49.魔法スクロールフィーバー
「うわあああああぁ!」
俺は今、ゾンビの大軍を相手に戦っている。
見渡す限りのゾンビ・ゾンビ・ゾンビ。
まるでゾンビ同士のWiFiネットワークでもあるのかと言いたいくらいに倒しても倒しても、どこからともなく現れては大群に加わって襲ってくる。
もうグロいとか通り越してパニックだよ。
ひたすら距離をとって重力魔法で潰していくが、潰れた拍子で流れてくる匂いで気持ち悪くなり、更に見た目で吐きそうになる。
もう、怖くて泣いているのか何なのか分からない。
ひたすら泣きじゃくりながらゾンビを潰しまくっている。
この地獄はいつまで続くんだよ!?
早く終わってくれ!
そうして漸く全てのゾンビを葬った後、俺は暫くの間は茫然として動く気になれなかった。
「うぷっ、……駄目だ。 もう帰りたい。」
戦いの余波で不安定になった建物の一部が『ガタンッ』と崩れる度にビクッとなってしまう。
もう、ゾンビは見たくないと言うか、2度とここに来たくない。
魔法スクロールを見付けたら、マジでこのダンジョンに来る事は止めようかと思ってる。
そう真剣に考えるくらいに俺は、このゾンビエリアにトラウマを刻まれてしまった。
……さっさと魔法スクロールを見つけて帰ろ。
………………
…………
……
「あった……あったぞおおお!」
やっと見つかった。
これだけ心に傷を負って見付けられなかったら、このエリアの建物全てを完全に破壊しつくしていたかも知れない。
俺の苦労と決断は今、報われたのだ!
見付けた魔法スキルは全部で8個。
【土】が2つ【水】が1つ【風】が1つ【火】1つ【無】が3つだ。
何となく予想はしていたけど、やっぱりレア魔法スキルは見付からなかったね。
ああいうのは、移籍やお城みたいな場所じゃないとなかなか見付からないらしい。
おそらく、当時の異世界人の社会制度的な事情があるのだろう。
ネットやエロい人達はそう分析していた。
ちなみに、人数分以上のスクロールが手に入ったけど、俺達は売るつもりは無い。
これは他の探索者にも言える事だけど、他人に売るくらいなら自分達で使うという理由と、魔法スクロールがあれば他の有望な探索者を勧誘する際にも有効なので、オークションに売られる事はまず無いと言っても過言では無い。
どういうエリアに当たるかは完全に運なので、実力があればスクロールを手に入れれるという訳では無いのだ。
そういう手に入れられない人達にチラつかせればイチコロって寸法よ。
まあ、大半は勧誘に使わないで自分達で使用するけどね。
余程、スクロールに余裕が無ければ譲りませんよ。
そうして、魔法スクロールが手に入れれる事が出来た俺は、スクロール探しの途中で道に纏めといた武器を回収し、天井のゲートを使ってとっとと帰る事にした。
もう、こんなエリア2度と来ないからなっ!
………………
…………
……
「えっ!?」
「いや、だから俺らもスクロール手に入れた。」
意気揚々とダンジョンから引き揚げ、皆の帰りを待ってドヤ顔で報告したら、皆も魔法スクロールを手に入れたらしい。
しかも20個も手に入れてた。
「えっ?」
俺はその日、何度説明されても現実を受け入れきれず、自室から出る事を拒否し続けるのであった。




