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「何?勇者?」
門番のオヤジはそう言うと、兵士たちに一旦停止することを命じた。
「もしかしてお前、異世界から来た勇者か?」
「そ、そうだよ!俺の名はケイ!この世界を救う漢、勇者ケイだ!」
死にたくないのでとりあえず虚勢を張ってみた。実際には俺にできるのは計算くらいで、魔王は倒せない。
「なんだそうかよ。よし、お前ら撤収。」
そういうと兵士たちは撤収していった。人使いの荒いオヤジだ。
「じゃあさっさと入りな。冒険者ギルドはまっすぐ行って左な。」
「あ、ああ…。ありがとう。感謝する。」
どうやら話が通じたようだ。とりあえず勇者っぽい口調で返事をしておこう。
「ほら、さっさと行けよ。こっちも暇じゃないんだよ。」
さっきまで居眠りしてたくせに偉そうに。というか世界を救う勇者様に対してなんという態度だ。ガツンと言ってやるか。
「お…」
「あん!?」
「お、お疲れ様です!失礼します!」
今日はこのくらいにしておいてやろう。そういえばギルドの場所も教えてくれたし、いい奴だったな。うん。いい奴だ。
とにかく足早に門の中に入ったのであった。