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01_クワッツ冒険者ギルドの朝_前編

ある程度ストックが貯まったので、投稿しました。

注意)まだ全然完成していないので、コソっと設定、文言が変わっている可能性があります。

男は、鬱蒼とした森の中をひたすら走っていた。


「まずい.....まずいぞ。早くこの事を知らせなければ...。」


はぁ はぁ...。


体力がないわけではないが、やはり戦士ではない男にとって、足元の悪い森の中をずっと走るのは、限界があった。


ハァ  ハァ


「あともう少しで、隠してある転移魔方陣に着く。あそこまで行けば...。」


その時、男の背中に何か違和感を感じた。



それ以降、男は何も感じる事はなかった。




□□□




リンゴ―ン  リンゴ―ン



「ライガ君、おはよう。」

「あっ、おはようございます。今日も、良いお天気ですね。」

「そうだね。あーでも、午後は、少し天気が崩れるよ。」

「えっ、そうなんですか?忘れずに掲示板に書いておかないと!

 ありがとうございます、ヘクトパルさん。」

「いやいや、仕事だからね。ここに詳しいの書いてあるから、読んでおいてね。」

「はい!」


ここは、ウンディナス王国第四の都市クワッツ。

王都から馬車で一週間程豊かな穀倉地帯を通って、北へ向かった所に位置する。

クワッツからさらに北へと向かうと、高くそびえ立つ山脈があり、その間には豊かな森がおおい茂っている森林資源に恵まれた都市である。現在、賢大公として名高いマルーン公爵の元、統治されている商業とダンジョンで発展した都市でもあるクワッツの冒険者ギルドで、ライガは働いている。


冒険者ギルドの朝は、宿泊部や夜間緊急受付などの一部の営業を除くと、他の商店と同じ時間に開始する。ちょうど今、街の中心にある教会の鐘が朝の始業を知らせた所だ。


ギルド営業開始に向けて、正面玄関の掃き掃除を済ませ、夜の間ギルド内に仕舞っていた案内板を外へ出していた所、街で天気予報を生業にしている魔法使いのヘクトパルから今日の天気の詳細をライガは貰っていた所である。


「ヘクトパルさん、モーニングコーヒー飲んで行きません?

今日から期間限定でフレーバーコーヒーを出すんですよ!」

「おっ良いね~。あと数件予報を届けなきゃいけない所があるからね。帰りに寄らせてもらうよ。」

「お待ちしてますね!」


「よッ!ライガ!今日は何か面白いクエスト入っているかい?」

「ジークさん。おはようございます。

 確か、昨日とあまり変わらなかった気がしますよ。」

「そうか、まあ、とりあえず、一応ボード確認するかな。」

「あっ!今日から限定でフレーバーコーヒー始めたので、良かったらどうぞ。」

「相変わらず、売り込んでくるね~。」

「いやいやいや、皆様により良いサービスをご提供しようと思いまして。」

「良く言うぜ!」

「今日の朝の食堂担当、キャロルですよ。」

「うん、帰りに寄ろうかな...。」

はい、まいどあり と心の中で思うライガ。


ジークことジークハルトは、この街を拠点に銀印のソロ冒険者であり、毎朝、ギルドに入ったクエストを確認しては、自分の気に入った仕事を見つけて請け負っている。彼の実力であれば、高報酬の大きな仕事も請け負えるのだが、「只今、命の洗濯中♪」と言って、単発の細々した仕事を請け負っている。


「さてと、案内板にフレーバーコーヒーの事を書いてっと。それから、今日の天気についても、屋内の掲示板に書き直して...あとは...」


「す、すみません。」

朝の準備の確認をしていると、この辺りでは見かけない顔の薄汚れた男が立っていた。

「はい、何でしょう?」

おっ、ご依頼かな?と思いつつ男に返事をすると

「あの、護衛の依頼を出したいんだが、ここで受け付けてもらえるのだろうか?」

「護衛のご依頼ですね。大丈夫ですよ。中へご案内いたしますね。」

「あ、ありがとう。初めてなもんで、よくわからなくてよ。」

「大丈夫ですよ。こちらへどうぞ!」


ドアを開け正面玄関に入り、そのままエントランスホールを抜け、左側のクエストカウンターへ、男を連れて歩く。


「エントランスホール右側は、食堂になっておりまして、誰でもご利用いただけます。」

「はあ。」

「左側が、クエスト関連のエリアになります。冒険者は、ここに掲示してあるクエストで気に入ったものがあれば、ピックアップして、直ぐ傍のカウンターに申し込むんですよ。ご依頼も簡単な物でしたら、そこのカウンターで申し込みを受け付けておりますが、今回が初めてという事なので、システムの紹介もございますので、こちらの椅子にお座りください。」

