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「ええ、そうです。私が勇者です。」
決して、変なおじさんではない。
「………」
受付のお姉さんも言葉を失っているようだ。
まあ仕方ない。世界を救う勇者が今、目の前にいるのだ。正気を保っていられるはずがない。
「まあ、そんな緊張しな…」
「あー、そうですか。じゃあ登録料は後払いで結構です。クエストは入り口横の掲示板で確認してください。それでは、冒険者として頑張ってください。」
一気に冒険者になれた。やはり勇者は偉大なようだ。
だが…
「あのー…」
「まだ何か?」
「いやー、門番の人もそうだったんだけど、なんかみんな勇者って聞いた途端、急に冷たくなるなー、というか、もはや嫌われてる?みたいなー。まさか、そんなことな…」
「そうですね。」
食い気味に拒絶発言をされた。いくら何でもひどすぎる。
「なんで!?勇者だよ?魔王を倒すんだよ?世界を救うんだよ!?」
「はぁー…」
すごいため息をつかれた。あとでこの店の評価を星1にしてやる。




