52.ライフライン
新たな拠点へと移動してから翌日、色々とやる事が多くて四苦八苦している。
何せ1つ辺りの部屋が大きく、掃除だけで半日は掛かる。
最初は欧米の様に土足生活を送ろうかとも考えたが、やっぱり、アイムジャパニーズって事で畳を購入して敷き詰める事にした。
親父に地元の数少ない畳屋さんを紹介してもらい、電話を掛けて手配をする。
昼飯時に皆にその話をしたら、皆もそうすると言い出したので、再度注文する羽目になってしまった。
元が教室なので、全部を畳にすると40畳くらい必要になってしまうので皆で1人辺り30畳ずつで注文したが、皆も合わせれば150畳にもなって時間が掛かるので、地元の畳屋さんにお願いして畳屋さんネットワークの力で、一気に揃えてくれる様に手配してくれた。
紹介してくれた畳屋さんには、ちゃんと色付けときまっせ。
そうして畳屋さんが納入してくれるまで時間が空くので、自分の部屋を掃除した後は、共有部を掃除したりして過ごした。
夜には外でBBQをして引っ越し祝いをし、久し振りにテントを張って外で一夜を明かした。
━━翌日。
「ソーラーと水力発電なんてどうだ?」
皆で朝食を摂った後、加茂がライフラインを充実させる為に、そんな提案をしてきた。
「発電所が無事に存続出来る保証は無いだろ? いざとなったら自分達で賄わなきゃならないからな。 自家発電も燃料が切れれば終わりだ。」
「ふ~む、この可能性は多いに有り得るな。」
実際、国がどこまでライフラインを初めとしたインフラを維持出来るか疑問だ。
自衛隊や警察の人数にも限りはあるし、破壊されれば復旧するまでに要する時間も不明瞭だ。
「確かに……購入した裏山の湧き水も電動ポンプ便りでござるからな、最低でもそこは死守しないと不味いでござるな。」
水は人間が生きていく上で必ず必要なので、誰かに購入される前に早めに購入しておいた。
購入後には地元の土建屋に依頼し、裏山には有刺鉄線付のフェンスが張られ、湧き水の周りには大きくコンクリート塀で囲ってもらっているが、電気工事は何もしていない。
「おう、だからよ。 せめて、あそこだけでも水力発電機で稼働させておきたいんだよな。 金はあるし、他の用途に使ったりも出来るんだから、予備も含めて10台くらい購入しておいても良いんじゃ無いか?」
「ソーラーも設置するんだろ? そんな必要なのか?」
「金だけあってもしょうがない。 ダンジョンの氾濫がどのくらい影響があるか分かんねえけどよ、最悪を想定した方が良い。」
加茂はそう言って最悪の事態の例を上げる。
自衛隊が一般人を守る事が不可能なくらいに国は混乱し、インフラが徹底的に破壊され、食糧飢饉が起きた場合は最早、お金の価値すら無くなってしまう可能性が高い。
お金があっても物は手に入らない時代がやってくるかも知れない事を考えると、お金を無駄に貯めるよりもライフライン維持に投入した方が良いと提案する。
それは、その場に居た誰もが否定しきれない、最悪の未来予想図であった。




