85_燻製成功の秘訣_3
「どういうことだ、一体。」
「彼、精霊の愛し子ね。特に火系を引き寄せるみたい。私も久しぶりに見たわ。フレッド君に気がついてほしくて、燻製作る度に黒焦げにしていたみたい。」
「フレッドに付いてて、フレッドは危なくないのか?黒焦げになったりとか...。」
「精霊たちは、気まぐれだから、絶対とは言わないけど、まあ、対等に扱っているなら問題ないでしょう。」
「へえ。」
「え、餌は?」
「意思疎通は出来るのか!?」
「トイレとかは!」
「ちょっと!みんなで一遍に話しかけないでちょうだい!特に、リーノ!あんた前のめり過ぎ!ええいっ!暑苦しい!」
「あ...すみません...つい。」
「精霊だから、基本的に餌はいらないわ。嗜好品はあるみたいだから、欲しそうにしたら、与えてあげてみて。同じ理由で排泄もないわ。意思疎通は、そうね、まだ幼そうだからアレだけど、話かけてあげれば、少しずつ理解できると思うわ。そして、名前つけてあげなさい。」
「お、俺が付けて良いの!?」
「ええ、勿論よ。あなたに気づいてほしくて、毎度燻製を焦がしてる位だもの。きっと喜ぶわ。」
「何が良いかな~...。マンダ―、サラマン、燻製からとって、クンクン。」
「「...。」」
「ライガと同じ位のセンスね。」
「...。」
「よし、フレッド。今夜、一緒に考えよう!」
そうジェイクに言われたフレッドは、嬉しそうに頷いていた。
「ジェイクさん、名前付けたら、是非ギルド登録を。」
「冒険者登録か?アイツにはまだ早くないか?」
「ええ。その方が何かと良いかと。精霊の所有権の証明にもなりますし。」
「そうか。そうだな。その方が良いよな。」
そして、一通り、サラマンダーについての質問もひと段落し、宴もたけなわになった所で、本日はお開きとなった。
ちなみに、今回スヴェトラーナが提供したサラマンダーの姿を現した術式や、サラマンダーの知識に関しての費用は、ジェイクが所蔵している“遠方のお酒の提供”という事でまとまったのだった。よほど珍しいお酒だったらしく、後程、精霊の飼い方(サラマンダー編)が書かれた本も付けてくれるらしい。
そして、いつかは自分の従魔を!と常に願っているリーノは、「何でまた自分じゃないんだ!」と悔しがっていたが、さすがに自分よりかなり年下のジェイクの前では叫ぶ事は出来ず、心の中で涙を大量に流していたのだった。それに、気がついたライガは、ポンとリーノの肩に手を乗せたが、リーノは余計にやりきれない気持ちになったのだった。
「ライガ、スマンが、少しの間、ヴェルデを“なでなで”させてくれ~!」
「ヴェルデが良いって言ったらな!」
「ヴェルデ~。」
と、叫んだと思ったら、サラマンダーと額を突き合わせていたヴェルデの所へと走っていった。
「ぴ?ぴ~~っ!」
しかし、残念ながら、またしてもヴェルデをビックリさせてしまったらしく、しばらくリーノとヴェルデは追いかけっこをしていたのだったが、最終ゴール地点となったライガの肩にたどりつくと、諦めたらしいヴェルデは、大人しくリーノに触らせたのだった。
「後で、ヴェルデ労わってやろう。」と思ったライガだった。
「で、名前が“クンクン”になったのですか?」
「ああ。」
翌朝、フレッドを連れてクエストカウンターへ登録しに来ていたジェイクから、サラマンダーの名前を聞いたのだった。
「なんでまた。」
「精霊様の一番気に入った名前がソレだった。」
「ああ。それじゃあ、しょうがないですね。」
「もっと、かっこいい名前が良いと俺は思ったんだけどなぁ...。」




