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38.着々と

後日にキノコエリアを案内すると約束をして、川畑さんとは別れた。

ダンジョン氾濫の件を話そうかとも思ったけど、初対面の彼女にいきなり話す事でもないと考え直した。

後日にでも触りだけを話せば良いんじゃないかな。


ついでに不動産屋に寄り、畑やら空き家物件をリサーチしたりして実家に戻った。

予定通りに目的は消化出来たので、親父達には明日帰る事を報告しに行くと、早速親父は動いてくれていたらしく、数枚の紙を渡された。


「やっと帰ってきたか。 実は今日な、役場に行って空いてる物件の話を聞いてみたんだが、これを買い取ってくれないか聞いてみてくれと言われてな。 こういう物件は興味あるか?」


そう言って見せてきた紙を見てみると、廃校になった元小学校だった。

俺が小学生になる前に廃校になり、他の小学校と統合されたせいで実家から近いのに通えなくなった幻の学校だ。


そのお陰で一時間くらい早く起きて通う羽目になり、世を恨んだ若かりしあの日の記憶を思い出す。


「えっ? 粟小ってまだあんの? とっくに更地になってると思ってたわ。」

「役場と言うか、官公庁でオークションにかけてたらしいんだがな、サッパリだったみたいだぞ。 買ってくれるなら値引きするとも言ってたな。」

「これは良い物件でござらんか? 築35年ではござるが、鉄筋コンクリート造りでござるし、敷地もそれなりにあるでござる。」

「でもよー、元の希望価格が2千万円ってどうなんだ? 安いのか高いのかイマイチ計算出来無えな。」


敷地面積が校舎を含めて約8千百㎡か……ピンとこないけど良さげだな。

家から車で10分くらいの距離にある所だし悪くない……これは買いか?


「……値引き値次第だね。 加茂とも相談したいし、どうするかはちょっと待って。」

「早く売りたいみたいだったし、いくらでも待つだろ。」


何にしても加茂が戻ってからだな。

加茂も賛成なら明日中に役場に話をしに行こう。



………………

…………

……



翌日、加茂も乗り気だったので、早速役場に話を聞きに来た。

担当の人に話を聞くと、1千6百万円まで値引き出来る様だ。


そうして担当の人と共に学校の内覧も済ませ、役場に戻って話をする。

設備の復旧に3百万くらい掛かるが、自家発電システムも備えてるし、思ったより綺麗に維持されてた。

学校備品も撤去されてたし、全部で2千万円あれば、すぐに使える様になると思う。


加茂も裏山があって湧き水があるのがポイントが高いと言っていた。

そこは学校の敷地じゃ無いので購入しなきゃだけどね。

でも、交渉もしない内にいきなり値引きしてくれたのには驚いた。

余程売りたかったらしい。


「実際、売れないと維持費も大変ですからね。 こちらとしても早く手放したいと言うのが本音でして、この金額で買い取って頂けるなら、すぐに売却許可も下りますよ。」

「……どうだ? 俺は決まりで良いと思うぞ?」

「……じゃあ、買いで。」


小学校、買っちゃった。

まだ、正式にでは無いけどね。

お金も振り込まれてないし、実際に契約するのは待ってもらう。

ちゃんと手付金は払いますぜ。


こうして、俺達の地元での活動は一旦終わり、その日の内に黒川へと戻った。

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