6行目
「ようやく街に着いたぞー!」
『始まりの地の死闘』を終えた俺はとにかく街を目指し歩いた。
途中、何度も挫けそうになったがエクスルの図形でお絵描きをしてできた、丸、三角、四角でできた俺の友達ロボット『エクせもん』が励ましてくれた。
彼はきっと生涯の友となるだろう。
街は外壁に囲われており、大きな門が佇んでいた。
門番の人に言えばいいのかな。
おそるおそる門に近づくと、スキンヘッドのオヤジがタバコを咥えたまま居眠りしていた。
寝るか吸うかどっちかにすればいいのに。
「あのー、街に入りたいんですけど…」
「……ぁあ、敵襲!?敵か!」
「いやいやいや!違いますよ!」
「うるさい!口の利き方に気をつけろ、侵入者め!」
「いや本当に違いますって。ただの冒険者です。街に入りたいだけなんです。」
「本当か?なら冒険者カードを見せろ。」
「冒険者カード?俺この世界来たばっかなんでそういうの持ってないんすよ。」
「なら侵入者だな!兵を呼べ!こいつを晒し首にしてやる!」
「ひどい!誰に向けて晒すんだよ!無意味に人の首を跳ねるな!」
すると本当に兵士が集まってきて俺を取り囲んだ。
「え、まじ?ほんとに?ちょっ、待って、待っ…」
「かかれー!」
武器を構えた兵士が一斉に押し寄せてきた。
目の前の光景がゆっくりに見えた。電車に轢かれたときは一瞬だったもんなー。
死ぬ間際ってこんな感じなのか。
まさか最初の街にたどり着くこともなくゲームオーバーとは、短い異世界生活だったな…
というか俺、魔王からこいつらを守る勇者だよな。
勇者が市民を守る兵士にやられるって何?
勇者は魔王に強くて、魔王は兵士に強くて、兵士は勇者に強いの?じゃんけん的なこと?
「いや、こんな勇者は嫌だーーー!」
最後に出てきた言葉は、大喜利のお題のようだった…