59.非常時では
野良探索者のタンサックこと、轟さんをパーティーに誘ってからも勧誘活動は続けている。
これはと思う有望な探索者の何人かに声を掛けてはいるけど、やはり現時点では何とも言えない様な返事しか返ってこないね。
いきなり今の生活の安全性や継続性を改めて見直せと言われても、なかなか簡単には変えられないのだろうから仕方が無いとは思うけどね。
そんな中、世間ではダンジョンからモンスターが流出している動画は僅かではあるが日に日に増えている。
中にはフェイク動画もあるのだろうけど、つい先日にはとうとうスライムが目撃された。
これまではダンジョンに巣食う小さな虫程度だったものが、とうとうモンスターとして認知されている敵性生物も現れる様になった事実は大きい。
いよいよその時は近い。
そうした日常の変化もあって俺達は、粟山の消防団等の活動といった地元の集まりにも積極的に参加する様にしている。
結局のところ、非常時には最終的に横の繋がりが物を言うのは、何時の時代も変わらないであろう事は明白なので、地域の皆さんにそれとなく注意喚起しておけば、被害や混乱を最小限に抑える事が出来きて助かる人も増えると思う。
打算的ではあるけど、自分達だけ乗り越えられれば安全と言う訳でも無いので、こちらの身を守る為にも必要な活動だ。
良く海外の人達から『日本人は災害時であっても冷静で犯罪や略奪が起きない』なんて評価をされる事もあるらしいが、それはその国の人々が自国政府に対する信用・信頼度の有無の差でしか無いと思う。
もし、国や政府が壊滅的な被害を被り、結果として機能不全で助けが無いとなればどうなるかは判らない。
はっきり言ってそんな状況下になれば、例えどこの国の人であろうと略奪や争いが起こると思う。
そう言う意味では日本人は恵まれているだけなのだ。
そんなこんなで今日も今日とて無職の俺達は、地元の草刈りと言った地域の環境保全等をして点数を稼いでいる。
いくら地元出身と言っても、無職集団が土地を買い漁って色々と活動していれば、不審に思われるからね。
そう言えばつい先日、公安が俺達を嗅ぎ回っていたそうだ。
ご近所さんや両親に、俺達の人物評や活動内容を聞いて回っていたらしい。
そりゃ、通販でボーガンとか色々と買ってれば不審にも思われるよね。
客観的に見ても、ナイトスコープやギリースーツ20着を買う集団が真っ当だとは思えんわ(笑)
最近では、人感センサー付の監視カメラとかスポットライトとかも買ったし、ちょっとした要塞だよね。
それに飽き足らず加茂なんかは、侵入者防止策として、鋭い返しの着いたフェンスと有刺鉄線を設置しようと画策してるし、そのうちバリスタとか設置しだすんじゃないかな?
そうなったら絶対、不審者集団としてニュースになると思う(真顔)




