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魔法の秘密とその後の話

今回は少し短いです

「牛フィレ肉の煮込みです」

トワさんが今晩のメイン料理を出してくれました。

デミグラスソースなのかな?茶色いソースで煮込まれた肉の塊。

薄くて硬いステーキなら何度か食べたことがありますが、こんな分厚さ初めて見ました。

アノマさんに倣いナイフとフォークで切り分けようとすると、ほとんど力を入れないでお肉が切れました。

「す、すごい」

「まぁ可能な限り高級なお肉を用意したからね」

「え、つまりこれ、魔法じゃないんですか?」

「うんにゃ、魔法。イメージしてるのが高級品なだけ」

実態があるように食事ができるアノマさんの魔法は、本当に魔法って感じがする。

でも、このイメージを作る為にはきっと、本物を食べていないとダメなんだと思う。

口に入れればほろほろとお肉がほどけていく。

噛まなくてもいいって本当だったんだなって思いながら食べていたらあっという間になくなってしまった。


「おいしかったです」

「お粗末様」

デザートも食べ終え、今は食後のお茶中。

「そうえば、この魔法の食事で何でお腹が膨れるんですか?」

私は最も気になっていたことを質問した。

魔法で無から生み出したであろうモノで、私のお腹は満たされている。

なんで?

「魔力は生命力だからねぇ食事はほかの生き物の生をもらうことだから、魔力をもらうっていうのもある意味同じなのよ」

なんとなーく言わんとしていることはわかる。

分かるが、それでいいんだ…

実際私のお腹は満たされているし、不規則な生活をしていた頃より、肌艶もよくなった。

「あの、それだとアノマさんの生命力?はどうなるんです?」

「大丈夫よー私は星から生命力を吸収できる能力があるから」

「へ?」

「ユイちゃんには、最終的にそれを学んでもらうからね」

星から生命力をもらう?

どういうことなんだろうとその時は思いましたが、訓練をするごとにその意味が分かってきました。


*****

「うんうん、少しは体内に魔力を吸収できるようになったねぇ」

アノマさんがにこやかに笑っているが、私は肩で息をしている状態。

今は魔法の訓練中。

厳密には地球から魔力をもらう訓練。

魔法を使うこと自体はだいぶできるようになってきた私への次の課題として出されたのが、1年前に美味しい食事をいただいたときに聞いた「星から生命力をもらって魔力に変換する」という技。

まさか、こんなに疲れるものだとは思わなかった。

アノマさんはにこやかに立っているけれど、この塔を維持するために相当な量の魔力を日々消費して星の生命力を魔力に変換しているという。

「大丈夫、はじめはそんなもんだから」

「お嬢様はその変換効率が馬鹿みたいに良いんだから比べたらダメだと思うんですがね?」

トワさんが追い打ちをかける。

本当に私はアノマさんになれるのだろうか?

「大丈夫、トワだって先代から魔法を教わり始めたころの私を覚えてるでしょ?」

「ユイさんよりかはもっとできていたと思いますがね」

「魔法の基礎知識の問題ね。疲れただろうからお風呂入って次はお勉強ね」

最近の私の日課は割と固定化している。

朝起きて、ご飯を食べて、魔法のトレーニング。

お風呂に入ってお昼を食べたら、午後は座学で魔法について学ぶ。

学校の勉強はこの1年間のドリルで止まっている。

アノマさんが持ってきたテストを解いたけっか、中学校卒業レベルの学力は確保できていた。

別に良い成績ではないけれど。

この1年間外の世界への情報源は、アノマさんが持っている携帯ラジオだけ。

それも、ほとんどは音楽を聴いたりするのに使っているみたいで、短い5分ぐらいのニュースしか聞けていない。

でも、それしかないとなると何とかなるもんだなと気が付いた。

前は常にスマホを見ていないと落ち着かなかったのにすごい変化だと思う。


私は部屋に戻るとお風呂に入る。

今ではお湯は自分の魔法で沸かせるようになった。

お風呂場も、当初のユニットバスではなく、今は足が延ばせる浴槽がありお風呂とトイレを別にできている。

「あぁ、極楽~」

身体を流して湯船につかる。

今日は柚の香り。まぁ入浴剤の再現でしかないけれど。

私はゆっくりとお風呂を楽しむ。

実はこの塔には時計がない。

おかげで、アノマさんを含めみんな時間にルーズだ。

日が昇ると起きて、日暮れが過ぎれば寝る。

部屋を明るくすることは魔法で出来るけれど、学校の勉強も終わった私はすることはない。

魔法の練習とその後の座学も飽きる前には終わるので、その後日が沈むまではまったり自由時間だ。

許可をもらって塔の近くを軽くお散歩してみたり、過去の記録だという本を読んでみたりと時間を過ごす。

このまったりした時間は一人だけど、そんなに悪い時間じゃないと思えている。

鳥の鳴き声とか、嫌いだった虫も他にやることが無くて観察してみると意外と面白かった。

生きものって面白いなって思えたのだ。


「そろそろお昼にしますよ」

トワさんから声がかかる。

ちょっと長風呂しすぎたみたいだ。

魔法で服を用意して、髪の毛を乾かす。

だいぶ魔法が使えるようになったなと思う。

後は地球から生命力をもらって魔力に効率よく変換できればな…そのためには勉強と鍛錬しかないみたいだ。


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5話ぐらいで終わらせる予定です。

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