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35_誘拐事件_2

裏口を見つけたライガは、店の中へと潜りこんでいた。

裏口に建っていた見張りは、簡単に沈めらえる程、一応腕に覚えがありそうな輩ではあったが、幸いにして素人だった。


犯人の目的は何だ?

“ニコラ”が目的なのか?

それとも“偶々”ニコラだったのか。

それによって、犯人の行動は異なってくる。


薄暗い廊下を足音を立てずにゆっくり進んでいくと、光が漏れている部屋を見つけ、誰かがいるようだったので、ライガはそっと中を覗く。


「お頭、最後の一人、連れて来やした。」

「おおう!でかした!」

「今回の娘、けっこう上玉っすよ!」

とグヘヘと下品に笑う手下っぽい男。

「俺、結構好みなんで、手出しても良いっすかね?てか、良いっすよね!」

「阿保!やめとけ。大切な商品だ!」


商品ってことは、どこかに売り飛ばすつもりか?


「一人くらい、手出してもバレないですって!」

「いいから。今回の仕事では、絶対に手を出すんじゃない!

で、その最後の一人は、ちゃんと部屋へ入れたんだろうな。」

「へ、へえ。奥の部屋に、他の娘たちと一緒に押し込めてますぜ。しかし、あの旦那の仕事って、毎回変わってますよね。」

「ん?ああ。」

「だって、今回の娘17人ってのは、何となくわかりますが、その前は同じ数の野郎って依頼だったし、その前は...」

「おまえは、いいから、黙っとけ!」


ライガは依頼内容に引っ掛かりつつも、中の二人の話が全然関係ない話になったので、ニコラがいると思われる奥の部屋へと向かった。


その部屋にも、見張りが一人。

ドアの前に立っていたが、ライガは、見張りが何かに気を取られ背を向けた瞬間、彼の後ろに素早く立ち、首元に手刀をくりだし、サックリと気絶させた。


とりあえず、見張りの男を目立たない場所まで移動させ、ドアをそっと開け、中に入ると明かりの少ない部屋にニコラ位の少女たちが身を寄せ合っていた。


「ニコラ?ニコラはいる?」

しかし、返事はなかった。


ここにニコラはいないのか?


一番近くにいた少女にライガは話かける。


「ちょっと前に女の子が、連れて来られたと思うんだけど、この部屋にまだいるかな?」


女の子はビクビクしながら、恐る恐る指をさす。

その指をさした方を向くと、青い顔をしたニコラは、床に横たわっていた。

急いで、ライガは彼女の側へと駆け寄る。


魔力切れか?

これと同じような事があったような...と一瞬頭を掠めたが、ニコラが「ううっ」と苦しそうな声を上げると、その記憶は形になる前にすっと消えてしまった。


「ニコラ!ニコラ!大丈夫?ライガだ。」

「ラ...イガさん?」

「そう。ライガだ。もう少ししたら、助けが来るから、頑張ろうね。さあ、これ飲んで。」

とジェイクとあの一件以来、常に持つようにしていた低級ポーションを二コラにそっと飲ませる。


全て飲み終えると、少しではあるが、ニコラの顔色がいくらか良くなった。


「他に、具合の悪い子はいるかな?」

と彼女達をなるべく怖がらせない様に穏やかにきくと、誰からも返事はなかった。


返事がないってことは、たぶん大丈夫だな。


すると、

「お、お兄さんは、私達を助けに来てくれたの?」

とさっきライガが話しかけた少女が尋ねてきた。


「ああ。そうだよ。もう少ししたら俺の仲間が大勢で来てくれると思う。」

と答えると少女達は、わぁ~と歓声をあげかけたので、ライガは慌てて、シーっと彼女達を征したのだった。


「君たちは、いつからここにいるのかな?」

「えっと、一番最初は私で、二週間位前かしら?あとは、ルチアとマーチルがそれから三日後。あとは、ポツポツ一人増え、二人増えって所だと思います。」

「そうか。全部で何人かわかる?」

「お兄さんが探してたその子を含めて17人よ。」


アイツらが話していた人数とピッタリか。


「そう。みんなは、前からの知り合い?」

「ううん、違うわ。そういう子もいるけど、みんながみんな知ってるわけじゃないわ。住んでる所もバラバラだったし。」

「そう。ここにはどうやって連れてこられたのかな?」

「なんか、道を歩いてたら、いきなりクラっと眩暈がしたと思ったら、男の人に担がれて、ここに入れられたの。」


ニコラと一緒か。

彼女も捕まる直前フラフラだったし。


「みんなはどう?そんな感じ眩暈がしたの?」

とライガが少女達に問いかけると、どうやら全員捕まる前は眩暈がしたらしい。

”偶然“眩暈ってするものなのか?


「ねえ、眩暈がする前に何か変わった事なかった?」

「変わった事?」

「そう、何かないかな?みんながみんな、連れ去られる直前に眩暈がするって“偶然”とは思えないんだ・」

「そういえば、直前に男の人とすれ違って、何かが体に触れた気がしたんだけど、でも、気のせいかも...。」


と別の少女が答えると、次から次へと私も私もとなった。


確かに、みんな直前に男の人とすれ違うというのは出来すぎだ。

だが、男とすれ違っただけで、眩暈...いや、魔力切れになるのか?何かあるのか?


もう少し探るか。


「みんな、聞いてくれ。俺はこれからこの建物内を探ってくる。もう少ししたら救助がくると思うから、それまでの間、ここでもうしばらく待っていてほしい。」


一様に不安そうにしていたが、とりあえず騒ぎ出す子もいなかったので、ライガは一安心したのだった。


そして、彼女達を部屋にそのまま残し、そっとライガは部屋を後にする。



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