と言って、カウンターと掲示板の間のスペースにあるテーブルへと案内する。


「今、準備してまいりますので、おかけになってお待ちくださいね。」

と言ってクエストカウンターへと向かい、中を除くと他のスタッフたちが準備で忙しそうにしていた。


「クエスト依頼のお客様来てるんだけど、忙しそうだから、俺、説明しちゃおうか?」

「え、良いの、ライガ?ありがとう助かるわ!」

とクエスト受付担当のミシカがカウンターの下からひょっこり顔を出した。

「説明セットだけ準備して貰って良い?」

「OK!はい、これ!」

「サンキュー!」

と言って、ミシカから依頼者用のギルド説明パックを受け取る。


「お待たせいたしました。こちらがご説明する内容の冊子になります。私はここで職員をしております、ライガと申します。クワッツ冒険者ギルドへようこそお越しくださいました。

 えーっと、依頼の流れを簡単にご説明いたしますと、まず、クエスト受付の職員に依頼内容をお話いただいたら、その内容を職員がまとめて、クエストの掲示板に貼り付けます。仕事内容と報奨金に興味を持った冒険者はカウンターへ持っていき、受付スタッフが受領しましたら、当ギルドからそのクエストの依頼主へご連絡を差し上げますので、直接冒険者と護衛の詳細を詰めてください。お支払いは、ご依頼を出された時にギルドへ納めてください。基本的には全て前金となりますが、もしご都合が悪い場合は、職員にご相談下さい。ちなみに、今回護衛との事ですが、詳しくお伺い出来ますでしょうか。」


「ああ、隣町までなんだが、木材を運ぶんで、その往復の護衛をお願いしたくて...。金額って大体どの位なんだろうか?」


「そうですね。隣町でしたら、朝出れば、夕方には戻って来られると思いますので、代替300~400パクロって所でしょうかね。もし指名依頼になりますと、もう少しかかりますが。」

「さ、300パクロ......。」

「ちなみに、依頼内容はあくまでも”護衛”となりますので、もし荷を運ぶ人夫が必要であれば、別途料金が発生いたします。」

「そうか...。」


うーん、ちょっと難しそうか?


「もし、隣町のギルドまでで宜しければ、日程は決まってしまいますが、週一で荷物として送るサービスもございます。木材の量にもよりますが、リヤカー一台分位なら、役半値って所ですかね。手紙を出して、決まった日時に相手が引き取りにいらっしゃるという方も結構いらっしゃいますよ。」

「なるほど...そしたら、今回はそれでお願いするか。今回サンプルを送るだけなんだ...。」

「承知いたしました。それでは、運送サービスのカウンターはまた別のカウンターになりますので、申し訳ないのですが、これからまたご案内いたしますね。

それと、その冊子の中に、食堂のミール無料券1回分なんですけど、入っておりますので、もし宜しかったら、帰りにでもご利用ください。ちなみに、本日からフレーバーコーヒーが期間限定でご提供しておりますので、こちらも、合わせてどうぞ!」


と話しながら、同じ階の運送カウンターへと案内する。


「すみませーん、ガラモンさーん。」とライガは大声で、朝の準備の為か、奥に入ってしまっている担当者を大声で呼ぶ。

「隣町まで木材なんですけど、お客様です。あとお願いできますか?」


運送カウンターから、髭を鬱蒼と生やした熊のような体躯の男がのっそりと出てきた。

「それでは、後のご説明はこのガラモンがお伺いいたします。すみませんが、私はここで失礼いたしますね。」

と言ってライガは、頭を下げ、ガラモンとその客が話し始めるのを見届けてから、クエストカウンターへと戻っていった。



「ただいま、ミシカ。」

「あーありがとう!さっきのお客さんどうだった?」

「ちょっと予算の兼ね合いで、運送部に回した。すまん。」

「ううん、気にしないで。でも、さすがね。運送部に回すなんて。」

「いやいや、普通でしょ?」

「いやいや、そこがみんな頭回らないんだって!」

「そうかなぁ。」

「そうだって!」


クエストカウンターを出て掲示板の方を見てみると、ギルドの表でさっき会ったジークハルトの他にも数人、掲示板をチェックしている冒険者達がいた。

うん、今日も出だしはまあまあって所かな。

あと少ししたら、ここは冒険者でごった返すだろう。


「ジークさん。何か面白いクエストありました?」

「うんにゃ、ないな。まだ時間も早いから、ちょっと食堂に行って時間つぶしてくるわ!」

「そうですか。あっそうそう、今日からですね、限定で...」

「フレーバーコーヒーだろ?さっき、聞いたって!」

「おっと、これは失礼。それでは、ごゆっくりどうぞ!」

「おう!」


さてと。俺、何してたっけ?

そうだ、掲示板の天気、今日のにしておかないと!


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