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26_幽霊屋敷_6

ライガとミシカは同様の作戦で次々と部屋を攻略していったのだった。そして、悲劇の現場となった主寝室を残すだけとなった。


「ねえ、ところでさ、事件があった日って、元凶の貴族の息子ってどこにいたの?」

「それがさぁ、新しいお妾さん候補の愛人の所にいたらしい...よっ」

「はぁ~それは、誰も浮かばれないわね...っと」

と話しながら、そして、次々と現れるスケルトンを倒し、薄暗い廊下を歩いていると問題の主寝室に到着した。


扉を開けるとやはりスケルトンがワンサカおり、ライガとミシカは同様の作戦でクリアしたのだった。


「ふ~。スケルトンばかりかと思ったけど、ゾンビもいたし...いずれにせよ物理攻撃が有効なアンデットばかりだったわね。元々って、実態のない幽霊って話じゃなかったっけ?」

「そこなんだよなぁ。という事でミシカ、カーテン一旦閉めてもらっても良い?」

と何やらトントンとライガは壁を叩きながら、ミシカに指示を出す。


「ごめん。遮光の布、勢い余って、下に落としちゃった。」

「そうか、まあ、もう日も傾いてきたし、強い光も入って来ないから、備え付けのカーテンで大丈夫かな。おっ!やっぱここか?」

と言うとミシカがカーテンを閉じるのを目で確認し、部屋の隅にあった大きな鏡に向かって長剣をふり下ろす。


「えっ!ちょっと何してるのよ、ライガッ!!」

とミシカが叫ぶのと同時に鏡はガシャガシャーッンという音と共に割れて、下に割れた鏡が下に散らばったのだった。


「やっと見つけた。こんにちはお嬢さん。」

ライガは、いつになく優しい顔をする。


見ると鏡のあったとされる場所の奥に通路が伸びており、その隅に裾の長いネグリジェを着た小さな女の子が丸まって震えていた。


「君は、リンジーさんかな?」

「...リンジーはママの名前。」

「そっか。じゃあ、君はエミリーちゃんだね。悪い大人は全てやっつけたから、安心して出ておいで。」

「ほんとうに?」と聞いて、ゆっくりと小さな女の子は出てきた。


「おじさんは、だあれ?」

「お、おじ、お兄さんはね。ママのママのお友達だよ。」

「おばあさまのお友達?」

「そうだよ。これ見た事あるかな?」

とそっと懐から出したものをエミリーに見せる。

「あっ、これママのお気に入り!」

「そう、ママのだね。エミリーちゃんはママの所に行きたい?」

「ママの所に行けるの!?」

「ああ、お兄さんが手伝ってあげるよ。その前に一つ聞いても良いかな。」

「うん。」

「ちょっと前から、変なモノがお屋敷に増えていったと思うんだけど、何か知ってる?」

「あ、あのね。知らないおじさん達がお屋敷に入ってきて、地下室に何か置いていったの。その次の日から、“へんなもの”がどんどん増えていって、私とても怖くて、ここから動けなかったの。」

「そうか。それは怖かったね。」

と言ってライガは、エミリーの髪を撫でているようにミシカには見えた。


「本当に、ママの所に連れて行ってくれるの?」

「ああ。」

「早くママに会いたい!おじさん早く!

あっ、そうだわ。お礼にこれあげる!私の宝物なの。ね!だからお願い!」

「ありがとう。そうだね、そろそろママの所に行こうか。じゃあ、ママの事を思いながら、目をつぶって。」


ライガは何やら呟くとエミリーの身体は光り出し、同時に発生したおびただしい数の光の粒となって上空へと上がっていったかと思ったら、すぅーっと消えていった。


「相変わらず、見事な除霊ね。てか、全然話ついていけてないんだけど。話してくれるんでしょうね。」

「ああ、その前に地下室の物、確認しに行かないと。またスケルトンさん達とご対面だぞ!」

「ゲっ!それは嫌よ!」


エミリーが言っていた地下室に行くと、そこには骨になった死体とまだ骨になっていない死体がいくつもあった。


「これか。」

とライガは言うと何やら、また呟く。

エミリーの時は明るい光だったのに対し、こちらは、どす黒い粘着質な泡のような物だった。大きくなった泡の塊は、一瞬こちらに攻撃を仕掛けてきたが、それは、ミシカの魔法で飛散させた。


「おみごと!」

「どういたしまして!で、話してくれるんでしょ?」

「ああ、ちょっと待って。もう少ししたら、お客さん来ると思うから。」

「お客さん?」



「おーい!ライガくーん、いるかーい!」

「ロックウェル隊長ー!今から、そちら行きますので、お待ちくださーい!」

「あっ、そういえば、約束してたわね。」というミシカと共にライガは、エントランスホールへと向かう。


「ライガ君...ずいぶん君の長剣はボロボロだね。」

と挨拶もそこそこにロックウェル隊長は、ライガ達の様子を見て言う。


「ええ...思ったより数が多くて。」

「そうか。で、例の物は出たかね?」

「はい。数体、地下室から死体と骨が。私の予想ですが、地下室の床下にも何体が埋まっているかと。最終的には、確認も含めて教会に依頼した方が良いとは思いますが、除霊も済ませてますので、掘り起こしていただけると助かります。」

「ああ。ここからは我々警邏隊の仕事だからね。任せておきなさい。」

「そうそう。証言者の話によると、ちょっと前に男達が運び込んできたそうですよ。」

「証言者?」

「ええ。あ、地下室はここです。」

と言ってライガは体調に持ってきた屋敷の見取り図を出し、差し示す。


ロックウェル隊長は、一緒に来ていた隊の一人に声をかけ、

「ジャン。ここにあるらしい。捜索を頼む。」

と指示を出す。

「ハッ!」と言って、ジャンと呼ばれた隊員は他の隊員達と共にスコップを持った隊員達は、屋敷内へと入っていった。

「で、その証言者とやらを、我々に引き合わせてくれるのかな?」

「ええ。まあ、もう話せないと思いますけどね。」

「???」

そう言って、ライガは、ミシカと隊長、そして、残っていた二人の隊員を引き連れ主寝室へと移動する。

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