば、馬車に乗り間違えたのにギルドに捜索依頼はなかったし、ロースターはやけに大人びていていつも冷静だった。よくよく考えれば不自然そのものだったのだ。


「あ...あの...今まで黙っててごめんなさい...それと、王女だからと言って、今までと態度を変えないでくださいね」

「わかった」

 俺はそう返すしかなかった。

「でも、なんで今まで変装を?」

 確かにトレディアの言う通りだ。


「話せば長くなるのですが、まずクーデターが起きて、私は母からあのペンダントを渡されました。あれはマジックアイテムで、自分の見た目を変えられるんです。それで護衛と一緒に逃げてきたのですが、その護衛は道中に襲撃されてしまって、私だけがあの村に逃げられたのです。」


「なるほどね....でも、なんでギルドにまた王都にいく依頼なんかしたの?そのままライナット王国領から出た方が良かったんじゃない?」


「いえ、護衛が殺されてしまった時、私は決めたんです。必ずあのヒトラーから政権を奪還すると。」


 なんとも物騒な話だ。ロースターは淡々と話しているがその端々からは悲しみや怒りを感じる。


「で、何か作戦はあるの?」

「ええ、まぁ一応。あ、クーデターにみなさんを巻き込むわけにはいかないのでちゃんと皆さんが遠くまで行ってからやりますから安心してください」

「僕も手伝おうか?」


 トレディアから出たのは意外な言葉だった。クーデターを手伝うのか....おれは歴史が好きだ。故に知っている。歴史上に起きたクーデターのほとんどは失敗に終わるか長続きしない。


「てことで、ごめんみんな。僕は王都に残るよ。」


「何言ってんのよ!」

「そうですよ、我々はパーティなんですからメンバーがクーデターを手伝いたいとなったらパーティとして参加するのが当然じゃないですか」


 アレスと莞爾はやる気だ。となれば俺もやるしかない。正直ヒトラーとは会ってみたいし、奴の行った悲惨な行為は俺もよく知っている。


「俺も参加するよ」

 実に短い言葉だった。上手くいえなかった。だがそれを聞いてロースターは泣いた。


「そういや、トレディアの目的は親の救出だよね?」

「そうだね」

「そっちも同時にやるのか」

「それなんだけど、多分クーデターが成功したら救出する必要はなくなるから気にしなくても大丈夫だと思うよ。僕の両親はとても強いし」

「わかった」


 そんなことを言いつつ俺たちは王都の検問所まできた。

 問題が一つある。トレディアをどうやって入れるのかだ。彼女は魔族。魔族を排斥する動きがあるのに国内には入れないだろう。


 だが、ロースターがいい案をくれた。

「私のペンダントを貸します。」

 なるほど。確かに見た目を変えられれば通れるかもしれない。


ロースターがトレディアにペンダントを渡す。

「なりたい姿を想像して魔力を込めてください」


 すると、今まであった黒く太く曲がっているまさに魔王のような角はなくなり俺らより若干黒かった肌も普通の人間のようになった。


 こうして俺らは検問所を無事通過できた。


 こうして中に入った俺らは感動した。どこまでも続く住宅街。その真ん中には巨大な城、ところどころには大きな建物。まさに王都と言うに相応しいものだった。


「ねぇ、ロースター!あれは何?」

「あれは教会ですね」

「じゃあ!あれは?」

「あれは冒険者ギルドの本部です」

 アレスは興奮しながらロースターに質問攻めしていた。


「これから、どこに向かえばいい?」

「あ、では、あそこにある倉庫街に行ってください」

「わかった」


 こうして倉庫街に着くと、何やら強そうな男が出てきて

「ロースター王女....」

 そういうと巨漢は泣いた。絶対に泣かなそうな見た目なのに....


 俺らは倉庫内に案内された。なんでもここはクーデター画策の本拠地らしい。ロースターは事前に手紙でやり取りをしてたとのことだ。


「それでは現状を報告させていただきます」

 ロースターから聞いたがこの男は王国騎士団長らしい。他にも魔術部門長、特殊作戦部隊など、ここにいるのは王国内でも精鋭中の精鋭であり、皆、前の王に忠誠を誓ったらしい。


「まず、王や王妃、ロースター王女の兄上など、王族は皆処刑されました。次に、この都市にいる魔族は特別区という場所に移され事実上の軟禁状態です。それとこちらを」


 そう言って渡された紙には『ホロコースト』と書かれていた。内容は言うまでもなく魔族の虐殺だった。計画によると1ヶ月後に開始とのことらしい。


「クーデターについてはホロコーストがはじまる前日を考えております」

「わかりました。少し外の空気を吸ってきます」

 そう言うとロースターは外に出た。


 その後に聞こえたのは泣き声だった。

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