53_確認は、貰った時に
「なあ、ミシカ。今日って、幼女を連れた30代位の冒険者が、登録に来なかったか?」
「ん~見てないわね。コモ、あんた見た?」
「いえ、見てないですね。」
「そう。」
「今日って、そもそも誰も新規登録に来てないですよ。」
「そう。ありがとう。」
俺たちが帰る時に、偶々入り口から離れてたのだろうか...。
大丈夫かなあの二人。
多分、ミノタと言われた男性は、結構強いとは思うけど、なんか二人とも危なっかしいんだよなぁ。
「何かあったの?」
「いやな。」と言って、ライガはダンジョン入り口で会ったことをミシカやコモに話したのだった。
「なるほど。それはなんだか不思議な二人組ね。」
「だろ?」
「しっかし、相変わらず面倒見が良いわね。」
「いや、そんな事ないよ。」
「だって、ライガ。帰る時にもう少しダンジョン周り探せば良かったとか、明日も見に行ってみようかな。とか今考えてるでしょ。」
「...。そ、そんなことは。」
「まあ、気がついたら、伝えるわ。」
「ああ、ありがとう。」
仕事が終わった後、ライガは、職人街へと行き、先日いったアクセサリー加工工房へと向かう。
「いらっしゃいませ。」
「あの。頼んでいたデザインは、出来てますでしょうか?」
「ええ、出来ておりますよ。少々お待ちください。」
と言って、店員は店の奥へと入っていった。
そういえば、彼女に貰った金属のインゴット。
ペンダントの土台に使えたりするかな。
「お待たせいたしました。こちらのデザインですがいかがでしょうか。」
「おっ、良いですね。想像よりもとても素晴らしいデザインです!」
「ありがとうございます。地金を何にするかご希望はございますか?金、銀、それともチタン製。ご予算で変わってくるかとは思いますが...。」
「地金って、これでも可能ですか?」
と言って、ライガは懐から例の幼女から貰った金属のインゴットを出した。
「ほほう。」
とそのインゴットを、店員に見せた瞬間、その店員の目がキランと光ったような気がした。
「これを、どちらで?」
「貰い物ですよ。」
「そうですか。」と言いながら、天秤を使って、重さを測ったり、モノクルルーペを付けながら黙々とチェックしている。
困ったな。何か変な物を貰っちゃったのかな...。
「何か変なものですか?」
「いえいえ、とても素晴らしい物ですよ。
私も、長年この商売をしておりますが、初めてみましたよ。ここまで純度が高いミスリルのインゴット。」
「は?」
は?ミスリルって言った?
と慌てて、ライガは自分でも鑑定してみる。
“最高純度のミスリルインゴット”
おい!お嬢!
何て物を渡すんだ!
クイーンビーの針なんか目じゃない位、全然高価じゃねぇかよ!
とてもじゃないが、20パクロの対価に全くそぐわん!
あの時、急いでいたから、鉄かなんかのただの金属だと思って鑑定せずにそのまま、貰ってきてしまったが、これはいかん!
「すみません。これは、やはりヤメテおきます。」
うん、今度会った時に返そう。そうしよう。
「そうですか?残念ですね。こちらであれば、とても素晴らしい物が出来上がるのですが。」
「いや、これはさすがに、贈り主に返そうと思います。」
「そうですか。それでは、地金はどうしましょうか。」
「そうですね。俺が持つ物なんで、金よりは、銀とかチタンとかが良いかと...。ちょっと考えさせてもらっても良いですか?デザイン見ながら、イメージを膨らませたいので。」
だ、駄目だ。ミスリルショックで頭が働かない...
「承知いたしました。」
と話していると、ライガの側にいて安心し、ずっと腰の袋の中で寝ていたヴェルデが、ようやく長い長いお昼寝から起きてきたらしく、袋からにゅっ出てきた。
「おや、ライガさんは、また“とても素敵な”幻獣を従えていらっしゃるのですね。」
「ありがとうございます。
良かったな、ヴェルデ、お前素敵だってよ。」
「ぴー!」褒められたのがうれしいらしく、シッポをブンブン振っている。
「もし、よろしければ、今のデザインにこちらの従魔のデザインを追加させてもらえませんでしょうか?」
「えっ良いんですか?」
「ええ、是非とも。もちろん、追加料金は、発生しませんので、ご安心を。」
「じゃ、じゃあ、よろしくお願いいたします。」
「それでは、また三日程お時間をいただければと思います。その時に、土台の金属を教えてください。」
「わかりました。よろしくお願いいたします。」
さてと、あの二人組どうやって、探したものかな...。
と思いながら、ライガは自分の家に帰っていったのだった。




