2行目
「う…、ここは…」
目を覚ますと森の中にいた。
周りには木々が生い茂り、見たことのない果実が実っている。
どうやら先程までのやり取りは夢ではなく、本当に異世界転生をしたようだ。
「さてと…」
俺は立ち上がり、自分の倒れていた付近を見回した。
しかし本来そこにあるはずのものが無い。
そんなはずはない。もう一度探してみる。
だが、やはり無い。
「まあ、待て。まだ慌てる時間じゃない。」
今度は服の中を探してみよう。とりあえず一通り身につけていたものを脱いでみた。
だが、やはり無い。あるとしたら小さなキノコぐらいだ。
「なるほど、もしかしてこういうことか?」
そういうと、全裸のまま右手をかざし、叫んだ。
「いでよ!エクスカリバー!」
風が森を駆け抜ける。何も起きない。
そして寒い。
「どこだよ!俺のエクスカリバー!何で無いんだよ!」
それからかれこれ10分ほど探したがやはりエクスカリバーは見つからなかった。
「くそ!何なんだよ!あんまりだよ!あまりにも無さすぎてこのキノコが実は短剣で成長したらエクスカリバーになるのかまで思っちゃったよ!」
一度冷静になって思い出そう。
あの時、俺は神にエクスカリバーをお願いした。
だがしかし!
途中でくしゃみをしてしまい、正確にエクスカリバーと発音できていたか怪しい。
そうすると俺が言ったのは、エクス…ル?
「エクスル?エクスルってあの表計算ソフト?」
なんだか嫌な予感がしてきた。
「いやー、まさかそんなことあるわけないよなー。」
まあ、念のため、念のため。後々のおもしろエピソードトークとしてやってみても損はないよな。
「いでよ、エクスル!」
目の前に仕事で見慣れたあの表計算ソフトの画面が現れたのであった。