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「いやいや、そんなはずはない!もう一度よく調べてくれ!」
「そうおっしゃられても、結果は変わりません。」
「嘘だ!あ、そうだ!きっと強さの桁が違いすぎて下2桁しか出てないとか、強さが一周してその分が計算されてないとか!」
「ないですねー。攻撃力、防御力、瞬発力、魔力などなど、全てFレベルのオールFですね。マイナススキルも無いですけど、特別なスキルも何もないです。」
そんな…。そんな野球ゲームの最初みたいな状態なわけあるか。
「もしかして『センス〇』みたいなスキルがあったりだとか…」
「センスマル?何かよくわかりませんがそんなものもありません。」
絶望だ。まさかあの神様、なんのギフトも与えないまま異世界に送り込んでいたのか。
たしかに1つだけ願いをかなえるとは言っていたが、それはあくまでチート的なものであって、それ以外は当たり前のように異世界仕様にしろよ。するだろ。してくださいよー。
「そうですか…。じゃあとりあえず登録をお願いします。」
まあ、くよくよしていてもしょうがない。きっとある程度冒険をしていたら、封印されていた力とか秘められた才能とかが覚醒して無双になれるだろう。大丈夫そうな博士が肉体改造してくれるかもしれないし。
「それでは登録料、500ギエンをお願いします。」
「え?お金かかるの?」
「そうですね。いただいております。」
「ちなみに手持ちがない場合は?」
「登録はできませんね。」
「じゃあお金を稼ぎたいので、クエストを受けたいのですが。」
「それにはギルドに登録していただく必要がございます。」
「でも登録料が払えないのですが。」
「ではクエストを受けることはできません。」
何なんだよ!古き悪しきお役所かよ!無理ゲーじゃねーか!
こうなったらこの手は使いたくなかったが、
「実は、俺は異世界から来た勇者なのです。いずれ魔王を倒し、この世界を救う漢!異世界から来たばかりですぐにお金は払えないが、出世払いでどうにかならないだろうか?」
「え、勇者?」
そういうとお姉さんの表情が変わった。どうやらどうにかなりそうだ。