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 突如として空中から現れた全裸の少女。

 居合わせた兵士たちは、大慌てで目を逸らした。



「あ、あ、あ、あなたはアレスの何なのよ!」

「え? リーシャはアレスの妹だよ?」


 リーシャが僕に抱きついたまま首を傾げる。


「い、妹!? そんな馬鹿な――いいからアレスから離れなさいよ!」

「や!」


 ギュッと僕にしがみつくリーシャ。



「アレス? ……その子が妹って――本当なの?」

「ええっと……」


 僕はチラッとリーシャを伺う。

 彼女はこくこくと頷いた――妹だということにして欲しいらしい。

 できる限り正体を隠したいということだろうか?


 

 本来生まれるはずだったが、バグによって生まれなかった妹。

 先代の【チート・デバッガー】のスキルの持ち主。

 ……たしかにどう説明したものか分からない。


 うん、父上に犠牲になってもらおう。


「うん。リーシャはその……僕の……生き別れの妹だよ」

「そ、そうなの……!? アレスのお父さまに隠し子が――」


 ティアがショックを受けたように、リーシャを見る。

 貴族の隠し子――珍しいことではないけど、あまりにすんなり受け入れられ過ぎではないだろうか。



「えへへ! 妹ならお兄ちゃんに抱きつくのは、当然だよね?」

「それとこれとは別よ! いいからまずは、服を着なさい! というか一体どこから現れたのよ――!」


 ティアがついに実力行使。

 リーシャの手を引っ張り、強引に僕から引っぺがそうとする。



「ティアお姉ちゃん、どうしてそんなに怒ってるの?」

「お、お、お、怒ってはないわよ!(その……ちょっと羨ましいだけで――) それより―、お姉ちゃんっていうのは?」


「え? だってティアはお兄ちゃんと結婚するんだよね? なら……私のお姉ちゃん!」

「お、お姉ちゃん? 私がお姉ちゃん?」


 リーシャの言葉のどこかが、ティアの琴線に触れたらしい。

 ティアは、顔を真っ赤にして俯いた。


「い、いきなり何を言い出すの、リーシャ!? ごめんね、ティア。リーシャがいきなり、変なことを言いだして」

「アレス――」


 僕は怒らせてしまったかと慌てたが、


「――この子、めちゃくちゃ可愛いわね……!」


 ティアは顔をパッと明るくした。

 ……彼女の機嫌の悪くなるスイッチが、さっぱり分からない。

 ティアはニコニコしながら、リーシャをギュ~ッと抱きしめた。


「私、ティアお姉ちゃんみたいな、お姉ちゃんが欲しかったの!」

「リーシャは本当に良い娘ね! アレス、妹のことは大事にするのよ?」


 その後、リーシャはどうやってこの場に現れたのか説明した。

 リーシャは、たまたま近くに兄の気配を感じ、上位魔法である『テレポート』で、この場所に飛んできたと口にする。


「リーシャは、今まではどうしてたの!?」

「その、ごめんなさい。あまり言いたくないんです」


 消え入りそうな声で、リーシャが呟いた。

 何の打ち合わせもしていないし、あっという間にボロが出るのではないかと、僕はハラハラと2人を見守っていたが、


「か、可哀想に……。父に捨てられて家族からは虐待されて――たまたま通りがかったアレスに、助け求めたのね――」


「え……それは違――」

「無理して喋らないで良いのよ!」


 そしてティアの中では、そんな結論が出てしまった。



「アレス、お兄ちゃんとして! これからは責任持って、リーシャを守るのよ!」


 さらにはピンと指を立てて、そんなことを言い放つ。

 うきうきとリーシャの世話を焼くティアを見て、僕は彼女の新たな一面を見た気がした。



「リーシャ、取りあえずこれを着てなさい?」

「ありがとう、お姉ちゃん!」


 ティアから借りた上着を身に付けながら、


「でも……私――お兄ちゃんに服、作ってほしいな?」


 リーシャは上目遣いで、そんなことをお願いしてくるのだった。



 服を作る――そんなこと出来るかな?

 『アイテムの個数変更』は、あくまでアイテムだし……僕は記憶を辿りながら、自らのスキルを起動する。


『チート・デバッガー!』


――――――――――

絶対権限プライオリティ:8

現在の権限で使用可能な【コード】一覧

 → アイテムの個数変更

   (▲エクスポーション▼)

 → 魔法取得

   (▲ブラックホール▼)※習得中

 → ユニットデータ閲覧

 → バグ・サーチ

 → スキル付け替え(NEW)

   (▲極・神剣使い▼)

――――――――――


 あれ?

 なんか見覚えのない、やばそうな【コード】が増えてるような……

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