4行目
あれからどのくらい時間が経ったんだろう。
すでに右腕は完全にこの生き物の体内に入っている。
歯を離した瞬間を狙って手を抜こうと試みたが中の肉の締め付けが強く、抜けなかった。
まあ、若干締め付けるタイプのマッサージっぽくて気持ちよかったから様子を見ていたことは忘れよう。
そろそろ腕がピリピリしてきて、消化されている感がするからどうにかしないといけない。
「刃物があれば切り裂けるんだけどなー。」
心を鬼にしてぶん殴ったり地面にぶつけたりしたが、
どうも衝撃に強いようで効いている気がしない。
「こんなときエクスカリバーがあったら…」
そんなことを思いながらも、
「いや、無い物ねだりをしても仕方ない。
俺にはこいつがあるじゃないか。」
「いでよ、エクスル!」
目の前に画面が現れた。
早速、エクスルの機能をもう一度見直してみた。
普段、数値入力して計算するぐらいしかしてなかったけど結構あるんだな。
そして、そんな中からある機能を見つけた。
『図形』
そういやこのソフト、図形を表示する機能もあるんだよな。
三角形とかまさに刃物っぽいから、これが現実に出せたらいいのに。
なんて言いながら画面上に鋭利な三角形を作成すると、
『現実にエクスポートする(消費MP:10)』
と表示された。
「え!マジで!現実に出せるの!?」
希望が少し見えてきた。