34.相も変わらず
現住所である黒川から車で約3時間半。
俺と加茂の地元である粟山へと久し振りに帰って来た。
我が故郷は相変わらず田舎だね。
実家の近くの道の駅に来たけど、人っ子ひとり居ねえ。
「んあー、久し振りに長運転はダルいねぇ。」
「本当、ここも変わらねぇなぁ……看板も錆び付いたままだわ。」
「良いとこじゃ無えの。海も近くてよ。」
「拙者、久し振りに海を見たでござる。」
……お前、黒川に住んでて何で海見てねぇんだよ。
お前ん家から歩いて一時間もしない距離に海があるだろ。
「そんじゃあ、トイレも済んだし俺の実家に行こうか。」
こうして俺達一行は我が実家へと向かう。
………………
…………
……
道の駅から更に車で20分を掛けて実家に到着、久し振りに聞く飼い犬の鳴き声の中、車を家の敷地内に停める。
「お~しおし。元気にしてたか? マサル。」
「ワフっ」
じゃれつく柴犬のマサルを一頻り愛でた後、皆を引き連れて家の中へと入る。
「ただいま~!」
「「「お邪魔しまーす!」」」
玄関で靴を脱ぎながら帰宅を告げる声を上げると、すぐに母ちゃんが出迎えてくれた。
「ようこそ皆さん。いつもお世話になっております。 ハジメの母の登紀子です。 加茂くんは久し振りねえ……皆さん、何も無い所だけどゆっくりしてってね? 」
「親父達は? 畑?」
「ええ、夕方には帰ってくるんじゃない?」
何て言いつつ、何泊か実家で宿泊する予定なので部屋に荷物を置き、昼飯を食って暫くゆっくりした後、親父達が帰って来る迄の間が空いているので、先に連絡して佐藤兄妹に会いに行く事にした。
うちの地元って案内出来る所が無いから本当に暇なんだよね。
皆でトランプでもする?
………………
…………
……
「……良く来たな。」
「……久し振り。」
佐藤兄妹は相変わらずの宇宙兄妹だった。
なかなかの曲者と定評のある昭典とマサやんの二人でさえも、この二人には圧倒されて絶句している。
「……髭生やす様になったんだね卜伝」
「……ああ。」
久し振りに会う友人の口の回りには綺麗な円のドロボー髭が生えてた。
「……まあ、上がれ。」
二人は揃ってクルリと周り、家の中へと案内する。
もうちょっとこう何か無いの?
初対面の人間も連れて来てるんですけど?
「……で、何用だ。」
囲炉裏を囲んで車座になり、飲んだ事の無い味の謎茶を困惑しながら飲んでいると、卜伝が本題を切り出した。
……いや、その前に二人を紹介させてもらって良いかな?
そういうの気にならない人?




