35.春よ来たれ
「……そうか。」
「まだ暫くの間は何も無い思うけど、二人にもダンジョンには潜っておいて欲しいんだよね。」
「……この周辺にダンジョンは無いわよ?」
「おう、それなんだけどよ、黒川周辺で空き家を借りて暫く一緒に過ごさねえか?」
佐藤兄妹に今後の行く末について説明した。
反応を見るに、提案を拒否される事は無さそうだね。
「……こちらにも都合がある。 それが済んだなら向かおう。」
「おう、それで構わん。 と言うかまだ家も探してねぇ。」
「お前、いつ出てくの?」
こいつ、やっぱり出て行く気無かったな?
俺も不動産情報を見といた方が良さそうだな。
その後も大雑把ではあるが話し合いは続き、協力してくれる事を了解してくれたので帰る事にしたが、卜伝に待ったをかけられた。
「……待て、紹介したい人間が居る。」
詳しく話を聞くと、卜伝の知り合いに自称キノコ博士がいるらしく、俺達のダンジョンでの話を聞いて思いだした様だ。
どうやら、そのキノコ博士を紹介してくれるらしい。
「……少し待ってろ。」
そう言ってキノコ博士に電話を掛けに行った。
暫くすると戻ってきた卜伝は、どうやら俺の電話番号を教えたらしく、そのキノコ博士に電話を掛ける様に手配していた。
勝手に教えるなよな!
見知らぬ人間に個人情報を流すという、あるまじき暴挙に憤慨していると、電話が掛かってきた。
『もしもし川畑と申します。 小玉一さんの番号でよろしかったでしょうか?』
『あ、はい。 そうですが……。』
『えっと、ししょーからお話を伺ったんですが、お時間がある時で構いませんので、詳しい話をお聞かせ頂けないでしょうか?』
『は、はあ、それは構いませんけと……。』
声からしてキノコ博士はどうやら若そうな女の子みたいだ。
でかしたぞ卜伝!
さっきの暴挙は不問に致す。
そしてキノコ博士とは明日会う事を約束して電話を終了する。
ひゅー! 胸アツだぜぇ!
速攻、電話登録しとこっと。
どんな子だろ?
可愛い女の子だと良いけど……。
「……相変わらず分かり易いお人でござるなぁ。」
「何だよ? ハジメちゃん。 俺に言ってくれりゃあ、いつでも紹介してやんのによ。」
マサやんの紹介はもう懲りたよ。
前に紹介してくれた子って女版マサやんだもん。
手に根性焼き入れてる女の子なんて初めて見たよ。
待ち合わせにピンクの特効服を着て来たあの夏の衝撃は忘れられない。
早く俺にも春が訪れて来ないかな(切実)




