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――――――――――

決闘に勝利しました

【実績解放】初めて決闘に勝利した


絶対権限(プライオリティ)が4になりました。

―――――――――


 脳内で声が鳴り響く。

 どうやら僕のスキルは、何らかの条件を満たすとレベルが上がって、出来ることが増えていくようだ。

 その条件はいまだに不明だが、こうして「決闘をする」というのが1つの条件だったのだろう。



「本当に悪かった!!」

「もう二度と逆らいませんので、どうか命だけはお許しを!!」


 凄腕の傭兵2人は、がくがくと震えながら僕に謝る。

 ……そんなに怯えられるのも心外だ。


「アレス、今度から『ビッグバン』は使用禁止ね?」

「……はい」


 やっぱりあの魔法は、やばいらしい。

 反応に困る僕を、ティアが半眼で見てくるのだった。  




「す、凄まじい戦いだった――!」

「表情ひとつ変えずに戦斧を防ぎ切った剣の腕に、最後のあれは何だ!」

「どうしてアーヴィン家は、あんなお方を追放したんだ!?」


 戦いを見ていた人々が、興奮したように口を開く。 



 僕は街道を封鎖する兵士に向き直り、先に進む許可を求めた。


「それでは、カオス・スパイダーに挑む許可を貰えますか?」

「ああ。あれほどの戦いを見せられてしまっては仕方ない。しかし……本当に頼んで良いのか?」


「どういうことですか?」

「今のアレス殿は、領主の息子ではない――領内のモンスターの討伐をする義理もないんじゃないか?」


 心底、不思議そうに兵士が問う。

 モンスターとの戦いの矢面に立つ事も多いアーヴィン家は、時として領内のモンスターを討伐することもあった。



「そういうことですか。別に大した理由はありませんよ――行きたい先にモンスターが居るなら、ついでに倒そうというだけですよ」

「そ、そうか……」


「それに僕は――冒険者になって、世界の果てを見たいんです。そのためにも、こんなところで立ち止まって居られませんから」


 そう言って僕は笑った。

 誰にも言えなかった夢を、こうして胸を張って言葉に出来るようになったのは、ティアのおかげだ。



「街道沿いに進んでいくと、カオス・スパイダーの縄張りにぶつかります。そこも兵士が取り囲んでいるので、すぐに分かると思います」


「ありがとうございます」


 僕は兵士たちにお礼を言うと、カオス・スパイダーが居るという街道を進んでいくのだった。




◆◇◆◇◆


 街道を歩きながら、僕は自らのスキルを確認する。

 さっそく絶対権限(プライオリティ)4になったスキルを、確認したいと思ったのだ。


『チート・デバッガー!』


――――――――――

絶対権限プライオリティ:4

現在の権限で使用可能な【コード】一覧

 → アイテムの個数変更

   (▲エクスポーション▼)

 → 魔法取得

   (▲ビッグバン▼)

 → ユニットデータ閲覧(NEW)

――――――――――



 予想通りだった。

 『ユニットデータ閲覧』という見覚えのない【コード】が追加されている。


「ティア、やっぱり増えてる。ユニットデータ閲覧だって」

「アレスのそれ、やっぱり訳が分からないわね。どうして1つのスキルで、そんなに色々と出来るようになっていくのよ?」


「そんなに凄いの? でもこれ……外れスキルだよ?」

「凄いというか規格外というか……。神託書に載ってないから外れスキルってのも、おかしな話よね」


 載っていないものをこそ、もっと研究するべきじゃないかしらと、ティアは考え込みながら呟いた。

 


 そんなことを吞気に話していると、おあつらえ向きにモンスタ-が現れた。

 ぷにぷにとした見た目が愛らしいスライムだ。


 この辺の地方に現れる本来の敵で、ランクは最下位のGランク。

 ブラッド・ウルフやカオス・スパイダーの目撃情報がある今、その愛らしい見た目は癒しすら与えてくれた。



「ティア、ちょっとだけ待ってて。試してみたいことがある」

「分かった!」


 僕は「ユニットデータ閲覧」をポチっと押した。

 すると――


――――――――――

【コード】ユニットデータ閲覧

名称:スライム(LV1)

HP:13/13

MP:0/0

属性:弱→炎、水、凍

▲基本情報▼

――――――――――


「うわあ。なにこれ……?」

「アレス? 何が見えてるの?」


「すごいよ! モンスターの情報が見れるみたい」



 これまでと同じなら、「▲▼」を押すと何かが起きるはず。

 そう予想して押してみると、その予想も当たった。


――――――――――

【コード】ユニットデータ閲覧

ドロップ:やくそう

レア  :ぷにぷにジュース

 ※ ダメージを99回与える

▲特殊情報▼

――――――――――


 ダメージを99回与える……?

 HPが13しかない相手に……?

 


「アレス、もう倒して良い?」

「その……少しだけお願いがあるんだけど――」

 

 ティアが普通に戦えば、スライムなんて一撃だ。

 というより大半の人がそうだろう――スライムに99回も攻撃するなど、有り得ないのだ。


 しかし、このスキルの効果を信じるなら――?

 僕はワクワクしながら、ティアにあるお願いをした。

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