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55.計算違い

風呂場建設を計画してから10日が経った。

メチャクチャ怒られつつも何とか風呂場は完成した。

と言うか、業者さんに依頼して完成させた。


その間は俺の実家の風呂を借りる事になってしまい、挙げ句の果てには罰としてお風呂に入れるのは最後で掃除までさせられた。

しかも、送迎ドライバーまでやらさるので晩酌も出来ないというある種の拷問みたいなオマケ付き。


この一件依頼、俺の地位(カースト)は著しく下がり、何かやる時は必ず加茂に相談する事を義務付けられてしまった。


良かれと思ってやったんですよ?

あ、いえ……何でも無いです。


これは何とかして名誉挽回をしなければならない。

なので、俺は一計を案じて新たな試みを提案しようと思う。


「味噌を作りたい?」

「そう! 日本人と言えば味噌・醤油は必須調味料でしょ! ならば、来るべき大氾濫時代を見据えて自らの手で作れる様になった方が良いと思うんだよね……どうかなぁ?」

「……良いんじゃね?』


良し、言質は取ったぞ?

これなら必要な資金は少額だし、皆の役に立てるだろう。

何としてでも成功させねば!



………………

…………

……



「あん? 味噌作りを教えて欲しい?」

「うん。 昔作ってたよね?」

「近頃はとんと作っとらんけどねぇ。まあ、ええよ。」


俺は許可を取った後、実家に戻って婆ちゃんから教えてもらう事にした。

これなら失敗しないだろうしね。


うちの婆ちゃんは昔は味噌に限らず、色んな保存食を作っていた。

こういった生活の知恵は先人に習うのが一番だ。


婆ちゃんに用意をするように指示された材料は以下になる。


・大豆……500g

・麹……500g

・塩……200gくらい


「用意出来たかい? んじゃあ、この大豆を水に一晩浸けるんよ。」

「……え? 一晩?」

「ん?」

「そんな浸けるの?」

「柔らかくせんといかんからねぇ。」


早速、予定が狂ったな……まあ良い、明日ね?



………………

…………

……



「じゃあ、婆ちゃん。 続きをお願いします。」

「じゃあ、この浸けておいた豆を長い事、煮んといかんのよ。」

「どれくらい煮れば良いの?」

「そうさねぇ……この柔らかさなら2時間ほどかねぇ。ああ、煮汁は取っとかんといけんよ?」

「2時間ね? 解った。」


━━2時間後。


きっちり二時間が経ったので、婆ちゃんを呼んで確認してもらう。


「どう?」

「これなら大丈夫さね。 んじゃあ、つぎは麹と塩を良く混ぜて。

ちゃんと大豆が冷めたら、潰して煮汁も入れて全部一緒に混ぜるんよ。」


また待ちかよ……。

しょうがないから部屋で漫画を読んで時間を潰した。


━━1時間半後。


「婆ちゃん、混ぜたよ。」

「んじゃあ、それを団子にしてこの入れ物に入れて。」


そう言って、婆ちゃんはタッパーを差し出してきたので団子を入れていく。


「違う違う。 空気を抜きながら入れるんよ。」

「え? 団子にした意味ある?」

「よう知らんけど、昔からそう教わったんよ。」

「そ、そっか。」


じゃあ、しょうがないよね?

良く解んないけど、古から伝わる秘伝なのかも知れん。


そして、団子状にした大豆は全部タッパーに入れきった。

その上からラップで大豆とくっつける様にピッチリ貼った。


「んで? 後は?」

「これで終わりさね。 後はこの袋にこんくらいの塩を入れて、これを重石にするんよ」


そう言ってビニールに入れた塩を入れ、更にタッパーで蓋をする。


「この後はどうすんの?」

「出来たら陽が差さんとこに半年くらいは置いとくんよ。」

「えっ? 半年?」


そんな長い間、置いとくの?

もっと短いものだと思ってた。


計算が……。


こうして、俺の名誉挽回作戦の成否は半年先へと持ち越されるのであった。

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