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異世界は表計算と共に  作者: バナナとカエル
3/11

3行目

なんだかもうどうでも良くなってきた。

小さい頃から憧れた異世界。

ワクワクする冒険、仲間との友情、そしてハーレム。

そんな夢物語が現実となった。現実となるはずだった。


「いや、計算でどうやって敵を倒すんだよ!」

俺は叫んだ。誰も応えてはくれない。

目の前の画面は計算結果はすぐ出るのに、こういった問いには何も役に立たない。


とりあえず色々とこのエクスルについて調べてみた。

俺の意思で自由に画面を出したりしまったりできる。

近くにいたリスみたいな生き物を画面に乗せようとしたが、すり抜けたため画面は俺にしか操作は出来ないようだ。

そして肝心のソフトの中身は、俺が数時間前まで仕事で使っていたものと全く変わらなかった。


絶望だ。このままでは魔王は愚か、スライムとすら戦えない。もう一回死んだら転生してくれるかな。

そんなことを考えていると、茂みから音がした。

「何だあれは?」

茂みから現れたのは頭は犬、体はヘビのような生き物だ。

「あら、可愛いワンちゃん。俺の傷ついた心を癒すために来てくれたのかなー。」

頭を撫でようと手を伸ばすと、

『ガブッ』

思いっきり手を噛まれた。

「痛ー!何だこいつ!」

手をブンブン振っているが歯が食い込んで離れない。

「このやろー!」

思いっきり地面に叩きつけようと腕を振りかぶった。

しかし、

「くぅー?」

か、かわいい!その純粋でつぶらな瞳は、思わず、どうする?お金を貸す?と言っているかのような瞳だった。

「だめだ!おれにはできない!」

腕をそっと下ろした。

すると食い込んでいた歯が外れた。

「お、離してくれるのか。何だいいやつだな…」

『ガブッ』

また噛まれた。やっぱり痛い。

しかも先程は手首あたりだったが、今度は肘の手前くらいまで来ている。

あれ?なんか徐々に飲み込まれていってない?

あー、なるほどね。そこはヘビの要素ね。

って、違う!

「いやー!やばい!噛まれる!離れない!飲まれる!消化されるー!」


この世界に来て一時間弱。最大のピンチを迎えたのだった。


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