37.深い愛
兄貴と取っ組み合いなった翌日、噂のキノコ博士に会いに行く事になった。
加茂は実家に帰ると言ってレンタカーで朝イチで出掛けて行ったので、他の二人にも長旅の疲れもあるだろうから来なくて良いよ? と言ったのだが、この二人はどうしても人の恋路を邪魔したいらしい。
この下衆どもめ!
「ハジメちゃんいないのに家で待ってても居辛いからなぁ。」
「拙者は2次元にしか興味無いでござるよ。」
昭典……それはそれでどうかと思うぞ?
俺もエロ漫画とかでお世話になってたけどさ……。
「さらっと性癖を晒している件。」
「ハジメちゃんマジかよ……。」
い、今は違うから! 真面目だからっ!
何て言いつつ、粟山駅で待っていると、電話が掛かってきた。
『もしもし、今駅に着きました。』
『あ、あれかな? 赤いシャツ着てる?』
『あ、そうです。』
ひゅー! 来たぜぇ!
皆で車を降りて迎えに行く。
キノコ博士は背が小っちゃくて可愛らしい女の子だ。
大学生かな?
「改めて初めまして、川畑咲と言います。佐藤さんには色々とお世話になっております。 今日はよろしくお願いします。」
「小玉一です。こちらこそよろしくお願いしますね。」
「チッス、俺ぁ真壁昌利、気軽にマサやんで良いからよ? ヨロシクな。」
「せ、せせせ拙者は片岡昭典と申すごわすっ!」
「は、初めまして。」
昭典ぇ……。
お前はいつから薩摩藩出身になったんだよ?
それにしても可愛らしい娘だなぁ。
べりーショートが良く似合う、活発そうな女の子だ。
正直言って大好物です。
「じゃあ、自己紹介も済んだしどうしようか? 喫茶店なんて洒落たとこ無いしファミレスで良いかな?」
「あ、じゃあよろしくお願いします。」
彼女も車なので付いてきてもらう。
田舎は1人1台が基本です。
………………
…………
……
「……で、ダンジョンのキノコの話を聞きたいんだよね?」
「そうなんですっ! ダンジョン産の冬虫夏草とお聞きしたので、是非ともお話を聞きたくて!」
「お、おう、本当に好きなんだね。」
「あ、すいません……つい。」
川畑さんは大学で菌類の研究をしていたらしい。
大学卒業後は諸事情により菌類専門の研究職に着けなかったので、プライベートで研究しているらしい。
変わった面白い人だなと言う印象だ。
菌類に全く興味が無い為、彼女の熱弁を聞いてもサッパリだが、
どうやら彼女は福島出身のご両親の間に生まれ、今も原発周辺を汚染する放射線を何とかしたいと調べたていたところ、ロシアのチェルノブイリには放射線を食べる菌類がいる事を知って衝撃を受けたらしい。
そうして、様々な菌類を研究している内に同じ菌類であるキノコへと繋がり、いつしかキノコが可愛いとまで思える様になってしまったのだとか。
キノコ愛は兎も角、何か凄い人だなと感動した。
変わった人とか思って済みません。




