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67_ダンジョン近く異常あり!_4

光と声が収まったトレントを、もう一度確認すると、大分弱っていたはずのトレントは、元の無傷のトレントに戻っていたのだった。


「なっ、なんで!?」


あともうちょっとだと思っていた冒険者達一応に、唖然とする。

その中には、ライガも含まれていたし、全体指揮を執っていた副ギルマスも同様だった。

だが、副ギルマスはいち早く我に返り、「もう一度!!」と声を張り、冒険者達を正気に戻したのだった。


領主の巡回部隊もロープと突貫、それぞれに分かれ、それぞれ立ち向かう。


ライガは、不足していた後衛魔法要員に加わろうとした時、ライガを呼ぶ声が聞こえた気がした。


え?


声がする方に振り向くと、なんとそこには、ダンジョン入り口に居るはずのお嬢が。

そして、手の平を上に向け、親指以外の四本の指をくいっくいっと動かし、ライガを「こっちにこい。」と呼んでいるではないか。



「お嬢!」

ライガは急いで、お嬢の元へと走る。

「お嬢!なぜこっちに来てるんですか?お願いですから、戻ってください!」

「うむ。ちょっと気になる事があってな。本当は、ミノタにやらせようかと思ったがの。ほれっ、あのように皆と力を合わせてロープを引っ張っておるでの、急にあ奴を呼ぶことも出来まい?困っておった所に、お主がぼーっと突っ立っておったのが目に入ったから、呼んだのじゃ!」

「いや、ぼーっとは突っ立てはなかったですよ!」

と一応訂正しておく。

「それより、近こう近こう!」

そのまま幼い彼女を放置できるわけがなく、お嬢に誘われるまま、ライガは森の奥へと入って行く。


しばらく歩くと、お嬢は止まり。

「うむ。ここじゃな。」と呟くと

「ライガよ。ここを掘れ。」と言う。


スコップがないので、剣や手で、お嬢が指定した場所を掘る。15センチ程堀り進めると、何か手に当たった。その当たったモノを全容が分かるよう、掘り進めていくと、そこには、直径30センチ程の太い根がある。よく見るとその根は、ズリズリと動いており、そして、よく見ると何かを送り出しているように、ドクンドクンという効果音がふさわしいように膨張収縮を繰り返している。


「やはり、あったか。」

「え?」

「ライガよ。この根を、お前が持っているその剣で断絶しろ。」

なぜ?とライガは思ったが、言われるがまま、大きく振りかぶり、その根を両断する。


「ほう!一振りで両断か!」とお嬢の少しうれしそうな声を聴いた次の瞬間、戦闘場所から「グォ~!!」というトレントの咆哮が聞こえた。

「うむ。これで良かろう。ようやく戦いも最終局面じゃな。よし、ライガ、戻って良いぞ!」

「え?ええ。あ、あのさっきの何だったんですか?」

「あれか?あれは、トレントの根っこじゃ。さっきもう少しでくたばるかと思った所で復活したからの。“もしや”と思って探ってみたら、案の定、あ奴の根っこがあった。あの根はな、ずっと向こうにあるトレントの本体と繋がっていてな、分体に危機が迫ると、一斉に養分である魔力を送り込み復活させるものなのだ。」

「はぁ?何ですかその仕組み!聞いた事ありませんよ。」

「だが、これでやつは確実に倒される。信じられぬと言うのならば、見に行くが良い。」

「いえ、信じていないわけではないのですがね。」

「うむ。まあ、良い。ほれ、皆が待っておるぞ!」

と、しっしっと追い払うように手を振るお嬢。


「おう、そうじゃった!ライガ!」

戦闘現場に向けて走り始めたライガに向かってお嬢が、再度声を掛けたので、ライガは振り向くと、突然木の棒がライガの顔に当たった。


「痛っ!」

「ぉぉぅ、すまん。」

「何ですか、急に」

「それは、トレントのドロップ品の一部じゃ!輸送根を断ち切ったお主に相応しい、お前が持っていけ!」


ライガは、自分の顔に当たり、下に落ちた木の枝を拾うと、それは、黒の筋がグルリと螺旋を描くように入った20㎝程度の木の枝だった。


そして、鑑定してみると「怒れる聖樹の小枝」と


えっ、聖樹?

「お嬢、これってどういう...。」と声をかけようと、打った箇所を擦りながら、お嬢の方を向くと既に彼女の姿は、どこにはなかった。


「...。」

え、また、転移魔法?


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