6.重力の魔法
ダンジョンが出現してから十数年の時が経ち、現在に至るまでに確認された魔法の種類はある程度まで判明している。
火・風・土・水は毎度お馴染みの基本属性四天王で、更には雷・氷・樹(植物系)・治癒(光?)・呪(闇?)の魔法は、比較的にレアスキルと認知されてる。
ちなみに治癒はバフ効果、呪はデバフ効果で他のスキルに比べて多様な種類が存在するらしい。
そして神スキルと呼ばれる空間魔法。
空間と雷魔法を除き、他の魔法は取得している人間は割りと多く存在しているけど、雷魔法は世界で7人が認知されていて、空間魔法に至ってはたった1人。
ちなみに無属性という魔法もあって、主にバリアや気配察知等といった結構有能な種類も存在するんだけど、多くの人間に取得されているという理由で、どちらかと言えばハズレ扱いされ気味な不憫なスキルなんだよね。
無かったら無いで困るのにね。
スキルスクロールは主に魔法スキルが中心なんだけど、魔法スキルは俗に拡張スキルと呼ばれるスクロールによって便利さや威力の強弱の度合いが変わってくる。
まあ、今後も言及する機会はあると思うので楽しみにしておいておくれ。
まあ、それは良いとして……。
「……マジか、まさかの該当スキル無し」
そう、新種である。
「いや、新種の拡張スキルの可能性もあるのか……もう良い! 開けちまえ」
一寸の間だけ(高値で売れるかも)と躊躇ってしまったけど、よくよく考えてみれば、特にお金が欲しいという動機で探索者になった訳では無いと思い直したので、もう開けちゃう事にした。
シュルッ、シュルル。
緊張しているせいか、やけに耳に残るなと思うや否や、開いたスクロールに記された異世界文字は輝きを放ち目に焼き付ける。
赤のインクで記された文字は輝き終わった後に黒く変色し、今はもう何の効力も無い、ただの巻物としてその役目を果たした。
「……重力……魔法?」
おお、重力魔法か……新種じゃん。
やったわ。
遂にキタ。
別に待望してたって訳でも無いんだけど、きちゃったわ。
……それにしてもあれだな。
何て言うか、スクロール見つけた時のテンションの上がり具合が凄すぎてのか思ったより普通だな。
魔法スキル取得の副次作用?
まあ、嬉しいから良いんだけどちょっと困惑。
「ん、そんな事より、予想は付くけどどんな感じ?」
何と言えば良いのか、本当にインストールされたって感じで変な気分。
見た事無い映画なのに、鮮明に思い浮かべる事が出来ると言うか、既視感みたいな感じ?
それはまあ良いとして、ステータス風に表すとこんな感じかな?
重力魔法……対象に接触状態に限り発動し、重力の加減を調整する事が出来る。
又、術者自身への加減は念ずるだけで発動可能。
・加重
・減重
何かあっさりとした説明だな。
まあ、こんなもんか?
それにしても、この接触状態って結局は接近戦は必須ですよって事だよね?
あれ?待てよ?
肉弾戦って事?
近付いてんじゃん!
逆に距離が縮まってんじゃん!
え?
あれ……?