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45話 星降り注ぐSinfonia(5)~切羽詰まると口は羽のように軽くなる

 覚悟を決めはしたものの、元第二王子の巨体を前にすると「どこをどうすればいいんだよ」という気分にしかならない。

 え、これ本当にどこから攻撃とかすればいいの? 脚を狙って転ばせるとか? でもそれ下手したらこっちが潰されるですよね……。

 戦闘センス無いなぁ、私。そう思いつつ先頭が得意な奴でもこのサイズを相手に戦う想定とかしてないだろって気持ちもある。


 幸いなことに変身直後だからか相手はまだ行動を起こさない。今のうちに何かするべきなんだろうけど、具体的にどうするべきかしら。


 脳内で必死にシミュレートをしていると、切羽詰まったアラタさんの声が耳に届く。


「本当に申し訳ないが……頼む! 俺一人じゃ現実的に厳しい。今ならまだ俺の隔離結界内だ。ここならまだ門本体から力を得られていない分、奴の力は弱い!」

「あれで!?」

「あれで! 見た目はデカいが中身はスカスカの張りぼてだ! 依り代が小さいからな! デカい体は魔力の外装にすぎん! ……だがこの隔離結界から出たら話は別だぞ。門本体の封印も破られかねないし、そうなれば冥府降誕は避けられない。星啓の魔女も内と外の両方から封印を食い破られたら、おそらくどうしようもない……! もうこれは原作主人公がいなくたって関係ない。クソッ! 最悪だ! それに、単純に奴自身も手を付けられない強さになる! 俺はゲームで五回全滅した!!」

「乙女ゲーで全滅って単語出てくるのがまずおかしいんですけど脅威度はわかりました!!」


 こちらに言葉を投げかけながらアラタさんは先陣を切って攻撃を開始していた。というか、防御だこれ!

 ほぼ同時に冥王の行動ターンも始まったらしくまず腕による薙ぎ払いが来たが、それはアラタさんの攻撃が相殺してくれたので事なきを得る。

 風圧で体がよろめき「本当にこれで張りぼてなんか!?」って感想だけど、あの巨体からの一撃がアラタさんサイズからの攻撃で相殺できるってことはやはり本来の力より弱くはなってるんでしょうね。

 ……まったく安心はできませんけど!







 と、ともかくです。まず落ち着け。びーくーる。現状を整理しましょうそうしよう。


 エネミー。第二王子を依り代にして冥界から単身降臨した盛り盛りキメラな冥王まずこいつがなんなんだよ

 フィールド。アラタさんの隔離結界。ここの維持でアラタさん(現状最高戦力)は手いっぱいらしい。攻撃を一回相殺してくれたけど、もうそれだけできつそう。次はもう厳しいだろう。

 次ターンからのメイン戦力。攻撃魔法がほぼ使えない私と優秀だけど後衛軍師タイプのフォートくん。



 …………。

 詰みかな?






 待て! 諦めるな私!! こ、こんな馬鹿げた奴のせいで死んでたまるかってんですよ!!

 ええと……! でもどうする。マジでどうする!! 覚悟がキマったのはいいけど具体的な方法が出てこない!


(こ、こうなったら!)


 私はきりっと表情を引き締めてフォートくんを見た。そして……。





「フォートくん、私も戦います! 勝算はありますか!? 指示をください!」


 こんな時の必勝法は「自分より頭のいい奴に聞く!」ですよ!

 他力本願万歳!!




 決まった覚悟のわりに情けない発言をしたものだけど、今はそれが一番勝算高そうなんだから仕方がない。


「だからファレリアは下がって……」

「ええい、うるさいですね! やけっぱちですけど腹はもう括ってるんですよ! 君が戦うと決めたその時から!」


 判断を求めておきながらずいぶん身勝手な物言いだなって思う。だけど冥王がそろそろ次の行動に移りそうなので余裕なんてすでに消えていた。


 だからだろうか。つい、ぽろっと言ってしまったのは。











「惚れた男を一人で戦わせられますか!!」

「え」

「あ」







 …………。

 ………………。

 …………………………。


 イッテシマッタナー。





 盛大に滑り散らかした口は、すでに縫い付けるには遅いのだった。







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