第6話 波乱の幕開け1
自分の設定ミスのため、前話の蹴鞠の名前の部分だけ変えています。申し訳ないです。
所変わって、場所は神宮寺家に移る。神宮寺家では大晦日での年越しパーティーの真っ最中であった。しかし神宮寺瑠奈はこのようなパーティーが苦手であった。
神宮寺家はニホンを支える三大ゲーム会社の創業家であった。瑠奈は神宮寺家の一人娘として生まれ、将来どんな会社でもトップに立てるような帝王学を叩き込まれて育った。
そのため、神宮寺瑠奈は人の内面を厳しく評価し、誰隔てなくコミュニケーションを取れるが
その内心は誰よりも冷徹に相手のことを評価する氷のような雰囲気を漂わせていた。
煌びやかな社交パーティで華やかな女性も多い中、その中でも一際目立つ美貌を際立たせていた。今日もパーティの舞台面に立ち、ニホンでも有数の実業家達や政治家、会社の社長達と会話に花を咲かせていたが、内面はひどく落ち込んでいた。
神宮寺瑠奈はニホンで一番学力が必要とされる東王大学に進学し、学力もトップを保ち続けていた。しかし喋りかけてくれる友達がいても親友と呼べるほど何でもか話せる友はいなかった
天才故の孤独というやつかもしれない。
瑠奈はそんな時、幼なじみで高校まで一緒だった幼馴染を思い出す。
いきなり支離滅裂な妄想を語り出した時には唖然としたものだがそれまでは良好な関係だったのだ。なぜあのようなことになってしまったのか今でも不思議に思っていた。
そして喧嘩別れのようになってしまったことも後悔していた。なぜ苦しい立場にあった
幼馴染を助けてやれなかったのか。もっと寄り添ってあげるべきだったと今でも思っている。
そんな幼馴染のことを思い出し、またため息をつきそうになるのを堪えていた。
そんな時、ルインの通知がブーっとチャットの存在を知らせる。
少し休憩が欲しかった瑠奈は会話相手に失礼します、お手洗いにと行ってきますわと言って華やかな会場から離れる。そして誰もいない階段の踊り場でルインの通知を見るとさっきまで考えていた幼馴染のチャットであった。
@旬「元気にしてるか?俺だよ俺。旬だよ」
「ちょっと連絡したいことがあって瑠奈にチャットしたんだ。今から少し後に通話できないか?」
その文面はぶっきらぼうで照れ屋な幼馴染だと一目でわかるチャットであった。
チャット名に旬と書いてあるのにわざわざオレオレ詐欺のような文面で自分の名前を書くあたり
アホである。昔と変わらないアホな幼馴染に瑠奈は安堵の笑みを浮かべる。
それにしてもいきなり連絡してきて、いきなり通話がしたいとはどう言うことか?
昔はよく遊んだものだが通話までしたいと言われたことはなかった。
瑠奈は少し不思議に思いながらもチャットを返した。
@瑠奈「あんた、いきなりルインしてきて何よ。私はいま忙しいのよ。」
返信はすぐに帰ってきた。
@旬「そこをなんとか頼む。お前の助けが必要なんだ。」
旬の返信にびっくりするが、微笑む瑠奈。必要とされると人間は気をよくするものである。
瑠奈も例外ではなく、少しハニカミながら返信をする。
@瑠奈「何よ!あんたがそこまで言うなら仕方ないわね。少し後なら何も予定はないわ。付き合ってあげる。」
もうパーティーも終わりがけである。瑠奈は何やらただならぬ予感がしたが
それでも久々に旬と話せるのであればいいかなと思っていた。
@旬「ありがとう!通話できそうになったらルインしてくれ!」
そこでルインは途切れた。瑠奈も面倒なパーティーの後の楽しみができてウキウキしていた。
とっととパーティーが終わらないかなとウキウキしながら会場に戻るのであった。
蹴鞠は自分の名前がコンプレックスであった。なぜ平安時代に流行ったサッカーのような遊びの名前をつけられねばならないのか。小さい頃から両親に聞いても理由を教えてくれないし、同級生には女らしくない変な名前だとバカにされた。
しかし負けず嫌いだった蹴鞠は、それならサッカーを上手くなってやろうと男の子のサッカークラブには入団して、サッカーの腕を磨いてきた。ドリブルを磨き、シュートを磨き、サッカー少女としてメキメキと頭角を表した蹴鞠は20歳になった現在プロサッカー選手として名を馳せていた。もう少しでニホン代表選手に選ばれるかなというところまで来ている。
今日はオフシーズンで体を休めながら家でオンラインサッカーゲームのウィニングトレブンで遊んでいた。
意外とインドア派なのかもしれない。旬とはウィニングトレブンを通じて仲良くなり、ドスコードで通話を繋いで遊ぶ仲になっていた。
今日も旬からのチャットがきた。またウィニングトレブンのお誘いかと思いきや少し毛色が違う内容だった。
@旬「卦眞、今暇?後で通話できない?」
卦眞とは蹴鞠という名前が嫌なものの自分のアイデンティティのようなものにもなっているため
あまり変えたくないなと思って使っているオンラインネームであった。
@卦眞「いいよー。今日も僕とウィニングトレブンのお誘いかい?」
@旬「今日はちょっと違うんだ。困ったことになっててお前の力を借りたい」
@卦眞「力を借りる?僕は大したことはできないけど。ウイトレ以外ならね笑」
@旬「ははは。お前のウイトレの腕前はプロ級だもんな。現実のサッカーもうまいんじゃないか?」
蹴鞠は自分が女子サッカーのプロ選手だと明かしていなかったがたまに妙に当たっている質問をしてくる旬のことを気に入っていた。
@卦眞「僕はウイトレが大好きなただの一般人笑 いいよ!君に免じて僕の貴重な時間を使ってあげよう!」
@旬「それは助かる。なら後で通話しよう。」
次の話に続きます。
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