48.天国から地獄
「……扱いに困るな。」
皆に謎の研究施設から持ち帰ったノートを見せて相談すると、加茂は何とも言えない顔をしてそう言った。
加茂が言うには、この謎ポーションに使われた原材料が不明だし、効果もイマイチ分からない。
仮に自分達が製造するにしても、試行錯誤しながら実験する時間や手間を考えれば、手を出すにしても信憑性が無さ過ぎる。
研究機関に資料として売るにしても、それらの課題をクリアして現物を見せない限りは、眉唾物なので大した金額では売れないだろうとの事だ。
「わざわざ隠し部屋に置いてあるくらいだから、それなりの価値や信憑性は有るかも知れんが、再現出来なきゃ意味無いからなぁ。」
……ですよねー。
結局、このノート事はお蔵入りする事になった。
気を取り直して、ダンジョンでの地震の話をする。
「地震は全国のダンジョンでもあったそうでござるぞ。 無論、拙者らの探索中にも揺れたでござる。」
「でもよー、何故かダンジョン以外は揺れて無えみたいなんだよなー。」
これはやっぱり、ダンジョンの氾濫が近付いてんのかね?
それも、俺達が想像している以上に……。
やはり探索スピードを上げる方が良い事は間違いじゃ無さそうだね。
俺は探索スピード重視の必要性を再確認した。
………………
…………
……
翌日、最短で謎の研究室まで足を進めて先を目指す。
途中、食糧倉庫や武器庫らしき部屋を見つけたが、特にマジックウェポン等と言った物も見つからず先を進む。
そうして、通路を抜けて新たなエリアを幾つも突破し、漸く念願のスクロールが有りそうなエリアへと辿り着く事が出来たのは、ソロ探索を始めてから約二週間の時が掛かった。
そんな苦労の末に辿り着いたエリアは、元は大きな街であったであろう廃墟エリアだ。
石畳の道路の両脇には何らかの店の面影があり、その店舗数から鑑みるに曾ては大人数の人通りがあったであろう事が窺える。
これまでにスクロールを得た様々な探索者からもたらされた事前情報では、こう言った元は街であった廃墟には、魔法スクロールを売る店が存在する可能性が高いらしい。
否が応にも期待が高まるってくるね!
そうして、魔法スクロールへの期待でワクワクしながら歩いていると、久し振りの人形のモンスターが複数現れたのだが、その姿を確認した途端、思わず顔をしかめてしまう。
その人形モンスターの正体とは━━
「うげっ! ゾンビかよ……。」
━━全国の探索者が戦いたくないモンスターランキングで不動の一位を誇るゾンビさんだった。
この日から俺は暫くの間、肉が食えなくなってしまう程のトラウマを抱えてしまう事となってしまった。




